○ 幼子が転んで泣いているときに 助け起こすか 自力を待つか
ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」 2008年 6月 27日(金)第99号
宮城内陸地震という天災の後は秋葉原無差別殺傷事件という人災がふりかかりました。
不平不満をカッターナイフで晴らそうとする女性もいたりして落ち着いて外も歩けない世の中になってしまいました。
突如降りかかる天災は防ぎようがありませんが、人災の方はどこかで育ち方、育て方を誤ったのではないか――そんな気もします。
本日は子を持つお父さん、お母さん方のために、幼子(おさなご)を育てるにあたって大切な基本中の基本について書きました(^_^)。
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(^_^)本日の狂短歌(^_^)
○ 幼子が転んで泣いているときに 助け起こすか 自力を待つか
教員時代、国語の授業で生徒――特に女子生徒と次のような問答を交わしたことがある。
私:将来、君たちがお母さんとなって赤ん坊が生まれたとしよう。やがてその子がよちよち歩きを始めて公園デビュー。外を散歩する。そのとき幼子が何かにつまづいてこける。子どもは手をついたまま、わんわん泣いて起き上がらない。
そのときどうする? 助けに行くか。または「起きなさい」と言って、自力で立ちあがるまで待つか。
すると生徒からいろいろ答えが返ってくる。「私は助け起こす」とか「私だったら、子どもが起きあがるまで待つ」などと。
「では子どもにとって親のどんな態度がいいんだろうか」と聞くと、助けた方がいいのか、自力で立ち上がるのを待つ方がいいのか、なかなか決められない。
そこで、私は次のように説明して違う質問を発する。
私:実はこの答えはとても簡単なんだ。子どもがこけた時、毎度毎度助け起こしていたら、その子は親に甘えるばかりで自立した子に育たない。
しかし、逆にいつもいつも突き放して「自力で立ち上がりなさい」とやったのでは、この子は「何て冷たい親なんだ。ちっとも助けてくれない」と思ってしまう。
親が助けてくれない――つまり親に愛されていないと感じた子どもは、大きくなって必ず何かしら問題を起こす。だから、子どもが助けを必要としているときは必ず助けてあげなきゃならない。でも、助けすぎると子どもは自立できない。
だから、あるときは助け起こすけど、あるときは「がんばれ」と励まして支えてやったり、あるときは「自力で立ち上がれ」と言って突き放すんだ。
じゃあ、それはどうやって判断すると思う。つまり、あるときはやさしく助け起こしてやり、あるときは厳しく突き放す。それはなんで判断すると思う?
この質問も生徒にとってはかなり難解なようで、なかなか答えが出てこない。
私が「その子をよーく見ていればわかる」とか「しっかり聞いていればわかる」とヒントを与え、
「もしその子がこけたとき、手か腕を骨折していたらどうか。絶対立ち上がれないだろうね」などと水を向けると、やっと
「泣き声で判断するの?」という答えが返ってくる。
私:そう。泣き声なんだ。子どもがどこか怪我をしたときの泣き声。甘えたいときの泣き声。お母さんならきっとわかる。怪我をしていればとても激しい泣き声だ。甘えたいときには「えーん」て感じで、どこかしら、ああ甘えているな、とわかる。
子どもがとても傷ついている時には、お母さんはすぐに抱き上げてやらなきゃならない。逆にそうでもない、子どもが甘えたいとわかれば、お母さんは厳しく「立ち上がりなさい」と言ったりする。
でも、甘えたい声だからといつもいつも突き放していると、さっきも言ったように子どもはやっぱり親の愛を疑う。だから、甘えているなとわかっても、あるときは抱き上げて充分甘えさせてやるんだ。――
現代の子育てがとても難しいなと思われるのは、この「あるとき甘えさせ、あるとき激励して、あるとき厳しく突き放す」やり方を一人でやらなければならない点だろう。
昔は大ざっぱに言ってお父さんが厳しく、お母さんがやさしかった。だから、お父さんはいつも突き放して「自力で立て」と言い、お母さんはいつもやさしく抱き上げてやるだけで良かった。
ところが、今はお父さんもお母さんもやさしかったり、お父さんは育児に無関心でお母さん一人で子どもを育てたりしている。だから、よけい子育てが難しくなったと思う。
もう一つ、昨年出版した『狂短歌人生論』で説明した「脅迫・批判・傍観・受容」の四タイプとからめて述べるなら、自分が四タイプのいずれであるかによっても「あるとき甘えさせ、あるとき激励して、あるとき厳しく突き放す」やり方がとても難しいことに気づく。
たとえば、脅迫者タイプは我が子が転んだら、怒鳴ってなぐってでも「立て」と言うだけ(^.^)、批判者タイプは厳しく突き放すばかりで、決して助けようとしない(--;)。
また、傍観者タイプは子どもがどんな声で泣いているかなど考えもせず、自分の気まぐれで手を出したりほったらかしにする(-.-)。そして、受容者タイプはもちろんいつでもどんなときでも「よーしよーし」と抱き上げて甘えさせる(^_^)。
だから、自分の気質やタイプを理解した上で、子育てをする必要があると思う。
最後にもう一つ。やがて子どもは大きくなる。親は子どもがある年齢に達すると「どうやら子育ては終わった」と思うようになる。
だが、子どもはいくつになってもつまずいてこける。進路で挫折したり、失恋したり、生きる意欲をなくしたり、仕事や友人関係でおかしな事態が起こったりする。しかし、大人になった子どもはもはや親に心の中を明かさない。
親も「もう大人になったのだから」とほったらかしにすることが多い。あるいは、最近の流行りではどんどん介入して助けてやることも多い。
ここでも幼子と同じ状況が発生する。助けてあげれば、子どもは楽だしありがたい。でも、いつでも親に頼って自立できない大人になる。
先日年老いた両親がめんどうを見ている三十代引きこもり男性のつぶやきを聞いた。「親が死んだら自立できるかもしれない」と言う(^_-)。「ふざけんじゃないよ」とどなりたくなったけれど、一面の真実をついている。
逆に厳しく突き放せば、子どもは自立するかもしれない。でも「親は自分のことなんかどうでもいいんだ」と思って親の愛を疑う。ひどい状況を自力で解決できないと「誰からも愛されない」と思ったわが子は犯罪に走るかもしれない(--;)。
さて、大人になったわが子に対して親はどうあるべきなのか。
私はやはり「あるとき甘えさせ、あるとき激励して、あるとき厳しく突き放す」ことだと思う。
いくつになっても人はつまずくものだから(^_^)。
○ 幼子が転んで泣いているときは あるとき助け また突き放す
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
後記:先日ダービーで久々に勝ったので、ハリケーン災害のミャンマーと大地震の中国四川省に少々寄付しました。トータルではとても人様に恵めるほど稼いでいないのですが、気持ちだけでもという感じです。宮城内陸地震の被災地にも……と思っているのですが明後日の宝塚記念次第です(^.^)。(御影祐)
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