韓国旅行報告記その3


○ 盗掘と侵略により盗まれる文化遺産の思わぬラッキー



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ゆうさんごちゃ混ぜHP「狂歌教育人生論」        2004年 7月21日 第24号

 (^_^)今週の狂短歌(^_^)

24 盗掘と侵略により盗まれる文化遺産の思わぬラッキー

(^O^)ゆとりある人のための5分エッセー(^O^)  

韓国旅行報告記その3

 今号で韓国旅行記は終了。最終回として妙に印象に残った二つの遺跡について触れておきます。

 2日目に訪れた「武寧王綾(ぶねいおうりょう)」(紀元5世紀頃)は本格的な古墳だった。この古墳内部は日本のような石造りではなく、レンガでトンネル状に作られていた。王と王妃が仲良くまつられ、とてもきれいな墓だった。装飾品は金銅(こんどう)製ではなく、純金だという。
 これを見て日本の同時代の石造り石室と比較すると、韓国の方が相当文化が進んでいたと思える。もちろん中国の王宮、王墓と比べれば規模は落ちる。しかし、日本より力を持つ王朝だったようだ。

 この武寧王綾で面白かったことは、この古墳が1971年に発見されるまで、一度も盗掘されなかったことだ。韓国の古墳はほとんど全て盗掘されているという。ところが、武寧王綾だけは盗掘されることなく生きのびた。それは古墳泥棒達のうっかりとでも言えるようだ(^.^)。

 武寧王綾のある古墳群は7つの古墳が二つの小山に合葬されている。小山は二つあり、一つの山に3基、もう一つに4基造営されていた。
 7つの古墳のうち6つは全て盗掘され、今となっては誰の墓だったかまるでわからない。
 ところが、たった一つだけ盗掘されず、誰にも気づかれることなく千数百年を生きのびた古墳があった。それが高麗・新羅・百済の「三国史記」中に登場する武寧王の墓だった。武寧王の古墳は一九七一年になって初めて発掘されたそうだ。その時期が日本の高松塚古墳発見の時期と重なっていたことも面白い。

 日本にも古墳がたくさんある。しかし、日本では一つの古墳にほぼ一人の埋葬者であることが多い。小山の中に3ヶも4ヶも古墳があったとは、さすがの古墳泥棒も気づかなかったと見える。それを意識して古墳を造営したのか、単に節約のため合葬したのか。いずれにせよ、そのおかげで貴重な文化遺産が生き残ったことになる。

 もう一つ印象的だったのが、石窟庵(せっくつあん)の阿弥陀如来像である。3日目慶州散策の午後、車でくねくね道の山を登り、なお歩いて二十分ほどのところに石窟庵はあった。
 ここの阿弥陀如来座像は伝え聞く以上の素晴らしさだった。ガラス越しであることは残念だったが、高さ数メートル、石仏だが白い肌のとても美しく凛々(りり)しい大仏様だった。とても何百年も前のものとは思えない美しさだった。

 このときガイドの李さんは面白い話をしてくれた。石窟庵は山奥の洞窟の中にある。そのため近代になるまで発見されなかったらしい。
 この大仏を発見したのはなんと「植民地時代の日本人である」と彼女は言った。そして、日本からたくさんの学者が研究に訪れ、そのうち彼らは大仏を日本に持ち運ぼうとした。ところが、そのときすでに韓国は日本に併合(へいごう)されていた。だから、「韓国はすでに日本なのだから、わざわざ日本国内へ持っていく必要はない」と判断され、そのまま据え置かれたという。おかげで韓国は貴重な文化遺産を泥棒されずにすんだわけだ。
 当時の日本人は韓国併合が未来永劫(えいごう)続くと思ったのだろう。
 戦前の日本だったらありえる傲慢(ごうまん)な発想だ。しかし、その傲慢(ごうまん)さのおかげで、韓国の貴重な文化遺産である石窟庵は救われたことになる(^_^)。

 かたや2つの小山に7つもの古墳が造られた。そのおかげでたった一つだけ誰にも盗掘されることなく生きのびた。かたや侵略されたとは言え、日韓併合のおかげ(?)で、貴重な文化遺産が日本に持ち運ばれずにすんだ。ともに泥棒行為だが、過去の世界史を眺めればしばしば行われてきたこと。しかし、稀有(けう)なラッキーが文化遺産を守ることもある――その一例と言えるような気がした。

○ 盗掘と侵略により盗まれる文化遺産の思わぬラッキー


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:今号をもって夏休みに入らせていただきます。9月から再開する予定です。そのときは、先週訪れた四国小旅行記を連載したいと思います。7月15日、明けの明星最大光輝の日に、室戸岬から明けの明星を見る――それを目的として私は四国へ行きました。同時に八十八カ所の札所いくつかもめぐりました。その原稿とデジカメ写真の整理も合わせて、9月から紹介したいと思います(写真はホームページ上で)。(御影)



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