トリノとWBCの金メダル


○ 金メダル二つに学んだ人生も最後に希望のどんでん返し(^o^)


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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2006年 6月 9日(金)第69号

  サッカーワールドカップの開幕ですね。それにあわせて(?)私も狂短歌メルマガを再開いたします(^_^)。
 ただ、目下のエッセー数回分を配信し終えたら、また休養に入らせていただきますので、ご了承お願いいたします。
 まずはちょっと時期遅れのトリノオリンピック金メダル1個とWBC日本優勝について。
 そんなちょっと奇跡的なドラマが、日本サッカーチームにも現れることを祈って(^.^)。

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 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)

 【 トリノとWBCの金メダル 】

 (^_^)今週の狂短歌(^_^)

○ 金メダル二つに学んだ人生も最後に希望のどんでん返し

 2月の冬季トリノオリンピックで、日本はフィギュアスケート荒川静香選手の金メダル1個に終わった。低調惨敗だったと見るか、最後にやっと救われたと見るか、人さまざまの感想があっただろう。

 次いで3月には野球のワールドカップ――WBC(世界ベースボールクラシック)第1回大会が行われた。
 その決勝戦で日本はキューバに勝ち世界一を達成した。絶望的な位置からの優勝だっただけに、日本では歓喜の雄叫びが上がった(^o^)。

 この二つの金メダルに妙な共通性を感じ取ったのは私だけだろうか(^_^)。

 アメリカで行われたWBC二次リーグは米国、韓国、日本、メキシコの総当たり戦。上位2チームが決勝トーナメントに進出となる。3試合で2勝すれば、まず確実に準決勝に進出できる。1勝2敗だと得失点差の争いとなる。
 日本はメキシコに勝ったものの、韓国、米国に(米国審判による米国びいきの誤審もあって)敗れ1勝2敗となり、その時点で決勝トーナメント進出がほぼ絶望的になった。
 残すは1勝1敗の米国対0勝2敗のメキシコ戦のみ。誰もが米国の勝利を想像した。
 だが、この最終戦で米国がメキシコにまさかの敗戦を喫した(今度は同じ審判員がまたも米国よりの誤審。しかしそれがメキシコチームに火を付けたようだ)。
 その結果日本は得失点差0.01で決勝トーナメントに進んだのである。

 決勝トーナメント初戦(準決勝)は予選で2連敗した韓国だった。
 その試合が始まる前、私は日本が最終的に金メダル、つまり優勝を勝ち取るのではないかと思った。得失点差100分の1という数字で、すぐにトリノオリンピックを思い出したからだ。
 あのときはスピードスケートやアルペンなどが僅差でメダルを逃し続けた。しかし、野球では逆に僅差に救われた。ならば、今度はメダルを獲るのではないかと思った(^.^)。

 その予感通り、日本は韓国に勝ち、続く決勝戦でアマ最強のキューバに勝って世界一となった。
 まるでパンドラの箱のように、暗い絶望的な気分の最後に、明るい希望がわき出したのだった。

 これと全く同じ流れだったのが冬季トリノオリンピックだ。
 開始以後日本はずっとメダルを獲れなかった。金銀どころか、銅メダルさえ獲れない。ワールドカップなどでメダルを獲り、実力的には銅以上と言われた選手も多かった。だが、どうしてもメダルに手が届かない。
 特に僅差の4位が多かった。スピードスケートやアルペンなど、銅メダルとの差は100分の4とか5だった。その差は距離にしてせいぜい数十センチである。

 誰も言わないので、私が書くんだが(^.^)、こういう代表選手の戦いは、決して本人だけの力で勝ち得るものではない。家族やコーチ、仲間の協力という後押しだけでも足りない。一国を代表する選手にとって、国を挙げての応援、そして祈りの力が必要なのだと思う。

 競技や試合において、相手と実力差があるときには、そんな祈りは必要ない。軽く入賞し、たやすく対戦国に勝つだろう。だが、実力が互角で僅差の勝負が予想されるときは、その選手の体調、特に精神的なコンディションが大きく影響する。
 選手には、負けるのではないか、ミスするのではないかといつも不安が襲う。勝って当たり前と言われれば、それがプレッシャーになる。勝とうと思いながら無欲になれるか、自信を持って闘えるか。みんなが応援してくれると信じられるか。それをプレッシャーではなく、力に転換できるか。そのとき選手の感情が大きく問題となるはずだ。

 そして、選手個々の感情は、これまたそのときの国全体の雰囲気――つまり集団生命体の感情と決して無縁ではあり得ない(^_^)。

 簡単に言えば、国全体が昇り調子のときは、個人も元気で威勢が良く、国全体が沈滞気分の時は、選手個人にもその影が差し、あと少しの力が出せないのである。
 昨年から今年初めにかけて日本は経済的には昇り調子でありながら、その恩恵は一部の持てる人だけに回り、国全体としては活気がなかった。
 そして、年末を迎える頃には耐震偽造マンション問題、酒販協同組合の年金拠出金不正使用。年が開けたら米国牛肉偽装、極めつけがライブドア、ホリエモンの逮捕である。

