自作 『ケンジとマーヤのフラクタル時空』を語る(その2)


 ○ 今までの流れのままのA時空、自ら変わるBへの道は?



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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2005年 5月13日(金)第53号

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   自作『ケンマヤ』をふり返ってのエッセー、その2であります(^_^;)。
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 (^O^) ゆとりある人のための5分エッセー (^O^)

 【自作『ケンマヤ』を語る(その2)】

 (^_^)今週の狂短歌(^_^)

 ○ 今までの流れのままのA時空、自ら変わるBへの道は?

 SF『ケンジとマーヤのフラクタル時空』(略して『ケンマヤ』)では、ふがいないケンジ少年に対して、彼を変えようとなぜか未来タイムトラベラーが派遣された……(^.^)。

 『ケンマヤ』では、22世紀初頭から数百人のタイムトラベラーが過去へ派遣された――と設定しました。その一人がケンジの元にやって来た転校生マーヤです。
 すでに確定した過去を変えることはできないはずなのに、なぜタイムトラベラーが過去へ派遣されたのか。なぜ特定の人間と交わろうとするのか――『ケンマヤ』では謎のままとしました。
 『完結編』で謎は全て明かされます(^_^;)ので、今は取りあえず「マーヤはケンジを変えるためにやって来た」と思ってください。

 ただ、これを普通の小説として考えるなら、マーヤの存在とは、いつもふがいない、あるいは問題行動のある少年や少女を「なんとか変えたい」と思っている両親、兄弟、友人、先生と見なすことが可能です。
 性格を変えてほしい、生き方を変えてほしいと思って忠告したり、叱咤(しった)激励する人って周りにたくさんいますよね。私もかつて高校教員だったので、その一人でしたが(^.^)。

 しかし、そのような問題行動のある少年・少女と関わり、いろいろ注意して叱咤激励しても、当人はなかなか変わってくれません。すでに生き方が凝り固まった、いい年齢の大人はもっと変わろうとしません(^_^;)。
 結局の所、当人が心底自分で気づいて、自ら変わろうとしない限り、変わることはなかなか難しいようです。

 前号で、私は今までと同じ流れのA時空と、自ら変わるB時空とを分けているのは一体なんだろう――と問題提起しました。
 今までの生き方の癖のまま、何も変わることのないA時空へ進むのか。
 あるいは、何かをきっかけとして自ら変わるB時空へ進むのか。
 そのきっかけとは一体なんなのか。

 ○ A時空 B時空への分かれ道 「あれっ?」と思うへんな偶然

 私はそのきっかけが「偶然」ではないかと思っています(^o^)。
 へんな偶然をきっかけとして本人がはっとひらめいたり、そうだったのかと納得して、今までの枝と違う別の道を歩み始めるのではないかと。
 あるとき、あるところで、今までと違うパターンの奇妙な出来事が起こる。おやっと思ってそこを踏み出すかどうか。私はそれがAとBの違いではないかと思うのです。

 今までの流れや、自分の生き方の癖のままにAを選ぶと、事態も自分も変わることなく、相変わらずのA時空へ流れてゆく。
 しかし「あれっ?」と思ってBの方へ一歩踏み出してみる。そうするとBの時空間へ進出する――つまり、自分が変わるのではないかと。

 たとえば『ケンマヤ』では、ケンジはA時空のクラス対抗サッカー大会では補欠のまま(仮病を使って)出場しなかった。
 しかし、もしもそこに奇妙な偶然が起こって試合に出場せざるを得なくなったとしたら?
 さらに、その中で思いもかけない活躍の場がたまたまやって来たとしたら?
 それがB時空ではないかということです。

 未来人マーヤが知っているケンジはA時空のひ弱なケンジ。だから、マーヤはせっかくのチャンスなのに、サッカーに出ようとしないケンジを見て、やっぱりダメだ、変わらないんだと思ってがっかりする。ところが、ケンジは自ら違う時空へ進み始めた――つまり変わり始めた。
 「過去は変えられない」と思いながら、マーヤはケンジが変わり始めたことにとても驚く(この矛盾はもちろん完結編できっちり解決されます(^_^)。

