「原発存廃を問う総論=各論型国民投票用紙」について


○ 原発の維持か廃止か決めるとき 国民投票やるなら「今でしょ!」


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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2013年 11月 12日(火)第 159号


 東北楽天イーグルス、日本一おめでとうございます。3勝3敗後の第7戦での決着。素晴らしい闘いでしたね。
 耐えてやっていればいつか花開くことがあると見せてくれました。

 さて、2号にわたって「総論賛成、各論反対」がおかしいことを論じてきました。
 今号はそれを受けて[原発の存続・廃止を問う国民投票用紙]をつくりました。
 これはよくあるアンケート「原発の存続に賛成ですか。反対ですか」を問うだけの投票用紙ではありません。「総論賛成=各論賛成」・「総論反対=各論反対」理論に基づく国民投票用紙です(^_^)。
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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 原発の維持か廃止か決めるとき 国民投票やるなら「今でしょ!」

 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)

 【 原発の存廃を問う《総論=各論型》国民投票用紙 】

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★ 原発の存続・廃止を問う国民投票用紙

 ただし、この投票用紙は[総論賛成、各論賛成]・[総論反対、各論反対]の内容を含んでいます。つまり、総論賛成なら各論も賛成、総論反対なら各論も反対という内容を含む賛否投票です。

[A]原発存続に賛成

 (Aに○をした方は以下の各論にも○をしたと見なします)
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 各 論
 1 原発存続によって放射能廃棄物処理施設を日本国内のどこかに建設しなければならない。もしも全ての市町村で引き受けるところがなければ、くじびきが行われる(このくじは大都市も除外されない)。その結果自分の住むところが廃棄物処理建設地として選ばれたとしても、それを許容する。
 2 今後原発・廃棄物処理施設の事故によって万一放射能が漏れて心身に障害を負うとしても、それを許容する。
 3 今後原発・廃棄物処理施設の事故によって万一放射能が漏れて土壌汚染、海洋汚染が起こったしても、それを許容する(特に農林・漁業従事者、消費者)。また、子どもや孫の世代が放射能によって苦しむとしても、それを許容する。
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[B]原発存続に反対

 (Bに○をした方は以下の各論にも○をしたと見なします)
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 各 論
 1 原発をやめる場合の電気料金上昇を許容する。電気料金上昇による物価上昇を許容する。
 2 原発がクリーンエネルギーに変わるまでの負担増を許容する。
 3 原発廃止を決断しても、放射能廃棄物処理施設は国内のどこかに建設しなければならない。もしも全ての市町村で引き受けるところがなければ、くじびきが行われる(このくじは大都市も除外されない)。その結果自分の住むところが廃棄物処理建設地として選ばれたとしても、それを許容する。
 4(現在原発施設がある町や村の住民)原発廃止によって仕事がなくなり、過疎の地となることを許容する(ただし、クリーンエネルギー新設地として優先される可能性はある)。
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 これが私が作成した総論=各論型「原発の存廃を問う国民投票用紙」です。

 これでは「Aに○をする人がいるのか、意図的にBにしようとしているじゃないか」とのご批判を受けそうです(^_^;)。

 しかし、よーく読んでください。総論賛成、あるいは反対なら、これら各論も受け入れざるを得ないのです。
 自分が出した小便・大便の始末を子や孫にさせるのですか。「私が住むところに放射能廃棄物処理施設を作られては困る。だから、あなたが住んでいる田舎とか過疎の地など人口の少ないところに作ってください。お金はたらふくあげますから」と言うのでしょうか。
 全体で核のゴミ処理をしなければならないということは、各論でもどこかでゴミ処理をしなければならないということです。総論で賛成なら、各論も賛成せざるを得ない。それが総論賛成=各論賛成の理屈です。
 逆に自分の住むところに放射能ゴミ処理施設をつくられるのがいや(各論反対)なら、総論も反対せざるをえないということです。

 ただ、Bの3に関しては補足が必要でしょう。
 原発に反対しているのに、なぜ廃止に伴う処理を我が市、我が町、我が村で引き受けなければならないのかと。

 その理由は原発開始からすでに数十年、この間原発によって日本は――日本人全体がその利益を享受してきたからです。
 全体が○なら一人一人も○であり、原発廃止を決断してその責任を全体が負うなら、一人一人も負わねばなりません(総論=各論の理屈から)。
 よって、原発存続反対者もすでに作られた原発施設の処理に関してその責任を負うので、この項目があるわけです。

 さて、どちらも究極の選択です。負担はどちらにもあります。
 現在の利益は原発存続に分があります。しかし、将来の負担は原発存続に膨大です。
 逆に原発を廃止すれば、当面国民全体にかなりの負担がかかるでしょう。しかし、将来の安心は絶大です。

 ここまで来てお気づきになったでしょうか。『赤い繭』のもう一つのテーマと言うか真理が現れたことに。
 何かを得れば何かを失う。何かを失えば何かを得る。原発による利益を取り続ければ、将来の健康や平穏が失われる可能性がある。逆に原発を廃止すれば、将来の安心は得られるけれど、現在の利益は失われる……私たちはどちらを選択するのでしょうか

 実はもう一つ、この国民投票用紙には、以下のように項目[C]を追加できます。
 それはアンケートによくある「どちらとも言えない」という項目です。この項目にも各論が用意されています(^_^)。

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[C]原発に関して当面結論を出さない、もしくは存続・廃止どちらでも良い

