○ 自らを変えてBへと進んだが、いつの間にやら元の木阿弥
ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」 2005年 5月27日(金)第54号
(^_^)今週の狂短歌(^_^)
○ 自らを変えてBへと進んだが、いつの間にやら元の木阿弥
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自作『ケンマヤ』をふり返ってのエッセー、最終回であります(^_^;)。
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私の実家二階には、短詩が書かれた杉板の壁掛けがあります。
その詩は「しあわせ八変化(へんげ)」という題で、以前湯布院の民芸店で購入しました。作者不明ですが、これは面白いと思って買ったものです。
しあわせ八変化
自分が変われば相手が変わる
相手が変われば心が変わる
心が変われば言葉が変わる
言葉が変われば態度が変わる
態度が変われば習慣が変わる
習慣が変われば運が変わる
運が変われば人生が変わる
いま幸せな人は
そのまんまでいいんです。(作者未詳)
我が意を得たり(^o^)――といった感じの素晴らしい詩だと思いました。
自分が変われば……やがて運が変わり、人生が変わる。
これをSF的に言うと、時空がA時空からB時空へ移ったということなのです(^.^)。
偶然をきっかけにして別の時空へと突き進む。つまり自分が変わり、今までとちょっと違った世界が始まるわけです。
「いま幸せな人はそのまんまでいい」と言うのですから、この変わる必要のある「自分」に該当する人とは、不幸せな人なんでしょうね。
たとえば、うまくいっていない人、苦しんでいる人、悲しんでいる人、腹を立てている人、むかついている人、ストレスを感じていらついている人、ストレスを感じていいはずなのに自分にはストレスなんぞないと思っている人(^.^)、自分は不遇だ、不運だ、不幸だと思っている人――などなどが該当するのかもしれません。
まわりを変えたい、居心地よくしたい、夫を変えたい、妻を変えたい、我が子を変えたい、親を変えたい、周囲が変わってくれなきゃ、自分は不幸だ――と思っている人への「八変化」のすすめなのでしょう。この詩の作者はそのような人に対して「相手を変えようと思うのではなく、自分が変われば相手が変わりますよ。やがて運が変わり、人生が変わりますよ」と教えているようです。
しかし、「自分が変わったくらいで、運や人生が変わるわけないやろ(`´)」と目くじら立てた方もいらっしゃると思います。
そのような方はおそらく、あくまで変わるべきは周囲の人間や状況であって、自分はいつも正しいし、変わる必要なんぞこれっぽっちも感じていないのでしょう。
まあそれに対して私からこれ以上言うべき言葉はありません。そのうち気づいてほしいもんだと祈るばかりです。そして、何か――偶然のもろもろをきっかけとして、いつかそのようなときが来ると思います(^_^)。
さて、問題は「自分を変えようと思い、何かをきっかけとして変わった」人の場合です。
自ら変わってみると、何かしら身近の人たちも変わり、いろいろうまく行き始めて正に運が変わり、人生が動き始めた気がする。笑顔も出て「いいじゃないか(^_^)」と思う。
ところが、こんなときしばしば起こることが、B時空へ進んだ後ひょいと気づくと、またA時空へ戻っていることなのです。
端的に言えば、自分を変えていろいろやってみた。ところが、変わったと思ったのは最初だけで、そのうち元の木阿弥、うまく行かなくなり、結局相変わらずの自分に戻ってしまった……ってやつです(^_^)。覚えがありませんか。
たとえば、それまで頑固でかたくなでいつもがみがみ口うるさかった某中年男性が、大病をきっかけにがらっと変わってやさしくなった。すると、今まではなんとなく敬遠していた周囲の人たちも、彼に対してやさしくなったように感じる。ところが、しばらく経ってみると、周囲の優しさはなくなり、彼も以前のように頑固で口うるさい人間に戻っていた……とか(^.^)。
『ケンマヤ』ではこれを次のように描きました。
ケンジはクラス対抗サッカー大会で、妙な偶然が重なって大活躍した。特にマーヤに言われた「空いたスペースに飛び出せ」という忠告に従ってみると、ボールが面白いように飛んでくる。ケンジの活躍でクラスは勝ち、仲間からは今までひ弱だと思っていたケンジに対して、見直すような発言さえ出始めた。
ケンジ自身もサッカーが面白くなり、よっしゃあと思って次のサッカーでも、同じように空いたスペースに飛び出していった。
ところが、今度はうまくいかない。ボールは彼のところに飛んでこないし、逆にケンジの行動は自分勝手だとしてリーダーから責められ怒鳴られてしまう。
