「突然の総選挙」


○ 総選挙 とても行く気が起こらない それでも行こう 理屈ひねって(^.^)



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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2014年 11月 26日(水)第 169号

 最初に本メルマガ制作の裏話から(^_^)。
 毎月一度の発行を心がけているので、だいたい月末に「さて来月は何を書こう」と考えるところからスタートします。当月になると本腰を入れて最近の話題から「これはぜひ書いてみたい」ものを探します。それが見あたらないと、以前から書きためている下書きの中から一つ選んで書き直し、そして公開するといった感じです。
 ところが、ときどき「なんだか書きたくないなあ」とぐずぐずだらだら怠ける月があります(^_^;)。弁解のようですが、私はこの感覚を大事にしています。待っていると、「これはぜひ書きたい」と思える出来事が起こるからです(もちろん起こらないこともあります)。
 今月もその怠け心が湧いてどうにも気持ちが乗らない日々が続きました。しかし、中旬の夜たまたまテレビで番組を3本続けて見たとき、共通する点に気づいて「今月はこれを書こう」と決めました。それは「ありのままにの裏側にある恐ろしさ」と題して書かれる予定でした。しかし、草稿を書きつつ依然としてどうにも気分が乗らない、怠けている自分がいました(^.^)。
 そして、下旬になって突然衆議院解散の話題が飛び出し、あっという間に現実になってしまいました。
 なんだか行く気のしない、つまらなそうな選挙です。
 「そうか。これについて書けってことか」となって本号ができあがりました(^_^)。
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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 総選挙 とても行く気が起こらない それでも行こう 理屈ひねって(^.^)

 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)

 【 突然の選挙 】

 さらに、前置きの続きです(^.^)。
 実は中旬に(これもたまたま)NHKの『視点論点』なる番組を見て「これも書けるな」と思いました。それは香港の学生達による民主化運動を解説する内容でした。
 ご存じの通り、中国政府が決めた選挙制度に対して、学生達が民主的でないとして反対し、「普通選挙を実施せよ」と主張する運動でした。

 番組はこれについて広島大学教授の中園和仁氏が「香港 民主化運動の背景とその意味」と題して解説していました。その中で「選挙」について驚くべき見方が紹介されており、私は「これはいつかメルマガに書こう」と思いました。
 すると、突然日本で解散、総選挙となったので、「じゃあ、これだ」とこちらを書くことに決めたわけです(^_^)。
 かくして発行が月末までずれこんでしまいました。

 視点論点から関係ある部分を取り出すと、北京政府(と全国人民代表者会議)が香港行政長官の普通選挙として決定した内容は以下のようなものでした。
1 候補者は2〜3人とする。
2 候補者は1200人からなる「指名委員会」の過半数の支持が必要。
3「指名委員会」の構成は4大分野(工商・金融界 専門業界 労働・宗教界 政界)から選出される。

 これを見れば、立候補は制限されているし、指名委員会は親中派が多数を占めるから、いわゆる民主派が候補者になることはあり得ない。とても普通選挙とは思えない制度です。
 学生が「大財閥やビジネスマンが『指名委員会』の大部分を占め、百万人に上る貧困層の声は反映されない。民意を反映した仕組みに変えるべきだ」と主張するのもわかります。日本は誰でも(金さえあれば)立候補できる普通選挙制度を持っています。だから、学生の主張は至極当然と思えます。

 私が驚いたのは中国政府がなぜこのような選挙制度を決定したか、なぜ候補者――とりわけ貧困層の代表――を制限しようとしているか、それについて解説された部分でした。
 中国とは(実質はどうあれ)共産主義国であり、共産主義とは平等と貧しい労働者のための国ではありませんか。その国が貧しい労働者代表を締め出そうというのだから、わけがわかりません。

 その点を中園氏が解説していました。
 香港が中国に返還されたとき、中国は「一国二制度」として香港の経済・金融などの制度は当面変えないことにした。つまり、資本主義を維持すると。中国政府の意図は「その制度を維持しているのは多数を占める貧困層ではない。資本主義制度を変えないという前提に立てば、労働者階級ではなく、資産階級を中心にした政権にする必要があるから」というのです。
 現在の行政長官が欧米メディアのインタビューに対して「学生が主張する選挙制度を導入すれば、月収1800米ドル(約20万円)以下の低中所得者層が選挙を主導することになる」と答えたことがそれを端的に示しています。要するに、貧しい労働者階級の代表が行政長官になったら、資本主義が崩壊するかもしれないと言うのです。

