未来を託された動物の子育て


○ 海水が地球全土をおおうとき次の文明引き継ぐものは?



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ゆうさんごちゃ混ぜHP「狂歌教育人生論」        2004年 5月12日 第15号

 (^_^)今週の狂短歌(^_^)

15 海水が地球全土をおおうとき次の文明引き継ぐものは?

(^O^)ゆとりある人のための9分エッセー(^O^)  

未来を託された動物の子育て

 ものすごく大げさな表題と狂短歌で恐縮です(^.^)。
 NHKの「地球不思議大自然」を見ていたら、動物の親子(特に父の子育て)をテーマとして、さまざまな動物の親子関係を特集していました。面白かったので、ここに紹介します。


 大多数の動物は母親が子育ての中心で、父親はほとんど母親に協力しない。哺乳類の場合、父が子育てに関わるのは五パーセント程度らしい。それに対して卵を生む鳥類は、ほぼ全てにおいて父鳥と母鳥が協力して子育てをする。確かにオスとメスの鳥は協力して巣を作る。そして、子を生みせっせせっせととえさを運び、子が自立するまで育てる。その様子は映像などでよく見かける。

 番組ではその他いろいろな子育ての実例が撮影されていた。その中でとても印象的だったのは、自分の子孫を残すための激しい闘いや工夫の様子だ。

 例えば、アザラシやライオンはメスの群の中にオスはただ一頭だけ。そのオスライオンはメスに子を生ませるが、彼はいざというとき敵と戦うためにあり、普段の狩りや子育てはメスが行うらしい。だから、オスとして生まれた子ライオンは群れには不必要な存在なので、大きくなるとやがて群れを追い出されてしまう。オスライオンの生きる道は、他の群れのオスと闘ってその群れを奪い取ることしかない。そうしなければ自分の子を残せないし、食料にもありつけない。そのため群れを追い出されたオスはつらく苦しい放浪生活を送ることになる。
 それを耐え抜き、生き続けた若くたくましいオスだけが、とある群れの年老いたオスと闘い、勝ってその群れを奪い取るのだ。つまり、動物界ではより強いオスだけが子孫を残せるということになる。厳しー(^_^;)。

 ところが、その一方で、たまたまのようにうまいことやって、ある群れに難なく入れるオスライオンがいるというから面白い。弱くったって偶然が味方するようだ(^o^)。

 番組では放浪する三兄弟のオスライオンが、たまたまメスライオンだけの群れと遭遇していた。その群れは年老いたオスライオンを亡くし、メスだけの群れとなっていたのだ。そこで、その三兄弟は争うことなくちゃっかりその群れの主になれた。厳しい自然界と言いながら、そのようなラッキーな偶然があることが面白い。

 しかし、そうした偶然や食料にありつけず、ぼろぼろになってかつての群れに戻ってくる哀れなオスライオンの姿も映されていた。昔彼を育てたメスライオン達は知らんぷり。すごい情景だと思った。
 だが、そうしたことがあっても、ライオン全体は滅びることなく自然の中で生き続けている(^o^)。

 次いで魚の子育て。
 魚の場合はメスが数千、数万の卵を生み、オスが放精するとそれっきり。大多数の子魚は天敵に食べられたりしてあっけなく死んでしまう。だが、たった数匹生き延びるだけで充分子孫が繋がっていく。
 面白いのはクマノミなどごく少数の魚類だ。それらは父が自分の口に卵を入れ、そこで我が子をかえらせてなおしばらく口の中で育てる。
 この場合の卵はせいぜい数十個と少ない。しかし、このやり方だと天敵に捕食される機会が減るので、子をかなり生き延びさせることができる。

 私はクマノミの子育ての様子を見ながら思った。一体誰がそんな知恵を授(さず)けたのだろうかと。
 なぜ一部の種だけがそのような子育てができるのか。考えてみると不思議だ。

 最も驚いたのはコウテイペンギンの子育てだ。
 彼らは南極で冬のまっただ中、厳寒の季節に交尾をするらしい。メスは1ヶだけ卵を生む。そしてオスが氷点下80度の中でその卵を暖める。
 暖まるんかい!(`´)――と言いたくなる。
 その後メスたちは卵をオスにあずけると、なぜか大集団となって数百キロに及ぶ海への移動を開始する。冬なので海が結氷し陸地が広くなっている。だから、えさを得るためには、はるか遠くの海まで歩いていかねばならないのだ。
 その間オスペンギンは何も食べず何も飲まず、約2ヶ月の間ただひたすら卵を暖め続ける。
 そうして子どもが生まれると、父親の口から養分を吐き出して子に与える。さらに2ヶ月、母ペンギンが戻ってくるまで、父と子はそうやって絶食状態に耐える。そうして2ヵ月後――メスの大移動が始まってからだと4ヶ月後、ようやくぱんぱんに太ったメスが戻ってきて、子と父ペンギンにエサを与える。その間約4ヶ月オスペンギンはひたすら絶食に耐えるそうだ。それで生存できる父子ペンギンもすごい(・o・)。
 なぜそのような過酷な子育てをするのかと不思議に思う。

