○ 台形の公式暗記するよりも 三角二つ足せばよし
ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」 2011年 4月 8日(金)第 132号
前メルマガ発行後、一読者から「大災害にあわれた方への思い、父を亡くした思いまで不思議なほど同じ」と共感のメールをいただきました。ありがとうございました。
正直弱々しい内容だっただけに、どう思われるか心配な面がありました。共感していただき、とても嬉しく思いました。
その方は「いつか割かれた木の横からきっときっと小さな芽が出てくることを信じています」との言葉もありました。
私も被災地と被災された方々に小さな芽が芽生えると信じて祈りたいと思います。
それから私は4月1日をもって喪明けとしたので、今号から普通のメルマガに戻ります。
顔文字もいつものように使います。
さて、4月から全国の小学校で新学習指導要領が全面実施されました。
これによってこれまで「ゆとり教育」で削除されていた単元がかなり復活されるそうです。
算数でその象徴のように言われているのが台形の面積公式です。
いわゆる「ジョーテー足すカテーかけ高さ割る2」というやつ(^_^)。
台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2
私は小学校のころ授業でやった年齢なので、それがゆとりで削除され、教えられなくなったと初めて知りましたし、今回復活したと聞いたときも妙な感じでした。
と言うのは、台形の面積公式はやってもいいし、やらなくても構わないようなもので……少なくともその公式をただ丸暗記するような教え方、学び方がなされるなら、結局何の意味もないような気がするからです。
つまり、台形の面積公式は別に丸暗記する必要はなく、また忘れてしまっても全く構わないものだと思います。
なぜなら、あるちょっとしたことさえ知っていれば、いつでも誰でも簡単に計算できるからです(^_^)。
今回はこの件について書きました。珍しく算数実戦問題です(^.^)。
ところで、本題の前にクイズを一つ。
読者各位が台形を勉強するお子さんの関係者だったとして、子どもから以下のような質問をされたら、なんと答えますか。
質問: 台形の公式[(上底+下底)×高さ÷2]の「下底」って下にある辺だから「底」でわかるんだけど、
「上底」って台形の上の辺じゃない。なのにどうして「底」なの?
(^_^)本日の狂短歌(^_^)
○ 台形の公式暗記するよりも 三角二つ足せばよし
たとえば、台形左上の頂点をAとして反時計回りにBCDと付け、高さをHとすると、
台形ABCDの面積公式は[(上底+下底)×高さ÷2]だから、
[面積=(AD+BC)× H ÷2]となります。
例題として下の辺が6センチ、上の辺が4センチ、高さ3センチの台形とすると、
台形の面積=(4+6)×3÷2=10×3÷2=15(平方センチ)です。
では、なぜ上の辺なのに[上底](上の底)などと、妙ちきりんな名前が付いているのでしょうか。
この疑問に答えられる人は、台形の面積公式の意味を理解している人です。
答えられない人は、残念ながらこの公式の意味を理解していません。
意味を理解していない人がこの公式を言えたとしても、それはただ丸暗記しているだけで、なんの意味もない……と言ったらちょっと言い過ぎですが、やっぱり無意味だと思います(^.^)。
なぜなら、丸暗記というやつは忘れてしまったらそれっきりだからです。
小学校で一生懸命丸暗記したけど「そんなの覚えてらんないよ」ところり忘れてしまったら、中学校、高校になって台形の面積を求める応用問題が出題されたとき、解けずにお手上げでしょう。
しかし、この公式の《意味を理解》していれば、仮に台形の面積公式を忘れても、簡単に台形の面積を出すことができます。
というのは《台形とは三角形を二つ足したもの》であり、それを計算すればいいからです。
数学・算数の図形問題を解くとき、よく補助線というのが使われます。
この台形ABCDの中にACかBDの対角線を補助線として引いてみます。
ここはACに補助線を引いたものとして考えましょう。
すると台形は下の辺BCを底辺とする三角形ABCと、上の辺ADを底辺とする逆向き三角形ADCの二つができることに気づきます。
