○ 奥さんがからの巣病にかかるのは 無関心な父鳥のせい?
ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」 2007年 2月 22日(木)第75号
先日テレビ朝日「たけしの本当は怖い家庭の医学」で「空(から)の巣症候群」なる心の病気が紹介されていました。
とても面白く、また熟年離婚の危機が叫ばれている昨今(^.^)、高年夫婦にはとても有意義な番組だったと思います。
見なかった方のためにその内容を紹介します。
(^_^)本日の狂短歌(^_^)
○ 奥さんがからの巣病にかかるのは 無関心な父鳥のせい?
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からの巣症候群とは子育てを終えた中高年の奥さんが、子どもが独立して亭主と二人だけになったとき、なぜか元気をなくし、うつ病状態になる症状だ。その原因はぽっかり空いた心の穴が亭主によって埋められないことにあるらしい。
テレビでは著名タレント夫婦五組がゲストとして登場していた。俳優の梅宮辰夫夫妻、ぼよよん漫才のかつみさゆり、夫婦共にプロレスラーの健介北斗、野球界から新婚二年目の大魔神佐々木と榎本加奈子、バラエティから野々村真と奥さんの坂上とし恵さんである。
この五人の夫に対して五つの質問がなされ、その結果で奥さんが空の巣症候群になりやすいかどうかが判定される。
番組ではその内容を奥さんだけに通知して夫と外食をしてもらい(隠しカメラでその様子を撮る)、そこで奥さんがさりげなく夫に五つの質問を浴びせる。その返答具合で「夫としての合格不合格度」が判定される趣向だった。五組それぞれの夫婦相が見られてとても面白かった(^_^)。
見なかった人のために一例をあげれば、その日奥さんは珍しく高価なネックレスやブローチをしている。
食事をしながら「今日の私、いつもと変わったところない?」と聞く。
亭主はしみじみ奥さんを眺めて「特にない!」と言うか、「今日はいつもと違うネックレス、ブローチだね」と答えるかどうか。答えられなければ「ブー」の×である。
亭主に恥をかかせたくないと思ったのだろう、奥さんがそっとそれを示して無理矢理答えを引き出す――なんてカンニングまがいのこともあったりして笑ってしまった。
夫に対する質問とは次の五つである(これを読んでいるのが奥方なら、ひそかにご主人にためしてみてはどうでしょう(^.^)。また、亭主のみなさんは普段それをやっているかどうか、答えられるかどうかで、○×を付けてみてください)。
1 奥さんがやってくれるちょっとした行為に対して「ありがとう」と言っているか。
2 結婚記念日(何年何月何日)を覚えているか。
3 ある日髪型が変わっている、首飾りや指輪などをしている奥さんの外見の変化に気づくか。
4 奥さんにかかってくる電話の相手が気になるか、気にしたそぶりを見せているか。
5 奥さんを「お母さん」とか「ママ」と呼ばず名前で呼べるか。
この五項目について5つ全て○なら、奥さんに対して充分関心があることを示している。
最低でも三つ以上○がないと「奥さんに対して無関心な亭主」ということになるようだ(^.^)。
要するに、からの巣症候群の原因は一言で言えば、夫の奥さんへの無関心である。
子育てを終えた奥さんの心に空いた穴を理解せず、亭主が無関心であり続けると、奥さんが空の巣症候群にかかるというわけだ。逆に亭主が無関心でなければ、奥さんはその病気にならないらしい(^_^)。
私はこの五ヶの質問はとても面白いと思った。
いずれも奥さんへの関心度を示しており、なおかつ奥さんを女性として見ているかも示している。
また「親しき仲にも礼儀あり」と言われるように、感謝の気持ちをしっかり表現しているかも問われている。
奥さんの誕生日は覚えていても、結婚記念日まではなかなか覚えきれないようだ。「二人が結ばれた日を覚えていないなんて」と、これも奥さんをがっかりさせるのだろう。
