「心の穴」について


○ 父不在話題を避ける母子家庭心の穴は広がるばかり



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ゆうさんごちゃ混ぜHP「狂歌教育人生論」        2004年 5月 5日 第14号

 (^_^)今週の狂短歌(^_^)

14 父不在話題を避ける母子家庭心の穴は広がるばかり

(^O^)ゆとりある人のための5分エッセー(^O^)  

「心の穴」について

 前メルマガで偏食の女の子のことを取り上げました。私はそれを心に空いた穴のせいだと記しました。今回もその件を取り上げたいと思います。

 偏食の女の子の一人は母子家庭の子どもでした。だから、心に穴があいたのだろうと単純に決めつけたわけではありません。しかし、父親不在がどこかで子どもに影響を与えるのは間違いないと思います。大切なことは本人がそれに気づき、乗りこえることだと思います。

 数年前ですが、NHK教育テレビに「どこかで何かがミステリー」というアメリカドラマがありました。それはカルト的なミステリーを素材として、主人公の女の子が失われた古代文明の痕跡(こんせき)を探ったり、霊の不思議世界をかいま見たりするお話しでした。
 歌手のお母さんとその仲間が、大型バスで全米を回りながら演奏活動をしており、行く先々でいろいろなミステリーが起こる趣向のドラマです。主人公の女の子が語っていた言葉の中に、おやと思うものがありました。

 彼女は幼い頃父親をなくしたようです。その父親はカルト系や神秘主義的な事象にとても関心のある人でした。ところが、母親は夫のそのような性格(性癖?)を嫌っていて、夫を亡くしてから父親のことを娘に語ろうとはしませんでした。
 一方、娘の方は亡き父親と自分との共通点をいろいろ探し出し、それをリストにして自分の中に一生懸命《父親の痕跡》を見出そうとする。なおかつ彼女はいつの間にか、神秘的事象に猛烈な関心を示すようになっていた。そして、なぜそんなものに関心を持つのか、自分の性格を悩み始めてもいました。
 そんなとき娘はあることから自分の父親の実像を知ることができました。そして、自分の性癖は父から受け継いだ資質であったと気づきました。つまり、彼女はこれ以上ない父との一致点を見出したのです。
 彼女は父親の実像を教えてくれなかった母を責めました。その言葉の中に「心の穴」が出てきたのです。
 娘はこう言いました。「父さんがいないことで私の心の中に大きな穴ができていたの。私はその穴を埋めようとして父さんとの共通点を探した。そしてリストにした。私はなぜか神秘的な事柄にとても関心を持つようになった。でも、それは父さんも持っていたものだった。こんなに自分と父が似ていたものがあったなんて思いもしなかった」と。
 母は娘がなぜ父との共通点を探そうとするのか、その気持ちがわからず、父について隠していたことを謝っていました。娘もようやく気持ちが晴れて落ち着く……そのような内容でした。

 私は心の中の小さな穴と言いましたが、確かに大きな穴なのかもしれません。
 ドラマ内のこととは言え、あの娘はその穴の存在に気づいた。気づかなければ、カルトや神秘主義に対して異常な関心を覚える自分の性癖に、訳の分からない不安を感じ、悩んだことでしょう。しかし、自分は父と似ていた。それを知ることで彼女の不安は安心に変わったのではないでしょうか。

 日本では親に似ることを、なんとなく嫌悪する子どもが多いような気がします。しかし、父か母どちらかの親がいないときには、子どもは親の面影を探し求めるのかもしれません。

 先週のメルマガで紹介した極端な偏食傾向の娘二人のうち、母子家庭の娘はドラマの母子と同じ境遇でした。全ての食事をスナック菓子で済ます16歳の娘。それもまた心に開いた大きな穴と言えるのではないか。
 ドラマの方は父の死でした。そして、母は子どもに父の姿を一切話そうとしませんでした。
 もし父が離婚で不在なら、母は夫(娘の父)のことをもっと話したがらないでしょう。そんな家庭では父について語ることはタブーになる。子どもは母の雰囲気からそれを感じ取る。
 結局、父不在という穴は子どもの中でどんどん大きくなる。そして、思春期になって何かが起こる。普通でない(異常な)何かがその穴を埋め、その気持ちよさから抜け出せなくなる。

 穴は各人によって違うけれど、大なり小なり抱えるものではないかと思います。人が心の穴をふさぎ克服するには、おそらくその子にとって「欠けている何か」を、見出すことが必要なのではないでしょうか。難しいことですが。
 私の小説『ケンジとマーヤのフラクタル時空』もこの件がテーマの一つです。


 ○ 父不在話題を避ける母子家庭心の穴は広がるばかり

 ○ いつからか心にあいた穴のわけ気づけば少し抜け出せるかも


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:1日はゴルフに行き、2日は友人と上野の国立博物館へ「空海展」を見に行きました。館内は乗車率90%なみの大混雑でした(^_^;)。見物客が滞留してちっとも動きませんでした。しかし、高野山関係の秘仏や曼陀羅(まんだら)がたくさん展示されていたので、感激しました。(祐)



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