つまり、台形ABCDとは下の三角形ABCと上の逆向き三角形ADCの二つが合体されたものなのです。
ここらで…… 「そうか! だから上の辺なのに上底なんだ!」と叫んだ人は勘のいい人です(^.^)。
そうなんです。台形の上の辺は逆向き三角形にとって《底辺》にあたるのです。
……で本題に戻って
ということは台形ABCDの面積は
=[三角形ABCの面積+三角形ADCの面積]となります。
三角形の面積の公式は有名な[底辺×高さ÷2]です。
この二つの三角形の高さはいずれも同じ[H]です。
上の逆向き三角形の底辺はAD、下の三角形の底辺はBC。
よって、
上の三角形ADCの面積=AD×H÷2
下の三角形ABCの面積=BC×H÷2
ゆえに、
台形ABCDの面積=(AD×H÷2)+(BC×H÷2) ……となります。
そして、数学では同じものをかけたり割ったりするとき( )を使って簡単な式としてまとめることができます(ここから先は小学生にはちょっと難しすぎるかもしれません)。
つまり三角形二つを足す[(AD×H÷2)+(BC×H÷2)]の式の中で、[×H]と[÷2]は( )の外に出して
=[(AD+BC)×H÷2]とできるのです。
これが台形の面積公式[(上底+下底)×高さ÷2]です。
辺BCは台形の下の三角形の底辺だから[下底]と名付け、辺ADは台形の上の辺だけど、
逆向き三角形の底辺になるから[上底]と妙ちきりんな名を付けて公式が完成したわけです。
これ[(上辺+底辺)×高さ÷2]としても良かったはずです。
しかし、どなたが名付けたか知りませんが、[上底]とつけたのは「上の辺は逆向き三角形の底辺だよ」と教えるための、数学者のやさしい親心からではないかと想像します(^_^)。
かくして、もしも児童生徒から、
「台形の面積公式の上底って上にある辺なのに、どうして底なの?」と質問されたら、
「それはね。台形に対角線を1本引くでしょ。すると三角形が二つできるじゃないか。下の三角形と逆向きになった上の三角形だ。上の辺は逆向き三角形の底辺になるんだ。そこで、上にあるけど底の辺だよ――そこんとこ注意してねって意味で[上底]と名前をつけたのさ」と答えればいいのです(^_^)。
例題の下の辺が6センチ、上の辺が4センチ、高さ3センチの台形の場合、
公式[(上底+下底)×高さ÷2]を使えば
台形の面積=(4+6)×3÷2=10×3÷2=15
二つの三角形の面積を足すやり方で計算すれば、
台形の面積=4×3÷2+6×3÷2= 6+9 =15
もちろん同じ答えが出ます。
こうして見てくると、台形の面積を出すときは後者の[二つの三角形の面積を足すやり方]で充分だと思いませんか(^.^)。
これが今号の初めに「無理して台形の面積公式を丸暗記する必要はない」と言った理由です。
さらに、二つの三角形を足すやり方は台形の面積公式を忘れても使える点がみそです。
そもそも「上底(ジョーテー)」なんて普段使わないし、本来あり得ない言葉だから、忘れるに決まっています。
しかし「台形の面積は二つの三角形の面積を足せばいい」が頭の隅に残っていれば、公式を忘れてもオッケー。三角形の面積公式さえ忘れていなければ、簡単に台形の面積を計算することができます(^_^)。
私に言わせれば、台形の面積公式は別に改めてやる必要はなく、三角形の面積を勉強するとき、「ついでに台形の面積は三角形を二つ足せば出せるよ」と教えて問題をいくつか解き、「も一つついでに台形の面積公式もあるよ」とやれば充分ではないかと思います。
最後に、実はここで最も大切なことは台形に補助線を引いて二つの三角形に分けたことです。
これこそ算数・数学の基本中の基本で、面積の公式を覚えること以上に、最も重要なことなのです。
次回「その2」で、この点についてもう少し解説したいと思います(^_^)。
○ 台形の公式暗記するよりも 三角二つ足せばよし
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最後まで読んでいただきありがとうございました。(御影祐)
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