ケンジは「やっぱりうまくいかない、ダメだ(-_-)」とがっかりして……いつもの引っ込み思案なA時空に閉じこもってしまう。
もちろんこの「ダメだ、やっぱり今までの自分のままがいい」と思って戻ったA時空は、以前と同じA時空ではないと思います。いわば、A’(Aダッシュ)とでも言うべき時空であるはずです。
大木の幹や枝で考えるなら、ある箇所で二つに分かれた枝はしばらく経つと隣の枝と重なるかのように見える。あるいは二つに分かれた姿を見ると、ある枝はその前の太い幹の上に進んでいる――つまりAと同じような時空の上にいる。
もっと簡単に言えば、最初二つに分かれた道を右の方へ進んだとしましょう。次の分かれ道を左へ進み、さらに次の分かれ道を右へ進んだなら、最初の分かれ道を右へ歩み始めたのと同じ方向に進んでいることになります。
あるいは、あることをやってうまく行く。次には失敗したので、元へ戻った。しかし、それは一番最初の分かれ道を進んだのとは違うはずです。つまり、自分を変えたB時空から、またいろいろあってA時空へ戻ったとしても、それは最初のA時空と同じではないはず――そう言いたいのです。
要するに、人の(心の)成長とは――SF的に言うと(^.^)―A時空から自分を変えてB時空へ行き、戻ってAダッシュ時空へ進み、さらにまた自分を変えてBダッシュ時空へ突き進むことではないか。それが私には大木の樹形と同じように思えるのです。
私は昨年の「狂歌ジンセー論」第6号で、次のような分かれ道の歌を詠みました。
○ 分かれ道右へ行こうと左でも未来を読めば良いことが待つ?
詳細は第6号を読み返していただきたいのですが、この狂歌は上記で述べたことと矛盾しているように見えます。しかし、これはすでにB時空へ踏み出した後の分かれ道なのです。
簡単に言うと、毎日毎日家に閉じこもっていて、久しぶりに散歩でもしようかと思った。しかし、「散歩なんかめんどくせえからやめとこう」が相変わらずのA時空であり、「いや、たまには外出した方がいい、散歩に出かけよう」と決心して実行することが、自分を変えたB時空なのです。
そして散歩に出かけてみると、ある二またの道で、どちらへ進んでもいやな未来が予想されるところにやって来た。だが、自分を変えてB時空を歩き始めた以上、次の分かれ道はどちらへ進んでも「いいことがあるよ」と言っているのです(^.^)。
もっとも、多くの人はなかなかこのような心境になれないと思います。
今はただ次のように考えてはいかがでしょうか。
つまり、毎日毎日新鮮みのない、流れの淀んだような停滞したA時空を生きていると思うなら、思いがけない奇妙な偶然に出会ったときは、勇気を出してB時空へ進んでみるということです。
その結果いいことがあり、また悪いことが起こっても、最終的には(自分を変えて歩み始めた以上)きっといい方向へ進んでいける――そんな究極の楽観論を持つことが、ジンセーを楽しく生きていく秘けつかなと思うのです(^o^)。
ところで、この「自作を語る」を読まれた方は、『ケンジとマーヤのフラクタル時空』はSF小説と言いながら、「なんだかSFらしくない内容だなあ」と思われたかもしれません。
読者の感想でも「SFっぽい表現はほんの少しですね」と言われました(^.^)。
実際そのとおり(^_^;)でして、私はそれを「統合小説」と呼んでいます。つまり、人生論プラスSFエンタテイメントということです。
ケンマヤ完結編となる『時空ストレイシープ』も同じように統合小説を試みました。ただ、完結編の方はかなりSF度が増して面白くなったと自負しています(^o^)。
○ SFとジンセー論の統合小説 傑作なりや? 虻蜂なりや?(^_^)
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
後記:自作『ケンマヤ』ではまだまだ語りたいことがあります。生命時間のこととか、生き方の四タイプや統合の生き方とか。また、この作品を生み出すにあたって数多くあった面白い出来事とか(その一端は「東北道中膝栗毛4」で書きました)。何ヶ月か経って完結編『時空ストレイシープ』を含めて語りたいと思います。
なお『ケンマヤ』完結編と言いながら、『時空ストレイシープ』は単独でも読めるよう工夫を凝らしました。『ケンマヤ』を読まなくても充分楽しめます(^.^)。ただし、本屋の店頭に平積みされているようなベストセラーではありません。ご注文いただけると幸いです。m(. .)m(御影祐)
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MYCM:御影祐のSF統合小説第2弾! SFと人生論の合体(^_^)
書名=『時空ストレイシープ』
2005年5月5日より全国書店にて販売中!
☆作者「御影祐」 出版社「本の森」¥税込み定価1470円
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