『続狂短歌人生論』28 なぜ変えられないのか

 その1「長所と信じるから」


○ 四タイプ それが長所と信じれば 変えなければと思うことなし


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ゆうさんごちゃまぜHP「続狂短歌人生論」   2023年11月08日(水)第28号


 『続狂短歌人生論』28 なぜ変えられないのか その1「長所と信じるから」

 見出しの「なぜ変えられないのか」には自分が変えづらいことと、身近の人に(変わってほしいけれど)変わってくれない辛さが含まれています。

 続編前半、最後のテーマ「なぜ変えられないのか」についてあれこれ語ります。
 トンネルの出口と言うか、到達点を示すため、5つの小見出しと狂短歌を掲載しておきます。
 なお、この五節には26号『迷路の整理』で語った「自分を変えるにはどうすればいいか。身近の人を変えるにはどうしたらいいのか」のヒントとなる部分があります。
 二項対立を意識しながら、この答えを考えながら読んでください。もちろん一読法で。


11月08日  なぜ変えられないのか その1「長所と信じるから」―――――――本号
 〇 四タイプ それが長所と信じれば 変えなければと思うことなし

11月15日
 なぜ変えられないのか その2「尊敬されるから」
 〇 三タイプ 誉められ認められるなら 変えようなどと思いもしない

11月22日
 なぜ変えられないのか その3「愛してほしいから」
 〇 幼子は人を愛することよりも 愛してほしいと思う生き物

11月29日
 なぜ変えられないのか その4「愛してくれるから」
 〇 四タイプ それがあなたの愛ならば 人は続けてほしいと思う

12月06日
 なぜ変えられないのか その5「感情と理屈が結びついているから」
 〇 人間は性善なのか性悪か 溶け合っている理屈と感情

 [五首の狂短歌を読んで、「ありゃ、いつもと違う歌があるな」とつぶやきましたか。
 気づかなかったら、ぼーっと読んでいる証です。数字ですよ、数字(^.^)。]


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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 四タイプ それが長所と信じれば 変えなければと思うことなし

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 (^_^) ゆとりある人のための20分エッセー (^_^)

 【『続狂短歌人生論』28 なぜ変えられないのか 】

 その1「長所と信じるから」

 前著『狂短歌人生論』に「四タイプの長所」と題して以下四首の狂短歌を詠みました。

1 脅迫者 彼の勇気は世界一 スーパーマンは我らがヒーロー
2 批判者は正義に基づき述べ立てる その弁論が我らを正す
3 傍観者 人が浮かれて騒ぐとき その一言が我らを冷ます
4 受容者のやさしさみんな知っている まるで聖母か観音様

 ここでは前著第二章その四「四タイプの長所」と題した文章を一括掲載します。
 冒頭狂短歌に詠んだとおり、「これが長所」と信じれていれば、四タイプは「どうして変える必要があるんだ」とつぶやくでしょう。 [以下「である」体]

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脅迫者 彼の勇気は世界一 スーパーマンは我らがヒーロー

 脅迫者……勇気

 脅迫者の良い点。それはまず勇気である。勇気の源は絶大な自信である。
 彼は自分の強さ――なによりも腕力と度胸に自信がある。それゆえ、自分自身の考えや意見を強く主張することができる。

 見るからに元気で決断も早く積極的に行動する。リーダーとして集団の主導権を握り、家族や部下に命令を下す。
 人情に厚く、物より人間を大切にする人だと、それを阻害する人や組織に対して果敢に闘うことができる。悪と闘うスーパーマンは我らのヒーローである。

 昔学校には番長タイプの脅迫者が一人はいた。普段は近寄りがたい彼だったが、他校の生徒とトラブルになれば、仲間を守るため先頭に立ってくれた。
 運動会では応援団長として声をからし、かっこよさを際立たせていた。


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批判者は正義に基づき述べ立てる その弁論が我らを正す

 批判者……正義

 理論家である批判者の良い点はなにより正義感が強いことだ。
 批判者もまた自分の強さに自信がある。彼(彼女)は事態が自分の理論や思想・信条通りに動かないと、最も積極的に行動するタイプである。
 決して傍観することなく、猛烈に抵抗したり、相手を選ばず援助に乗り出すことができる。
 批判者が述べる理屈は正しいことが多いので、みな襟を正して従わねばならない気持ちになる。

