パチンコ必勝法詐欺


○ 必勝法 楽して稼げりゃ苦労なし ダマされ気づくも後の祭り



|本文エッセー | 狂歌ジンセー論トップ | HPトップ|


    MYCM:御影祐の第3弾書籍!(狂短歌+エッセー) 
    書 名=『 狂短歌人生論――本当は愛することより大切な
    全国書店にて販売中! ご注文は書店・インターネットで m(_ _)m
    ☆作者「御影祐」 出版社「本の森」 税込み定価 \ 998円
       詳細は著書紹介コーナー(その3)で



ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2009年 6月 23日(火)第110号


 先日テレビで「パチンコ必勝法詐欺」というのを特集していました。
 ちょっと驚きの内容でした。見過ごした人のために、これはぜひ紹介しておきたいと思い、『西安宵の明星旅』を中断してメルマガで取り上げることにしました(^_^)。
 ちょっと長いですが、パチンコなどギャンブルに関心のない人もぜひお読み下さい。
 なぜ詐欺に引っかかるのか、私なりに掘り下げてみました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 必勝法 楽して稼げりゃ苦労なし ダマされ気づくも後の祭り


 (^O^) ゆとりある人のための20分エッセー (^O^)


 【 パチンコ必勝法詐欺 】

 先日テレビで「パチンコ必勝法詐欺」について特集していた。
 やり口は単純で「この打ち方で絶対パチンコに勝てる」と題して《必勝法》を売りつける詐欺だ。
 ある意味たわいない詐欺に思える。だが、被害額が数百万円となると、そんなに単純ではない。

 それでも話を聞いてみると、最初は少額から始まり、どんどん深入りして大金をだまし取られている。これも詐欺やネズミ講でよく聞く流れだ。つまり、当初は《必勝法》の値段が二万か三万円。パチンコをやらない人なら、かなり高いと思うけれど、宣伝文句に「本来なら十万の所、今回は特別に二万でお分けします」とやられると弱い。
 なぜなら、最近のパチンコははまると軽く十万稼げるが、一回で数万負けるのもざらだという。
 愛好家は「二万程度で本当に必勝法が手に入るならかなり安い」と思うはずだ(^.^)。

 かくして週刊誌やインターネットで広告を見た人が、試しに買ってみる。
 数日後《必勝法》が届く。パチンコ店で実践する。全く効かない(^_-)。
 ここでだまされたと思ってやめれば、まだいい方だ(と後で知る)。

 だが、「全く効かないじゃないか」と業者に電話する人もいる。
 問題はここからだ

 業者は「あの手法は古くなって効かなくなりました。しかし、もっといいのがあります。これは本物です」と別の必勝法をすすめる。もちろんタダではない。そちらは十数万もする。
 だが、ここでも「迷惑をかけましたから」と半額以下にまけてくれる。
 そこまで言うのなら、今度は本物だろう。そう思って五万円の《必勝法》を買う。

 数日後二度目の《必勝法》が届く。やってみる。やっぱりうまくいかない(--;)。
 また業者に電話する。「効かないじゃないか! だましたんだろ!」と怒って。

 業者はいろいろ言い訳をして「これなら間違いない。五百万円の必勝法があります。これは全機種に使える必勝法です。だから高いのです。でも、お客さんに全額負担させては申し訳ない。私が自腹で二百万円出します。三百万出してください。そうすれば、この完全必勝法を譲ります」と。

 パチンコ愛好家がこれを聞いて「毒を食らわば皿まで」と思ったかどうか知らない。
 あるいは「それだけ高額なら本物かもしれない」と思った可能性はある。
 全機種対応という売り文句が大きい。仮に三百万払っても、毎日十万稼げたら一カ月で取り戻せる。五万の稼ぎでも二ヶ月で完済だ。それ以後は年収数千万だって夢じゃない。(おそらく)そう思って三百万を振り込んだのだろう。手持ちの金がなければ、サラ金から借金する。

 ここで終わる場合もある。
 金を振り込んだ後、待てど暮らせど《完全必勝法》が届かない。
 業者に電話するとつながらない――だまされたと気づく(-.-)。

 だが、ケツの毛までむしり取る業者もいるようだ。
 《完全必勝法》がなかなか届かないので再度電話をした。
 すると相手は「私が負担する予定だった二百万の都合がつかなくなりました。妻が倒れ……子どもが病気になって……何やらかにやら」といろいろ泣き言を並べて、最後の二百万をむしり取る。

 かくして被害は総額五百数十万円
 そこまでやられてやっと詐欺だと気づく。だが、もはや後の祭り(T_T)。

 その後は業者に電話しても出るものではない。会社名が記されていた住所を訪ねても、会社は存在しない。
 老後の資金と思って貯金していた数百万がなくなった。あるいは、サラ金の借金だけが残された(--;)。