 読者の方々はおそらくケンジに起こった偶然の出来事を、作者が勝手にこしらえた「都合のいい偶然」だと思われるでしょう。しかし、私はそのような偶然が、現実生活で実際に起こっていると思います。
 たとえば、ある年齢に達した人に生い立ちなどを語ってもらうと、自分が変わるきっかけとなった奇妙な偶然について話してくれることがよくあります。
 学生時代の部活動など、ずっと控えだった人が、ある偶然をきっかけとしてレギュラーになったり、さらにその後も活躍して「あれは転機だったなあ」と言います。
 あるいは、転勤や昇進などの人事異動、生死に関わるような大きな病気。それも一つの偶然であり、それをきっかけとして「自分は変わった」と言う人もあります。
 あなた自身をふり返ってみてください。身近の誰かに聞いてみてください。
 「ああ、あれだったか」と思い当たるし、身近の人は転機となった偶然を語ってくれるはずです。

 私自身の中学校時代をふり返ってみても、活躍し始めるきっかけはへんな偶然でした。
 詳細は省きますが、『ケンマヤ』のケンジの行動には、私の中学校時代の体験を(違う形で)反映させているのです。
 要するに、人はあれっと思うような偶然をきっかけとして、もう一本の枝時空へ進むのではないか――私はそう思うのです(^_^)。

 もう一つ、ケンジに関してはグループの乱暴なリーダー、敦(あつし)君の急死があります。ここでもAに行くか、Bに進むかの分かれ道がある――と私は描きました(^.^)。

 敦は交通事故でくも膜下出血を起こし、手術をしたけれど、帰らぬ人となった。
 身近の人の死は私たちにさまざまなことを教えてくれます。しかし、そこから何も感じないままであることもよくあることです。特にいじめっ子タイプだった敦の死は、同級生にとって「乱暴なやつがいなくなってせいせいした」程度の感じ方しかもたらさないのではないでしょうか。
 ケンジのタイムサイト上の映像――A時空でもやはりそうだった。ケンジは敦を見舞うことなく、いい気味だと思って葬式を迎えた。
 ところが、ある偶然をきっかけとしてケンジは敦の入院した病院へ行くことになる。一人で見舞いに行きたくなかったけれど、結局敦の病室を訪ねる。そして、意外にも敦に対して親近感を覚える。それだけでなく、ケンジだけが敦から最後の言葉が記されたハガキを受け取る――それもまた一つの偶然であり、これをきっかけとしてケンジは心を成長させ、また一つ違うB時空へ歩み出した。

 そこらへんのことは(作品内では)、未来タイムトラベラー、マーヤがそのきっかけをケンジに教えているかのように見えます。しかし、作者の私としては、ひとりひとりに必ず起こっている「分かれ道での奇妙な偶然」として描いたつもりなのです(^_^)。(続)

 ○ 今までの流れのままのA時空 自ら変わるBへの道は?

 ○ A時空 B時空への分かれ道 「あれっ?」と思うへんな偶然(^.^)


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:もうおわかりかと思いますが、『ケンマヤ』完結編を5月5日に出版いたしました。『時空ストレイシープ』という題名です(ストレイシープは迷える羊)。前号、今号とも、つまりはコマーシャルエッセーでございます(^_^;)。しかし、私としては純粋に我が作を解説しておきたい、と思ったことも正直な気持ちです。『時空ストレイシープ』では『ケンマヤ』の謎が一気に解決されます。作者がいうのもなんですが、かなり面白いと思っております(^o^)。とは言え、全国書店に山積みされるほどのベストセラーではありません。興味がおありの方は書店・インターネットにてご注文いただけると幸いです。(御影祐)

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 MYCM:御影祐のSF統合小説第2弾!!
     書名=『時空ストレイシープ―ケンジとマーヤのフラクタル時空完結編―』
     2005年5月5日、全国書店にて販売開始!
     ☆作者「御影祐」 出版社「本の森」¥税込み定価1470円
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