 番組はその答えも解説していた。やがて十一月になり南極に短い夏がやって来る。海上の氷が溶け、海が陸地に近づく。ちょうどそのころ子どものペンギンは泳ぎやエサの取り方を覚える。そして、豊富なエサに恵まれ、すくすく育って自立する。
 要するに、子どもをもっとも有効に育てるには、さかのぼって厳寒の時期に卵を生まねばならなかったわけだ。そして、そのためには父と母が協力する必要があったのだ。

 ここでも私は思った。コウテイペンギンは一体どうやってそんな知恵を身につけたのだろうと。
 学者はそれはペンギンの本能であり、南極の厳しい自然環境に適合できるものだけが生き残り、そうしたやり方が自然に広まっていった、と解説するだろう。

 だが、それでも不思議だ。それは本能と言うより、彼らだけに与えられた知恵のように思えるからだ。なぜ彼らだけが数ある動物の中でそうした知恵を授かったのか。
 信仰心のある人なら、誰か(神、または大いなるもの)が彼らにその知恵をささやいたと取るかもしれない。つまりは選ばれし生き物ということになるのだろうか。
 哺乳類・鳥類・爬虫(はちゅう)類・魚類の中で、ある種の選ばれた生物だけに「知恵」の実が与えられている――そう考えることもできる。

 太古の昔全地球が熱帯・亜熱帯の気候だったとき、様々な知恵を与えられて地球全土の長(おさ)になったのは恐竜だった。しかし、恐竜の知恵は文明の知恵として進化しなかったようだ。
 次いで知恵を与えられたのが哺乳類の一種族であった類人猿だろうか。これは文明の知恵を持ち、文明的進化を始めた。
 だが、もし地球全土が何らかの理由で陸地をなくし、全て海でおおわれた場合を考えてみよう。
 そのとき海中で知恵を持って(人類史に似た)進化を始めるのは、子育てにおいて独特な知恵を与えられたクマノミのような魚であり、海中と極寒の陸地でも生きることのできるコウテイペンギンなのかもしれない(^o^)。


○ 動物の子育て見れば厳しさとちゃっかり同居の面白さ

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 別版 あるクマノミ父さんとコウテイペンギン親父の会話風に――

クマ:「私は海中で子どもが生まれたら、口の中で育てます。数千匹も生まれるうらやましい仲間と違って、クマノミ族には数十匹しか生まれません。だから、そうやって丁寧に育てるしかないのです」
ペン:「ほう、それは感心な子育てじゃな。わしの子はたった一頭じゃ。しかも、真冬に海が遠くなり、食料が絶えるころ生んで育てる。母ちゃんたちは卵を生むとみんな出稼ぎに行ってしまう。帰ってくるのは4ヶ月後じゃ。だから、わしはその間何も食わず何も飲まず、マイナス80度の寒さに震えながら、2ヶ月間ひたすら卵を暖めるんじゃ」
クマ:「それはすごい!」
ペン:「まあ、それほどでもないて。ところが、それでもまだ母ちゃんは帰ってこん。じゃからわしはさらに2ヶ月わしの口から養分を吐き出して我が子に与えて子育てをするんじゃ。母ちゃんがぱんぱんに太って帰ってきたときは、わしゃあもうがりがりじゃよ」
クマ:「(・o・)目が点になるような子育てですね。それにしても、なぜそんな子育てをするんですか」
ペン:「わしもよーわからんが、南極の夏は短い。ちょうどそのときに子どもが大きく育つためには、さかのぼって真冬に生むしかないんじゃ。もし夏に子を生んだら、長く厳しい冬がやってきたとき、子は死んでしまうじゃろうな。まあ昔から続いた子育てじゃし、わしが4ヵ月我慢すればいいんじゃ」
クマ:「私にはとてもできそうにありません。驚きの子育てですね」
ペン:「なあに、あんたの子育てもなかなかできるこっちゃないよ」

 そこへ上空から鈴の音のような声が届く――
《クマノミにペンギンさん。あなた方にその知恵を与えたのはわたしです。やがて地球全土が海におおわれ、極寒(ごっかん)の気候となったとき人類が滅びます。そのときあなた方は進化の道を歩み始め、人類のあとを継ぐことになるのです。それまでしっかりと生き延びてください》

クマ:「あれっ、いま妙な声が聞こえましたよ」
ペン:「そうじゃな。まあ空耳じゃろうて。人類ちゃなんのこつかいね?」


○ 限られた動物だけに子育ての知恵を教えた自然の不思議


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:別版で書いた、上空から聞こえる鈴の音のような声は「火の鳥」の声でしょうか(^_^;)。いま手塚治虫の名作『火の鳥』がNHKでアニメ放映されています。原作の雰囲気はほぼ反映されていると思います。手塚氏には人類の愚かさと素晴らしさをもっともっと描いてほしかった。氏の早すぎる死が残念でなりません。(御影)



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