 特に I T 寵児ともてはやされたホリエモンの逮捕は、日本人全体を意気消沈させた。
 政治では自民党をぶっ壊すと勢いが良かった若手(?)小泉同様、日本を変革する旗手としてホリエモンに期待する向きはかなりあったはずだ。若者がこの世を変えてくれるのではないかと明るい気持ちを抱く人も多かったと思う。それは2年前のアテネオリンピックでメダルを量産した頃の、日本の雰囲気とかなり重なっていた。

 ところが、今年になって発覚したさまざまな不祥事で、日本人は元気をなくし、不信感にとらわれた(-_-)。

 みんな国とか全体のこととかどうでもいいんだ。自分の利益のためだけにやっているんだ。うまいこと言いながら、ひとの金使って、嘘ついてごまかしてうまい汁吸っている。オリンピック? あんたが好きで勝手にやっているんでしょ? 私にゃ関係ないよ――てな気分が日本全体にあった。

 マスコミはオリンピック、オリンピックとはやし立てた。一部の人たちはもちろん応援に熱狂した。
 だが、日本全体の感情は沈滞していたのだ。競技が始まってもメダルが獲れないことで、さらにその沈滞気分は増幅された。

 だが、捨てる神あれば、拾う神あり。その最後の最後で希望の灯をともしたのが、フィギィアスケート荒川静香選手の金メダルだった。

 私はフィギィアが始まる前、おそらく荒川選手のメダルがあるだろうと予感した。それは彼女がスケートで選んだ曲がトゥーランドットであり、それが開会式でも演奏されたと聞いたからだ。

 それについて語る前に質問を一つ(^_^)。
 ひとはどうやって自信や元気のみなもと[源]を獲得するのでしょうか。

 答えは自分の力、家族の協力・支え。友人や仲間の応援……などなど。
 だが、世界が私を応援し、宇宙全体が私に協力してくれると思うことほど力強いものはないだろう。

 トリノオリンピック開会式で、会場に流れたトゥーランドットの曲。
 荒川選手がそれを聞いたとき、「このオリンピックは私のためにある」と(彼女が思ったかどうかわからないが)もしそう思ったなら、それは彼女に最大の自信と力を与えたような気がする。
 それこそ偶然から意味を学び、気づき、力を得る第四の目覚めの生き方でもある(^.^)。

 もちろん開会式でトゥーランドットが演奏されたのはたまたまである。それは選手・観客全ての人にとって「ただそれだけのもの」でしかない。だが、たった一人荒川選手だけは、「これは私の曲だわ」と感じたはずだ。
 私ならそのとき震えるほどの感激を覚え、大きな自信と活力を得ただろう。それこそ彼女にエネルギーを与えた源であり、そのとき彼女の金メダルは約束されたと言っていいと思う。

 そして、ワールドベースボールクラシックもまた、日本人にとってはトリノオリンピックと同じ流れをたどった。

 日本は一次リーグ初戦、第2戦をコールド勝ちの大差で勝った。韓国には負けたものの、アメリカで行われる決勝リーグへ軽々と進んだ。
 この頃日本人のWBCへの関心はイマイチだったと思う。テレビに映された中国・台湾戦では観客席ががらがらだった。ここでも日本全体の感情は沈滞していたのだ。だが、実力差があるから日本は順当に勝ち上がった。

 そうしてあの因縁の米国戦である。アメリカ審判が一度はセーフと判定したタッチアップを覆してアウトとした。王監督は激しく抗議したが、判定は変わらなかった。
 だが、審判だって人の子。自国を応援したい気持ちがあって不思議ではない(全審判三十数名の内3分の2は米国マイナーリーグの審判だった)。
 日本チームにとっては勝ち越し点だっただけにこの誤審は大きい。結局、9回裏に日本はサヨナラ負けを喫して米国に負けた。王監督、イチローは怒った。多くの日本人も憤慨し、がぜんWBCへの関心が高まった。
 ところが、この米国審判員による自国びいきのやり方、そして9回を終わらずサヨナラで決着したことが後で意味を持ってくるのだから、世の中はホントに面白いと思う(^_^)。

