最悪の親


○ 両親が 批判タイプの完璧主義 子どもにとって 最悪の親



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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2007年10月 19日(金) 第86号

  かつて最悪の親とは子どもを殴って育てる脅迫者タイプの親でしたが、
 最近はとても少なくなりました。
  かわって多くなったのが批判タイプの親と傍観者タイプの親です。
  これが両親とも批判タイプだと子どもにとって救いがありません。
  本日はその狂短歌とエッセーを紹介します。

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 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)

 (^_^)今週の狂短歌(^_^)

 ○ 両親が批判タイプの完璧主義 子どもにとって最悪の親

  【 最悪の親 】

 父か母どちらかが強烈な批判者であっても、片方が傍観者か受容者タイプであれば、子どもはまだ救われる。一方が自分を責め強く批判しても、他方が慰めてくれるからだ。
 これに対して両親が二人とも強烈な批判者だと、子どもにとっては最悪の親である。批判者同士の両親は口げんかが絶えない。批判者は相手の悪い点をたくさん気づくからだ。妻は夫の問題点をちくちく言い立て、夫も妻の欠点を指摘する。何かトラブルが起こると、事態を悪化させたのは相手のせいだと責め合う。最後に感情的な言い争いとなって口げんかは終わる。とげとげしい空気がしばらく家の中から消えない。子どもは夫婦ゲンカの狭間でいつもはらはらびくびくしている。
 この子は両親の顔色をいつも気にして生きなければならず、間違いなく受容者タイプになるだろう。

 また、二人の批判者は子どもに対して期待度が高く、そのミスを許さない。だいたい完璧主義だから満足することが少ない。子どもは何をやっても両親からほめられないので、自分は全てのことにおいて何も満足にできない、ダメな人間だと思いこむ。

 批判者の両親は頭がいい。だから、もちろんたまには我が子をほめる。しかし、子どもはそれが本心でないことを知っている。口でほめても顔が喜んでいないからだ。しかめっ面でほめられたってうれしくないではないか。

 あるいは、そのような批判者だってときには心から驚嘆してほめることがある。だが、ほめっぱなしで終わることがないのも批判者の特徴である。一パーセントのミスを指摘することは、彼(彼女)の能力の高さを証明する行為でもあるからだ。それゆえ、批判者は心からほめた後で、何か悪かった点を一つ二つ指摘する。「ここは良くなかったよ」と言うわけだ。結局、この子は親からほめられていると思えないだろう。

 そもそも批判者は心から人をほめることができない性格なのである。
 なぜなら批判者は十のうち八も九も悪い点に気づく能力高き人たちである。心から人をほめるなんてありえないではないか。
 結局、批判者タイプの両親を持つ子どもは一年に数回おほめの言葉をもらう以外、常に批判され、ミスを指摘され、他の子どもと比較される。「いつも良い子でいること。学業、スポーツにおいてトップクラスであること。不得意科目に関しては最低限平均点以上を取ること」を期待され続ける。
 かわいそうに、この子はいつも馬車馬か、回転車の実験マウスのように走り続けねばならないだろう。
 この場合子どもが何かで成功をおさめればまだ救いがある。それが父か母の不得意分野であれば、両親は「すごいじゃないか!」と目を輝かせ、心から感嘆の声をあげてくれる。子どもは両親に認められ、愛されていると思って自信を持てるだろう。

 だが、成功がなければ悲惨である。あるいは、子ども時代は神童として優秀な成績をおさめたのに、やがて平凡な成績しか残せなくなったときもみじめなものがある。両親が優秀な人であればあるほど、多方面にわたって結果を残しているほど、子どもは何をやってもそれと比較される。
 親は我が子を同年代の友人と見比べ、ため息をつくだろう。それをはばかることなく口にする親は最悪だが、口にしなくて心で思うだけの親もいる。
 彼らは相変わらず我が子に対して「がんばれがんばれ」と言い、「あなたは努力すればできるのよ」とはげます。だが、子どもには親の気持ちがよーくわかる。その言葉は「いまのお前は努力が足りない、がんばっていない。親が思うレベルに到達していない」と告げているようなものではないか。

 子どもは能力高き批判者にして完璧主義の両親をもはや超えられないと思う。そして自分がダメでどうしようもない人間だと感じるだろう。父と母からいつも責められ、批判されている(と思い込む)この子は決して両親から愛されていると思わない。

 やがて子どもの心にブラックホールのような穴があく。両親ともに批判者の子どもは初めこそ受容者タイプとして、親の言うがまま「良い子」に育つかもしれない。しかし、この子は自我に目覚めるやいなや、激しい暴力的反抗に訴える可能性がある。能力の高い批判者の両親に理論では抵抗できず、かといって受容者として彼らから支配され続けることに、子どもはもはや耐えられないからだ。両親の支配から抜け出そうと思うなら、暴力に訴えるしかないではないか。
 そのときこの子は言うだろう。「もうあんたたちの言うとおりに生きるのはまっぴらだ」と。

 あるいは、両親の支配から逃れるために、彼らとの接触を一切断ち切って部屋に閉じこもってしまうかもしれない。さらに、抵抗が両親に向けられなければ、子どもは陰にこもった問題行動に走る可能性がある。この子の心がいつどこで爆発するか。それは全くわからない。
 だが、悲しいかな、我が子を愛している批判者タイプの両親は、なぜ子どもがそのようなことを言うのか、なぜそのような行動に走るのか、全く理解できないのだ。

 ○ 両親が批判タイプの完璧主義 子どもにとって最悪の親

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※本書では「戦後の親と子どもたち」と題して四タイプの親子関係も論じました。
 その中の狂短歌は、
・いまの子は男子傍観女子批判 むすこは父似むすめは母似
・批判者の妻が家庭を支配して 夫どんどん傍観的に
・脅迫と批判の父に反抗し 息子娘が総決起
・受容者の母にだけはなるまいと 娘せっせと批判を学ぶ
・批判者の母が君臨する家庭 それゆえ母に反乱起こす
・永遠の母を求めて三千里 批判の母に母の愛なし

   詳細は拙著『狂短歌人生論』にて(^_^)。

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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:タイトルマッチの内藤対亀田戦は後味の悪いボクシングでしたね。レスリングをやっちゃった亀田一家は処分も食らいました。あれこそ脅迫者の見本のような言動ですが、脅迫者とはホントは弱い心の持ち主です。虚勢を張っていると言ってもよく、だからこそ強い態度や言葉を吐くのです。心を入れ替えてまたはい上がってほしいものですが……。(御影祐)




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