 私はそれを聞いて「は〜〜っ」とうめき、「えっ、中国ってそのような国を目指しているんじゃないの」とつぶやいたものです(^.^)。

 平等を提唱し、労働者階級の利益を代表しているはずの共産主義国家中国が香港の労働者階級は抑圧しようとしている。その矛盾。さらに、このことは資本主義制度とは「労働者階級・貧困層が政治を主導することはあり得ない」と見なしていることも示しています。
 この後半部分、確かに資本主義とはそのようなものであると学びました。しかし、私は選挙制度は違う、貧しい労働者階級の代表でも議会の過半数を取ることができる、と考えていました。ところが、資本主義制度である限り、そのようなことはあり得ないと言っているようなものです。

 もちろん北京政府の狙いは中国政府の意向に逆らう、民主派とか貧困層の声を反映する者が行政長官になられては困るからでしょう。しかし、逆に見れば、資本主義・民主主義国家と呼ばれる国々の選挙制度は貧困層の声を反映する制度ではないと告げられたようなものです。ある意味ショックでした。

 私は日本の小選挙区制度は間違っている。国民の真の意志を反映しておらず、比例代表制に変えるべきだ、と思っています。選挙のたびに政党別得票率に従って議員数を算出、それを後記で公開しているのはそのひどさを指摘するためです。選挙区で得票が一票多いだけでも、トップに立った一人だけが議員になるなんておかしいのです。
 さらに、日本では一票の価値が平等ではありません。衆議院は1対2、参議院は1対5です。国会議員はこれらを変えることができません。

 ところが、香港の例を見ると、資本主義制度下における選挙とはそもそも貧しい人たちの声は反映されないものであり、だから中国政府はその実体に合わせて香港では貧困層の代表が出ないような選挙制度をつくったのだ――と言っていることになります。

 さて、「だから、なんなの?」と言われると、困ります(^_^;)。

 だから、「選挙によって社会を変えることはできない。資本主義そのものを転覆しなければ平等は実現しない。革命を起こそう」などと時代錯誤の檄を飛ばすつもりはありません。
 そもそもそれを目指した多くの共産主義国家が崩壊し、中国は不平等を創出することで経済成長を果たしています。根本的に「人間の平等」ってなんなのだろう、と深いテーマについて考えねばならないようでもあります。

 ただ、資本主義制度下における選挙ってそういうことなんだと思ったし(考えてみれば立候補する際の供託金三百万って貧乏人は絶対立候補できない選挙制度ですね)、欠陥の多い選挙制度を変えようとしない国会議員、一票の格差を放置し、議員定数を変えられない議員達に(与党も野党も含めて)失望感が増すばかりです。消費税の導入だって「歳出削減とか行政改革、議員も身を切る改革」を約束して導入されたはずなのです。しかし、議員も官僚もそれを実行することができません。

 そのあげく「与党がさらに4年間、安定政権を維持するための総選挙」が行われます。国費=税金を六、七百億も使います。切り上げれば国家予算の1パーセントです。
 正直行く気がしない。与党が多数を占めることは間違いないし、野党で入れたい政党も候補者もいない。選挙で何も変わらない――と言うかもしれません。私も正直行く気がしません(^.^)。

 しかし、置き去りにされた争点がいくつもあります。消費税しかり。原発、沖縄の基地問題、予算の使い道、何より平等ではない選挙制度……。
 私はふと思いました。
 そうだ! 変えられない、変えようとしない議員たちに、ここで最後通告を下すべきではないかと。

 それは以下のような宣告です。
今後四年間で議員定数・報酬と衆院議員・参議院の不平等を変えなさい。
 それができなければ、次回の選挙ではあなたに投票しない。反対候補に投票します!

 そう宣告したらどうでしょうか。

 これは与党の人間に切迫感を与えます。同時に野党の議員さんにも切迫感を与えるでしょう。
 選挙期間中、議員に握手を求められたら、こう言いましょう。
「もしもあなたが当選したら、これから4年間で選挙制度を変えてください。
 できなければ、この次はあなたの反対候補に投票します」と。

 自分が投票した人が当選したら、選挙後にネットやツイッターを使って宣告しようではありませんか。
変えることができなければ、4年後あなたには投票しません」と。
 これは失望して白票を出すとか、棄権するよりよっぽど効果的です。

 よーし。これで投票する気になったぞお(^_^)!


 ○ 総選挙 とても行く気が起こらない それでも行こう 理屈ひねって

 ○ 突然の選挙に思う この制度 民の心は反映されてる?


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:『視点論点』はNHKのホームページで論文が公開されています。
 参考までに中園氏の論文「香港 民主化運動の背景とその意味」(11月11日)は以下のサイトで読むことができます。香港の返還前と返還後のことなどよくわかります。

 2019年現在、この文章はNHKオンデマンドに入ってリンク切れになっています。興味ある方はそちらを検索してください。

 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/203232.html 



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