「弟の感情」


○ 弟はいつでも兄と競りたがる 反抗期だと決めつけないで



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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2011年 10月 28日(金)第 138号


 今回も前号に続いて「子どもの情景」です。
 前号は三人姉妹の一番上と真ん中の心と感情を取り上げました。
 今回は二人兄弟の下の子の気持ちについて――です(^_^)。

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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 弟はいつでも兄と競りたがる 反抗期だと決めつけないで

 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)


 【 弟の感情 】

 先日穏やかな秋の日差しの下、隣町まで散歩したとき、とあるセルフ式うどん屋で昼飯を食べました。
 以下はそのとき、たまたま見かけた幼い兄弟の情景です(^_^)。

 私がうどんを運んですすり始めると、二つほど離れた先のテーブルに若い父母、彼らの子どもらしい兄弟二人がやって来ました。兄は4歳か5歳くらいで、弟はその一つ下くらい。身長差は10センチ程度でした。

 最初そこに現れたのは弟の方です。
 彼は(よくわかっているようで)窓の方に置かれた幼児用のイスに手を掛け、テーブルの方に引きずって運びました。いわゆる座るところが高いイスです。親に言われる前に準備するなんて、なかなか感心な子です(^_^)。

 直後に兄が現れ、二人は言葉を交わしました(内容は聞き取れませんでした)。
 すると弟は幼児用のイスを、また窓際に戻したのです。あれっと思いました。
 窓際には幼児用のイスが三ヶありました。
 あるいは、弟が兄の分も運ぼうとしたら、兄が「おれはいらないよ」と言ったのかもしれません。兄の方は普通のイスに座ったからです。
 弟も幼児用イスを元に戻すと、兄のように普通のイスに座りました。

 そこへ若い母親と父親がうどんを持ってテーブルまで来ました。
 お父さんは弟が窓の方に片づけた幼児用イスを、またテーブルに付けて弟と言葉を交わします。どうも「これに座れ」と言っているようです。兄の方はそのままでした。

 ところが、そこから弟がぐずり始めます。幼児用のイスに「座りたくない」と言っている感じです。ちょっと押し問答が続きました。
 らちがあかないと見たか、父親はその子を抱きかかえて無理矢理座らせようとしました。
 すると、弟は両腕を上げ体を伸ばして「いやだあ」と言った様子を見せます。泣くような、わめくような奇声も発しました。

 幸いなことは若いお父さんもお母さんも、その子を叩いたり、厳しく叱りつける感じが見られなかったことです。が、ぐずる我が子に対して「どうしてこんなかなあ」と戸惑い、うんざりしている表情も見えました。その子と兄の会話や様子は見ていなかったようです。
 この間兄は神妙に座っていました(^.^)。

 時間にして約数分ほど、親と子の小さな格闘があり、結果その子はあきらめたのか、幼児用のイスに座り、その後一家でうどんをすすりました。食べ始めれば、幼子もけろりとしています(^_^)。

 ほほえましい光景ながら、私は――自分も兄と弟、二人兄弟の下だったので――自分の幼い頃を思い出したものです。私は弟の心中がとてもよくわかりました。

 よく第一反抗期などと呼ばれて自我に目覚める数歳のころ、子どもが親に反抗し始めると言います。この場合も親の言うことを聞かず、ぐずっているその子は「反抗期ですね」の一言で片付けられるかもしれません。
 しかし、その子の感情の流れはとても単純だし、「解決の方法も簡単なんだがなあ」と思いました。

 つまり、弟は兄が普通のイスに座ると知って彼と競り合うかのように自分も普通のイスに座りたいと思ったわけです。だから彼は(最初は座ろうとした)幼児用イスに座るのを拒んだのです。
 よって、親としては弟のその気持ちをくみ取り、要求通り普通のイスに座らせてあげれば、彼はぐずることもなく、反抗もしなかったでしょう。
 私が見る限り、兄と弟はさほど身長差がなかったので、普通のイスでも大丈夫ではないかと思いました。

 しかし、両親にしてみれば(弟の気持ちがわかったとしても)「まだ早い」と思ったか、熱い麺や汁の入ったお椀を持つから危険と思ったか、いずれにせよ弟の気持ちを認めようとはしませんでした。

 私は「いつかは普通のイスに座るようになるんだから、これが初めての機会なら、やらせればいいのに」と思いました。
 もっとも、それは外野の見方であって、いつも彼の失敗を見ている(?)両親にしてみれば、そう簡単にやらせるわけにはいかなかったのかもしれません。

 ただ、同姓二人の子を持つ親御さんは気づいてほしいものだと思います。
 兄弟姉妹の下の方は、いつでも上と張り合い、競り合う気持ちがあることを(^.^)。

 この逆に、弟や妹は概して兄や姉に頼る(甘える?)傾向もあり、下の方にいつ「自立」を教えるか、これも親にとって意識すべき課題だと思います。

 これに関連して思い出すことがあります。それは確か私が五歳か六歳ころのことです。
 ある日のこと、父が私だけに戦車のプラモデルを買ってきてくれて「お前ひとりで作れ」と言われたことがあります。

 私と兄は四つ違いなので、兄はそのころすでにプラモ作りのベテラン。とてもきれいに作り上げます。
 対して私はいまだ初心者クラスで、それまで私がプラモを組み立てるときはいつも兄に手伝ってもらっていました。
 ところが、父は「全部一人でやれ」と言うのです。

 私はそれからとても苦労してプラモ制作に励みました。なかなかうまくいかず、見かねた兄が時折手伝おうと手を出しかけます。
 しかし、父は兄に「手を出すな」と言い、兄は手を引っ込めました。
 それから数時間後私はセメダインがぐっちゃぐっちゃにはみ出たとても汚い戦車のプラモデルを、確かに一人で作り上げたのです(^.^)。

 これは後で振り返ると、父が私に「自立」を教えたのだな、と思って我が親ながら感心したものです。この後私はプラモデルを一人で組み立てるようになり、やがて兄並みのきれいな作品を作り上げることができるようになりましたから(^_^)。


 ○ 弟はいつでも兄と競りたがる 反抗期だと決めつけないで


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:タイの洪水は悲惨な状況になって心配ですね。日本の企業がそれほど多く進出しているとは知りませんでした。被災された方々にお見舞い申し上げます。
 ところで、目下「臓器移植」についてメルマガ原稿を書いています。10月から免許証と健康保険証の裏面に[臓器移植意志カード]が貼り付けられ、いやおうなくこの件について考えざるをえなくなりました。11月は完成した『空海マオの青春』の推敲や、その他もあって結構多忙です。そこで来月は休刊として12月から再開したいと思います(^_^)。(御影祐)



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