 こうして文章にすると「そんなバカな。どうしてそんなに簡単にだまされたんだろう」と思う。
 パチンコ協会の人は「パチンコに必勝法なんてありませんよ」と言っている。

 だが、きっと巧妙な言葉がつらなっているに違いない。どこかで踏みとどまればそこで終わる詐欺だ。なのに、なぜ最後までいってしまうのか。

 なによりも楽して生きたい、パチンコで儲かりたい、パチンコにはきっと必勝法があるに違いないと思い込んでいる。そして、すでに必勝法を買うのに、数万から十数万使った。それを取り戻したいという思いもあったはずだ。
 私も競馬をやるので、そのへんの心境はよーくわかる(^_^;)。
 毎レース買い続けて負けが込むと、かーっと熱くなる。一日の負けを取り戻そうと最終レースにどかんと注ぎ込む。
 そして、負けてため息をつく……。
 もっとも、競馬で使う金は「命から十番目の金」と決めているので、自分の仕事や生活を壊してしまうほど競馬にのめりこんだことはない。

 それから思うことがある。なぜこのような詐欺にかかってしまうのか。もしかしたら詐欺にかかりやすいタイプの人がいるのではないかと。
 たとえば、自分に不利益が起こった時、必ず文句を言うような性格の人がかかりやすいかもしれない――と言ったら言いすぎだろうか。

 ときどき商店やレストランで「ああだこうだ」と文句を言っている人を見かける。
 聞けばその文句や苦情は正当であることが多い。ただ「大目に見て許してもいいんじゃないか」と思うこともある。だが、彼は正当な苦情として店側にぶちまけている。
 店員や主人は平身低頭で謝っている。「料金は結構です」と言われる場合もある(^.^)。

 そのような人は『パチンコ必勝法』がうまくいかないと、「全く効かないじゃないか」と怒りまくって業者に電話をかけそうだ。
 向こうも最初は平身低頭で謝るのではないか。「料金はお返しします」と言うかもしれない。
 だが、その後「こちらは本物です。あと2万出してくれれば」と言われれば、乗ってしまいそうだ。
 そこが泥沼の始まりだ。
 向こうはたぶん「鯛がエビにかかった」と内心ほくそえんでいるに違いない。
 普段から《正当な苦情》を口にする人は、この種の詐欺にかかりやすいかもしれない。

 自分はパチンコや競馬などやらないし、苦情を言うようなタイプでもないから大丈夫――そう思っている人は多いだろう。では、次の例はどうだろうか。

 たとえば、子どもが生まれない夫婦。すでに不妊治療で何年も病院に通っているのに、効果が現れない夫婦は世の中にたくさんいると聞く。そのような人に対してインターネットで「病院に行かなくても妊娠できる方法」が売られている。

 番組がその方法とやらを購入して内容が紹介されていた。
 読んでみると、食事や運動など普段の生活で注意すべき、ごくまともなことが書かれているだけだ。

 専門医は「確かにこうした食事や生活態度を実践するのはいいことだが、これだけで妊娠するとはとても思えない。もしこれを信じて病院に行かなくなったら、その方が取り返しがつかないことになる」と言う。

 このような《治療法》が売れるなら、「癌になったら病院に行かなくても治せる方法」もきっと売り出されるに違いない。そして癌になった人はすがる思いで購入するだろう。嘘でも数千円なら安いと思って。
 私は以前狂短歌で《許せない! ネズミ講式販売法 人の弱みにつけ込む商法》と詠んで「ネズミ講式販売法」を取り上げた。「癌に効く健康飲料水」をネズミ講で販売するやり方だって詐欺商法に近いと思う。
 私たちは弱い立場になると「だまされているかもしれない」と思っても手を出す
 だから、いつでも詐欺に引っかかる可能性があるような気がする。

 これだけでなく「働かなくてもすぐに二百万手に入る方法」も売られている。
 これが「ローンやサラ金で二百万借りまくってその後自己破産を申請する」ことだという。
「バカにするな」と言いたくなる。だが、支払った金は戻ってこない。

 これだったら、私にもできる。競馬をやる私はときどき友人たちに「競馬で必ず勝てる方法」を教えている。
 友人は「なんだ、なんだ」と目を輝かせる(^.^)。
 私は次のように答える。
「その必勝法とは馬券を買わないで、競馬をやったと思ってその金を貯金することです」と。
 必ず「なんだ、そりゃ」とバカにされる。

 これら「〜なんとか法」の料金が数千円である。切実な悩みを抱えた人が食い物にされる。だまされたと思っても被害が数千円なら「人生勉強だ」と思ってあきらめる。
 昔なら、これらの詐欺には元手がかかった。新聞や雑誌・週刊誌に宣伝を出せば、数十万からときには数百万がかかるだろう。だが、今ならインターネットでホームページを作っておくだけだ。毎月あほな連中が金を振り込んでくれる。たぶん詐欺師たちはみなそう思って高笑いしているだろう。

 もう一つテレビで驚くべき詐欺まがい商法が紹介されていた。

 建設会社に新築一戸建ての建設費二千万円を振り込んだら、その直後に倒産されてその金が戻ってこないという話だ。不況下では時折聞く話ではある。
 ただ、最悪なのは金を振り込んだ翌日に倒産されていることだ。明らかに計画倒産の疑いがあり、その前に少しでも金をせしめようとだまされた感じだ。

