言うことを聞かない快感


○ 言うことを聞かぬと悩む 親教師 子どもの心にひそむ快感



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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2007年12月 7日(金) 第90号

 相手に言い負けるとエネルギーが失われて元気をなくし、逆に相手に勝つと気分が良くなります。
 親子間では、たいがい親が説教や批判によって子どもに勝ちます。
 しかし、子どもだって負け続けていると、不愉快だから負けないための方策を取るようになります。
 それが親や先生の「言うことを聞かない」ことです(^.^)。

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 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)

 (^_^)今週の狂短歌(^_^)

 ○ 言うことを聞かぬと悩む親教師 子どもの心にひそむ快感

  【 言うことを聞かない快感 】

 最近の大人の不快感や悩みは、問題行動を起こす一部の子どもたちがなかなか大人の言うことを聞いてくれないことにある。なぜ子どもたちは大人の説得や意見に耳を貸そうとしないのか、それについて考えてみよう。

 いまも述べたように、脅迫者と批判者は身近の人間が意のままに従わないと、強い不快感にとらわれる。それは自分の負けであり、エネルギーを失うことを意味している。ということは脅迫者や批判者に屈服しない――つまり、言うことを聞かないことによって、人は勝ち誇り、エネルギーを獲得したと感じるのである。簡単に言えば、相手の言うことを聞かないことで快感を覚えるのである。

 わかるだろうか。もしもあなたが脅迫者か批判者の親で、自我に目覚めた思春期世代の我が子を持っているなら、その子が《自分の言うことを聞いてくれない》不快に苦しめられているはずだ。
 あなたはこれまで聞き分けの良かった我が子が「なぜこんなにも言うことを聞いてくれないのか」と思い悩んでいるかもしれない。

 だが、その子は生まれてこの方、脅迫者か批判者の親の言いなりで、常に支配され、常に負けた不快を味わい、エネルギーを奪われ続けたのである。
 子どもは思う、「もうたくさんだ。もう支配されない。自分を不愉快にする親の言うことは一切聞かない」と。
 この子は親の言うことを聞かないことで、ある種の爽快感を覚える。つまり、親に勝ってエネルギーを獲得できるのである。

 そして、事態が深刻さを増していることもおわかりいただけよう。
 この少年・少女たち――脅迫者や批判者の言うことを聞かない形のエネルギー獲得劇に長けた子どもは、親や先生、全ての大人に対して《言うことを聞かない》症状を示すようになるのである。

 彼(彼女)は大人の注意・小言・説教はもちろんのこと、どんなに愛に満ちた意見や忠告であっても、自分を支配し、エネルギーを奪う不快なものとして、人の言葉を拒否する少年・少女となってしまうのである。

 あなたはそのような子どもを責めるだろうか。言うことを聞かない現在の子どもたちは宇宙人・異星人であり、その本質が悪だと批判するのだろうか。

 いやいや、責めることなんぞできやしない。なぜなら子どもは生まれて十数年、脅迫・批判タイプの親や先生に支配され、彼らの言うことを聞くことでエネルギーを奪われ続けたのだ。彼らはエネルギーを奪われないための手段として、大人の言うことを聞かないやり方、生き方に長けたのだ。言うことを聞かない現在の思春期世代をつくったのは、脅迫・批判タイプの親や先生、大人ではないか。彼らは宇宙人・異星人ではなく、れっきとした地球人だったのだ。

 それではどうするかって? 簡単である。大人が子どもに対してエネルギーを奪う形の育て方をやめ、エネルギーを与える育て方をする。それだけである。私はそれしかないと思う。

 そしてもう一つ。現在《聞き分けの良い子》を持つ親御さんへ言いたいことがある。
 もしもあなたが脅迫者か批判者タイプなのに、子どもが聞き分けの良い子に育っているなら、あなたは自慢げに言うだろう。「私の子は思春期世代になったが、よく言うことを聞きますよ」と。

 その通り。全ての子どもが大人の言うことを聞かないわけではない。学校現場を眺めるなら、とても素直で良い子もたくさんいる。だが、こちらの《良い子》に問題はないのだろうか

 まず、脅迫者の子どもについて。
 あなたの脅迫者ぶりが板に付いていれば、あなた方脅迫者の子どもはほぼ全員「言うことをよく聞いている」だろう。ここではただ「猫をかぶっているのではないか。陰でいじめっ子になっていないか」と言っておきたい。脅迫者の子どもが脅迫者タイプに育っても、「気はやさしくて力持ち」の金太郎タイプなら問題ない。だが、番長かスケバンタイプなら、手下を引き連れ、弱い子や気にくわない子をいじめている可能性が高いだろう。

 あるいは、全く逆パターンとして脅迫者の子どもが受容者タイプであるなら、「いじめられて悩んではいないか。いじめられて自殺するような子どもではないか。それを親にうち明けることもできず、ひそかに苦しんでいないか」とも言っておきたい。

 また、批判者タイプの子で「言うことをよく聞いている」子どもたち。これも果たして問題がないだろうか。
 それなら、なぜ「普通の少年・静かな少年・優秀な少年」が驚くような凶悪事件をひき起こすのだろう。「普通の大人・静かな大人・優秀な大人」がなぜひどい不正や犯罪に手を染めるのだろうか。


 ○ 言うことを 聞かぬと悩む親教師 子どもの心にひそむ快感


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※「エネルギーを与える育て方」の基本は単純なことですが、説教や批判・文句の前に相手の言うことを「まず聞くこと」です。これに関する狂短歌は以下の通り……
 ・ 四タイプ強さを誇り弱さをぐちる 語ることなら大得意
 ・ 四タイプエネルギーを与え合う キャッチボールの会話ができぬ
 ・ 最近は傍観やめて積極的 自分も家族もどこか明るい

 詳細は拙著『狂短歌人生論』にて(^_^)。


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:最近また子が親を殺したり、悲惨な殺人事件が多発しています。犯人がつかまると、周囲の人は異口同音に「静かな人です。とてもそんなことをする人とは思えない」と言います。正に外見は「普通の大人・静かな大人・優秀な大人」が犯罪に手を染めているわけです。(御影祐)




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