 話はちょっと変わって野球やサッカー、その他球技のドラマや映画で、よくある話にこういうのがある。
 ――主人公側のチームはたいがい弱小チームで連戦連敗である。メンバーは不揃いで弱っちいのばっかり。しかし、主人公が一念発起して助っ人を集めたり、飲んだくれで型破りの監督・コーチを得て次第に強くなっていく。そして、あれよあれよとトーナメントを勝ち進み、決勝戦までたどりつく。
 そのとき対戦する相手チームはたいがい連戦連勝の強豪チームで、初めは軽くひねられる。だが、そのうちこちらが勢いを得て同点に追いついたりすると、相手チームは次第に汚い手を使って勝とうとし始める。ラフプレーに走って助っ人に怪我を負わせたり、審判の見ていないところで不正を働く。点差が広がり、さすがに弱小チームも負けを覚悟する。ところが、もうダメだろうと思ったところで、主人公がふんばり、お荷物弱虫も大活躍。思わぬラッキーが絡んで大逆転劇が起こり、主人公のチームが勝つ――なんてやつだ。

 しかし、これはあくまでお話しであり、実人生でそんなに都合のいいことは起こらないと誰もが思っている。
 結局はうまいことやってちょろちょろ不正を働いて、甘い汁を吸ったやつが勝ち組なんだよと。

 ところが、今回のワールドベースボールクラシックで、このまさかが起こったのである。

 米国審判の自国びいきはその後も続いていた。同じ審判は韓国対米国戦でも、微妙な判定を自国有利に下した。一方、日本は第2戦でメキシコに勝ったものの、韓国に敗れて1勝2敗。昇り調子の韓国が3連勝で準決勝進出を決めた。
 この時点でアメリカは1勝1敗、メキシコ戦を残していた。メキシコは0勝2敗だから、アメリカに勝っても準決勝進出はない。アメリカは勝てば2勝1敗となるので、文句なしの準決勝進出を果たす。1勝2敗の日本は万事休すである。
 野球の本家本元がメキシコに負けるとはとても思えない。返す返すも米国戦の誤審が痛い。イチローは怒り、絶望的な気持ちでやけ酒を飲んだ(という)。

 ここで多くの人は思ったかも知れない。やっぱり何やったって勝てばいいんだ。ちょっとした不正なんかやったもん勝ちなんだ――と。もっと言えば、悪いことやったって天罰なんかないんだと(^.^)。

 米国対メキシコ戦の前日。2連敗のメキシコチームはどう転んでも準決勝進出がなく、近くの遊園地で遊んだそうだ。メキシコにとって翌日の米国戦はもはや消化試合でしかない。もしここで賭をやれば、10対1で米国の勝ちに賭けただろう。

 ところが、ここでくだんの米国審判がまたもやってのけた。彼はメキシコ選手が打って右翼ポールに当たったホームランを2塁打と判定したのだ。
 私は思うのだが、おそらくメキシコ選手団も、米国審判の米国寄り判定はかなり感じていたのではなかろうか。日本対米国戦のタッチアップ誤審事件も当然知っていただろう。だから、メキシコ選手団がこの不正判定に怒りの炎をたぎらせたのは想像に難くない。
 神様もさすがに3度目の不正は許さなかったのだろうか。なんとメキシコが2対1でアメリカに勝ったのである。

 この結果、アメリカと日本、メキシコはともに1勝2敗で並んだ。まず得失点差でメキシコが落ち、さらに0.01差で日本がアメリカの上になったのである。
 日本と米国は全く同じ得点、全く同じ失点だった。なのに、0.01の微差がついた。競馬で言うなら、数センチのハナ差勝ちみたいなもんである(^.^)。
 なぜ差がついたかと言うと、日本対米国戦が米国のサヨナラ勝ちとなり、9回を最後までやらなかったからだった。
 つまり、くだんの米国審判は自分の活躍(?)で、自国を勝利に導いたが、そのことが最後の最後で自国の準決勝進出を阻んでしまったのである。

 私はこれだけ奇跡的な流れを持つ以上、日本の最終的な大逆転劇は金メダルで完遂されるだろうと思った。そして予感通り、日本は準決勝で韓国を破り、決勝でキューバを下し優勝した。
 久し振りに痛快な逆転実話ドラマであった(^o^)。

 最後にもう一つ。準決勝で負けた韓国も、決勝で負けたキューバも、あまり悔しがっていないように見えた。あの誤審騒動以来、彼らにとって今回の主役は良くも悪くも「日本だよ」と思っていたのではないだろうか。


 ○ 甘い汁 不正はびこる世の中で どんでん返しの痛快実話(^o^)


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:再開初っぱなから長い文章ですみません(^_^)。上記文章は3月末にはすでに書き上げていました。ところが、メルマガに仕立て上げる気力が湧かなかったから不思議です。父の死は80歳を超えた小往生だったし、自分にできることは最大限やったから後悔はない――そう思っていました。だから、その死で大きな影響は受けないだろうと。ところが、やはり影響していたようです。喪失感や心の傷は意外なところで気づかされ、また癒されるにも時間が必要でした。身内の、愛する人の死からどのように立ち直っていくのか、今後この件も書いていきたいと思います。(御影祐)


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