 しかし、これを警戒して見抜くのはとても難しいだろう。
 というのは社長や幹部以外のヒラ社員は自社が倒産するなどと思いもせず、真面目に新築住宅建設をすすめている。彼らは一生懸命働いているから、見抜くのは相当難しい。
 しかも、その建設会社はかなり大手で信頼もかち得ている。

 だが、話をよく聞いてみると「おかしいな」と思わせる点が多々ある。
 普通こうした多額の契約では最初に全額を振り込ませることはない。契約時に三分の一、着工で三分の一、建設終了後に残りを、といった流れだ。
 ところが、この場合は最初に建築費用二千万を全額振り込んでほしいと話が来ている。

 ここでもおいしい話がある。本来の建設費は三千万だが、「何月何日までに全額振り込んでもらえれば大幅値引きとなり、たった二千万で家が建ちます」と誘われているのだ。
 二千万は「たったじゃない」と思うけれど、三千万が二千万になるんだったら「今がチャンス」と思うかもしれない。
 私たちはこうした「おいしい話」にも弱いのだ。

 売り込みに来た社員も「これを過ぎると、もうこれほどの割引はありません。今だけです」と迫る。
 それは全て会社の指示であり、社員だって自分の会社が直後に倒産するなどと思ってもいない。
 だが、実質的には計画倒産であり、倒産直前の詐欺まがい商法だ。
 被害者は訴訟を起こしているが、弁護士は被害額の一、二割程度しか戻ってこないだろうという。

 これに引っかかった若い夫婦がテレビに登場していた。妻の手には赤ん坊が抱かれている。
 二人はテレビスタッフに契約書を見せた。社長印が押されているが、調べてみると決済日は破産について裁判所と相談した後の印だとわかった。明らかに確信犯だ(`´)。

 夫婦は二千万を銀行から借金した。だから、これから三十五年間毎月十万のローンを返さねばならない。だが、一戸建てのマイホームはできない。妻は怒りとも悲しみともつかない声で「せめてお金だけは返してほしい」と訴えていた。赤ん坊が泣き出す。

 悲惨な話だ。だが、敢えて言うこともできる。これを防いだ人もいたはずだと。

 第六感を働かせ、人と相談して、こうしたニュースに日々耳を傾け、慎重に慎重にこの買い物に付き合った人。人知れず「倒産前に金を払わなくて良かったね」と安堵した人がいたはずだ。
 あるいは「手付け金の十万は払っちゃったけど、それで終わって不幸中の幸いだったね」と会話できた夫婦も。

 こうした話をすすめる時、途中でへんなことが起こったら、「おかしい、何かへんだ」と感じるかどうか。自分たちだけで決めずに家族や友人と相談するかどうか。家族や友人、人生の先輩がいろいろ語ってくれることを、しっかり聞ける素直な耳を持っているかどうか。
 さらに、お父さんやお母さんが息子や娘のことを本気で心配してくれるかどうか。
 こうした人は引っかからないような気がする。あるいは、誰かが「なんだかおかしな話だ。危ないよ」と言って引き留めてくれそうな気がする

 しかし、父や母の苦言に対して「うるさいなあ」と思い、それを口にする息子や娘なら、こうしたおいしい話に引っかかるのではないか。「俺たちのやることに間違いはない。大丈夫だよ」と自信にあふれている人も「おかしい」という第六感を働かせることがないような気がする。

 あるいは、世の中の動きに関心がなく、自分のことしか考えない。「寄らば大樹の陰」と言うように、大きな木のそばに寄りかかって何も感じ考えることがなければ、大木が突然倒れたとき、避難し損なうことがありそうだ。

 このように書くと、詐欺師や計画倒産をはかった連中より、引っかかる方が悪いと言っているように聞こえるかもしれない。
 もちろん確信犯の詐欺師や首謀者が悪いことは言うまでもない。極論だが、彼らは何度でも同じことをやる。だから、死刑にしなけりゃ直せないんじゃないかとさえ思う。

 だが、世の中から詐欺や詐欺まがい商法を根絶することはおそらく不可能だろう。
 いろいろな投資話、ネズミ講も手を変え品を変えて登場する。その都度必ず引っかかる人が出る。
 ならば、引っかからないようにするにはどうするか、私はそちらを真剣に考えるべきだと思う。

 日本には「タダほど高いものはない」ということわざがある。
 おいしい話を聞いたら、まず「どこかへんだ」と思うこと。おいしい話の裏に何かあるのではないかと勘ぐること。
 そんな第六感を普段から磨いておく必要があるのではないだろうか。


 ○ だまされる要素はみんな持っている 大切なのは第六感


=================================
 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:毎日のように暗いニュースが続きますが、明るい話題もありました。全盲のピアニスト辻井伸行さんが6月7日に「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」で優勝したとのこと。ショパンコンクールに並ぶほどのコンクールで日本人として初。それも目が全く見えないというのだから驚きです。私もテレビで見ましたが、感動ものの演奏でした。これからの活躍が楽しみです(^_^)。(御影祐)




次[2010年119号] へ



ページトップ





狂歌今日行くジンセー論 トップ

HPトップ



Copyright(C) 2009 MIKAGEYUU.All rights reserved.