 たとえば、民主主義の平和時、このタイプはリーダーとして最も尊敬を集める人たちである。
 不正を許さず四タイプの中では最も正義を追求する。マス・メディアにはこの批判者タイプが多い。彼らは政府与党、企業、団体の悪や不正を鋭く追及し、大衆に警鐘を鳴らす。
 批判者は民主主義を守る旗手として必要不可欠な存在である。

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 脅迫者・批判者……強さと頼もしさ

 このように脅迫者と批判者は味方であればとても頼もしく、敵に回せば脅威となる。
 この二タイプは敵を作りやすいが、味方からは絶大の信頼を得られる強くて頼もしい存在である。

 特に脅迫者は実際の戦闘において死をも恐れず最も勇敢に戦う人間である。腕力のある大柄な脅迫者は原始時代から近世戦乱の時代、さらに近現代の戦争まで最も必要とされ、最も尊敬を集めた人物であったろう。

 彼は野獣と命がけで闘い、弱い女子どもを守った。外敵の侵攻から家族や部族を守り、果敢に闘って敵を殺し退けた。
 墓碑銘に刻まれた脅迫者たちの名。彼らは英雄・豪傑とうたわれ、人々から敬愛されたに違いない。脅迫者タイプこそ最も勇気ある人だった。
 そして現在だって、戦争となれば尊敬されるのは、敵国・他民族・他宗派の人々を平気で殺してくれる脅迫者タイプの兵士である。

 また、批判者も家族や会社など集団内において、どっしりとした大黒柱として存在する。彼(彼女)が仕事の中心にいれば、確実に水準以上の成果をあげてくれる。
 政治における批判者も自国・自民族のために、巧みな駆け引きで他国・他民族を説得し、服従させる点において素晴らしいリーダーである。

 そもそも脅迫者・批判者だっていつもいつも怒ったり、人の批判ばかりしているわけではない。
 この二者は周囲の人(味方)が受容者的であればあるほど――つまり、弱ければ弱いほど「自分が守ってやらねばならない」と思う
 家族・友人・同僚が自分の言うことに従って協力的であればあるほど、脅迫者・批判者は大いに張り切って活動するだろう。

 ところが、脅迫者・批判者だって人間だから完璧ではない。時にはミスや過ちを犯す。だが、自信家の両者はそれを気づかないことが多い。過失が明らかなのに、素直に認めないこともしばしばである。

 そのようなとき周囲の人間が彼らに従わず、反対の考えや意見を主張し、強く反論でもしようものなら、彼らは途端に不機嫌になる。

 議論に勝って自分の言うことが通ればまだいい。通らないと脅迫者は暴力を振るう。暴力を振るわなくとも、テーブルをバンとたたき、大声を出して自分を押し通そうとする。
 また、批判者も言葉が次第に脅迫めいたり、見当違いのことを批判して、結局自分の言うことをごり押ししようとする。

 脅迫者・批判者が絶対の自信家であればあるほど、このタイプは自分が悪いとは思わない。自分に従わない周囲の人間や状況が悪いと言って、腹を立て怒るのである(おおっとまた悪口になってしまった)。


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傍観者 人が浮かれて騒ぐとき その一言が我らを冷ます

 傍観者……忍耐

 傍観者はとても冷たくよそよそしい印象を人に与える。彼(彼女)は喜怒哀楽をはっきり表現せず、だいたい無表情である。基本的に臆病でとにかく自分に自信がない

 それゆえ、闘うことなどとてもできない。誰かが最前線に立ってくれれば、辛うじてその陰に隠れて闘う素振りを見せるだけ。
 味方としては枯れ木も山のにぎわい――いないよりはいるだけましという程度である。敵となっても一喝すれば逃げていく

 自分に自信がないので、なかなか意見や考えを主張することができない。それでもたまには発言することがある。
 たとえば、とある会議でふだん静かな傍観者が意を決して意見を述べたりする。しかし、慣れていないからその発言はたどたどしく、思ったことの半分も言えない。聞く方は何を言いたいのかよくわからない。