また、しばしばどこの家庭でも子どもが生まれると、夫も子どもと同じように、奥さんのことを「お母さん」とか「ママ」と呼んでしまう。「私ゃあんたのお母さんじゃないよ!」なんて言うドラマを見たことがあるが、これもその呼び方が続いていると、そのうち自分の妻として一人の女性として見なくなってしまうのだろう。
さらに、電話の相手を気にする――など、ちょっとしたやきもちも奥さんを女性として見ている意思表示となるわけだ。
3の髪型や外見の変化に気づかないということは相当の無関心ぶりだろう。
これはたとえば奥さんの顔色が悪く病気が疑われるのに、気づかないことにもつながる。あるとき突然奥さんが重大な病気を患ってびっくりする――なんて無関心亭主なら大いにあり得るだろう。
奥さんが「夫は私のことなんかどうでもいいんだ」と感じても致し方ないところだ。確かにこれでは心の穴は埋まらない。
関心を示すことはつまり、愛していることの意思表示ともなる。欧米では毎日必ずキスして「愛している」と言い合うようだが、日本人はなかなかそうはできない。
しかし、必ずしも「愛している」の言葉がなくても、ちょっとした「ありがとう」の言葉や「今日は顔色が悪いぞ」の言葉によって「愛されている」と感じられるのではないか。
もっとも、奥さんが「私の顔色が悪いのは生まれつきだよ!」とふてくされては話にならないが(^.^)。
いずれにせよ、愛されていると感じられれば、20年30年連れ添った夫婦がどうして離婚しようなぞと思うだろう。
番組では梅宮、健介北斗、大魔神佐々木夫妻が5点満点で、かつみさゆりは3点だった。
悲惨なのはレッドコーナーに入った野々村真君で、五項目全て[×]――0点だった。
彼は恐妻家のイメージで売っているタレントだが、奥さんに平謝りだった(^.^)。
しかし、野々村君の奥さんは現在子育て中で、かなり子どもにかかりっきりらしい。本人もそれを認めていた。
実は奥さんが子どもにかかりっきりになると、夫も(いい大人だが)心中さみしいもんなのである。
そもそもこの五つの質問は奥さんに対してもなされるべき筋合いのものだろう。奥さん自身が亭主に無関心なことだって大いにあるはずだ。
たとえば、子どもの誕生日は盛大なごちそうを並べるのに、夫の誕生日に関しては「あら、昨日だったの」と言ったりとか。夫は冷静さを装いながらも、心中がっくし……(-_-)。
結局、奥さんのそうした態度が続くと、夫は次第に自分が愛されていると感じられなくなり、やがて奥さんへの愛が薄れ、関心が低くなることだってある。
野々村君は本質的に他者への関心が薄い傍観者タイプかもしれないけれど、奥さんが子どもにかかりっきりになったことで、その傾向により一層拍車がかかったはずだ。
つまり、野々村君をそのような方向へ追いやったのは、子どもにかかりっきりの奥さんのせいであるとも言える。
奥さん、もう少し真君を構ってあげましょう(^.^)。
それにしても、五組の夫婦のありようはとても面白かった。
普段何気なくしている(もしくはしていない)行動が関心度を表す意味を持っているということだ。関心度とはそのまま愛情の深さと言ってもいい。逆に関心がないということは、相手への愛がないと言える。
これは夫婦だけでなく、親子の間でも同じだろう。子どもがどうなろうと、どんな格好をしていようと関心のない親というのは、子どもを愛していないと思われても仕方ないのではないか。
もっとも、関心が強すぎて根ほり葉ほり聞いたり、問いつめたり、自由を認めないと、今度は干渉しすぎであり、心配しすぎともなる。
奥さんの電話にいちいち目くじら立てていては、嫉妬とやきもちの焼きすぎと言われても仕方ない。
そこらへんのあんばいが難しい(^_^)。
○ 関心がないと問題大きいが 関心過ぎてもダメでしょう(^.^)
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
後記:今度出版予定の『狂短歌人生論』は上記のような話題をたくさん取り上げています。目下鋭意製本中です(^_^)。(御影祐)
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