  (Cに○をした方は以下の各論にも○をしたと見なします)
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 各 論
 結論を先送りすることによって原発は当面存続し続けることになり、核のゴミも増え続けます。よってこの場合の各論は……
 1 将来再び福島原発事故のような重大事故が起こっても、全ての犠牲を許容する。土壌汚染・海洋汚染、食糧汚染の全てを許容する。
 2 原発は当面存続するので放射能廃棄物処理施設をつくらねばならない。もしも全ての市町村で引き受けるところがなければ、くじびきが行われる(このくじは大都市も除外されない)。その結果自分の住むところが廃棄物処理建設地として選ばれたとしても、それを許容する。
 3 原発並びに放射能廃棄物処理は子や孫の世代に託す。子ども達から非難されることは甘んじて受ける。我々の世代が幸福であれば子や孫も許してくれると思う。私が死んだ後再び重大事故が起こり、「どうしてあのとき廃止してくれなかったのか」とののしられ、墓に糞を投げつけられることを許容する(^.^)。
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 やっばり[B]に誘導しようとしている?(^_^;)

 でも、事態を冷静に、そして将来のことを考えれば各論はこうならざるを得ないのです。
 決断を下さないこと、結論を先送りすることは「存続賛成」とイコールであることに気づきます。当然廃棄物処理施設はつくらねばならないし、再び重大事故が起こったとき、それを受け入れる覚悟が必要です。
 軽い気持ちで「原発存続に賛成・反対・どちらとも言えない」に○をするのではなく、各論までしっかり考える必要があると言いたいのです。

 最近与党元首相が「原発廃止」を発言するようになりました。現在「放射能廃棄物処理施設」は世界に一つしかない。彼はそれを見て「地下深くに埋められた廃棄物の放射能がなくなるまで十万年かかる」ことを知って変わったと言います。子や孫どころか十万年間の子々孫々に不安を与える放射能施設です。《自分たちで処理できない放射能施設》には手を出すべきでない。それはわかりきった結論ではないでしょうか。

 私にはつらい現実に目を背け、今の利益と安楽に浮かれているだけのように見えます。ところが、いざ各論で「あなたの町に廃棄物処理施設を」となったとき、目が覚めるようです。

 原発存続の可能性を一つだけ探るなら、科学者が放射能を1年、せいぜい数年で無害にできるような大発見・大発明をなしえたら、原発は存続させて良いかもしれません。それまでは封印するのが妥当な選択だと思います。

 ところで、この国民投票用紙、日本国民だけでなく、全世界の人たちにも実施されるべきではないでしょうか。なぜなら、事故による放射能拡散は日本だけにとどまらないからです。
 となると、核兵器の存続・破棄も実は「全世界人類投票」が実施されるべき課題なんだとわかります。


 ○ 原発の維持か廃止か決めるとき 国民投票やるなら「今でしょ!」


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:本文の主旨を「原発の存廃」一つに絞るため、「沖縄の基地負担軽減問題」については触れませんでした。ちょっと長くなりますが、この問題について「総論=各論」理論からまとめておきます。

 これもまた総論賛成なら各論賛成、各論反対なら総論も反対に進むべき問題だと思います。つまり、起こるかも知れない戦争に備えるため、日本と米国が同盟関係を結ぶ安保条約に賛成するなら、(沖縄以外の本土国民は)自分たちの住むところに基地が一つできることを許容する――それが[A]総論賛成=各論賛成です。
 しかし、自分たちの住むところに基地ができるなんて「とんでもない」と言う(各論反対)なら、[B]日米安保条約を破棄して日本の米軍基地をなくす――という総論反対の結論にならざるを得ません。これもまた一人一人に突きつけられた[A・B]の究極選択です。

 安保条約を破棄したら「日本を守りきれないよ」と不安に思うなら、日本の防衛力――軍事費はすでに世界の第五位であると言えば、「えっ?」と驚くのではないでしょうか。日本は核兵器を持っていないだけです。
 しかし、核兵器はもはや使えません。通常兵器による防衛戦争に限れば、日本は中国・ロシアと並ぶ軍備を持っているのです。
 よって、現実的な選択として「安保条約は継続するけれど、沖縄から基地を一つなくす」ことは不可能ではないと思います。それはアメリカの猛反対を受けるかもしれません(日本のためではなくアメリカの国益を守るために)。しかし、日本が決断すればいいだけです。

 そして、ここでも項目[C](どちらも決断しない)があります。それは沖縄が基地負担を続ける――本土国民から言うと「続けさせる」選択肢です。
 前号で例としてあげた四十七人の共同生活を思い出してください。この選択は本土四十六人の日本人がみんな「沖縄が基地負担で苦しみ続ける」ことに「賛成でーす」と手を挙げているのと同じことです。
 政府与党が「沖縄で基地を持ち続けてください」と言って説得しようとしているのは米国との関係や軍事的理由だけでなく、本土四十六人の総意を受けていると考えるべきです。

 人は天変地異・致命的な病気や事故によって苦しんだり、愛するもの、愛する人を失ったとき、「なんの罪も犯していない自分にどうしてこんな不幸が起こるのか」と嘆きます。
 しかし、本土四十六人は沖縄一人に四十七人分の苦しみを押しつけてのうのうと暮らしているのです。
 もしも天罰というものがあるなら、天罰はこの四十六人にいつでも下されるのではないでしょうか。本土に暮らしてこのようなメルマガを書いている私も、もちろん例外ではありません。
(御影祐)



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