 発言後着席した彼(彼女)はみなの軽蔑の視線を感じる。
「やっばり言わなきゃ良かった。失敗だった」と後悔して再び黙り込むのは大概傍観者である。

 だが、弱々しいだけに、傍観者は人の弱さや心の痛みを思いやることができる。とても繊細で感受性が強い
 しばしばあることないことを想像して行動できないタイプであるが、逆に言えばそれだけ想像力豊かな人だ。純文学の小説家には傍観者タイプが多い。

 傍観者は基本的に部屋の隅でやさしい言葉をじっと待つような性格である。
 それだけにとても忍耐強い。しばしば無関心だと非難されがちだが、傍観しているだけに、一歩下がった中立的な立場で事態を眺めることができる。
 行き詰まった状況を解決する第三案を提示できるのは冷静な傍観者タイプだけである。

 脅迫者はすぐにかっとなる。批判者は自己の正しさをひたすら力説する。
 そのようなとき傍観者は「落ち着け。他の見方もあるぞ」と意見することができる。
 脅迫者や批判者が敵と戦うことだけで頭の中を一杯にしているとき、壁によりかかって耳を傾けていた傍観者が和解の可能性を冷ややかに主張したりする。
 仲裁役、まとめ役として優れた能力を発揮するのは傍観者タイプである。


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受容者のやさしさみんな知っている まるで聖母か観音様

 受容者……やさしさ

 受容者タイプはとにかくやさしい。周囲の人間を全て受け入れ、献身と奉仕につくすマリア様か観音様のような人である。
 彼(彼女)が自分を主張することはほとんどない。いつもにこにことやさしく受け入れてくれる。

 迫害がひどくなると確かにぐちや泣き言をはき続け、ひどいと奴隷のような生活を耐え忍んでいる。
 だが、虫も殺せないほど心やさしい人だけに、傷ついている人、弱々しい人に対してこのタイプはとても敏感である。人の痛みを自分のことのように感じる最も思いやり深い人である。

 それゆえ、受容者は看護師、あるいはカウンセラーのような職業についたとき本領を大いに発揮する。彼らは人の悩みや苦しみを自分のことのように受け止め、親身に対応してくれるはずだ。

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 傍観者と受容者……弱さと思いやり

 この二タイプの弱さを良い点としてとらえると異論があるかもしれない。
 だが、弱いからこそ人の弱さや心の痛みを共感できるのである。

 脅迫者と批判者は強い心を持っている。だから、なかなか人の弱さを思いやれない。
 彼らは弱々しい人間を見ると、すぐに「強くなれ」とはっぱをかける。強くなれない傍観者や受容者の心をなかなか理解できない。

 よって、脅迫者・批判者の長所である強さとは同時に短所でもある。
 逆に、傍観者・受容者を特徴づける弱さとは、人を思いやることができる点で大いなる長所であると言える。

 この二タイプは自ら闘いの先頭には立てない。しかし、誰かが自分をガードしてくれれば、とても忠実で信頼できる友(戦士)となる。
 いわば実戦派であるより前線の背後で補給廠や事務方、看護係として働くのに最適である。
 一つの企画・イベントにおいて表に出るのではなく、裏方やスタッフとして活躍するのも傍観者・受容者タイプがいい。
 音楽系のバンドで言うならベースタイプ。そして、スターの活躍が何よりうれしいマネジャータイプである。

 傍観者・受容者は心の結びつきを何よりも求め、それが得られると無償の奉仕をする。特に受容者は自分以上に弱々しい人を限りなく愛することができる。全体への細やかでやさしい気配りが得意なのも受容者である。

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[以下「ですます」体]

 かたや脅迫者の勇気、批判者の正義。この二タイプの強さと頼もしさ。
 こなた傍観者の忍耐、受容者のやさしさ。この二タイプの弱さと思いやり。

 それが四タイプの長所であるなら、本人は変えようと思わない。
 こちらから相手に「変えてください」と言っても、「どうして変えなければならないんだ」とつぶやくでしょう。

 再度冒頭の狂短歌を提示すると、

 〇 四タイプ それが長所と信じれば 変えなければと思うことなし

 そして、もしも身近の人が長所あふれた人柄なら、私たちは相手に「変わってほしい」などと思うでしょうか。


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。


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