「空海マオの青春」始めに


○ 空海の生身の姿描くため 歴史の海をかきわけ行かん



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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2012年 2月 2日(木)第 141号


 完成した『空海マオの青春』ですが、2月13日(月)よりメルマガ配信することが決まりました。
 作者としては、出版できないことだし、取材費はかかったし、生活は苦しいし、有料メルマガにしたかったところです(^_^;)。
 しかし、無名とは悲しいもので、とても有料で読んでもらえるとは思えません。
 そこで断腸の思いで――は大げさですが(^.^)、あっさり無料配信としました。

 本ホームページ[空海伝]コーナーに詳細を記し、メルマガ登録ページを作成してあります。

 今号はメルマガ配信に当たって「始めに――内容紹介」を書きました。
 [本号の内容は「空海伝」始めに――内容紹介と同じものです]
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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 空海の生身の姿描くため 歴史の海をかきわけ行かん

 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)


 【『空海マオの青春』始めに 】

 本作は弘法大師空海が「マオ(真魚)」と呼ばれた少年期・青年期を描いた歴史小説です。
 後の空海マオは十四歳で、故郷讃岐から桓武天皇治世の帝都長岡に上京して叔父の元で儒学を学びます。十七歳で大学寮に入学するも一年後か二年後に退学。そして仏教に進み、山岳修行に励むと、四国太龍山、室戸岬双子洞窟において二度の「求聞持法(ぐもんじほう)百万遍修行」に入ります。室戸岬の修行では、明星が口に飛び込む神秘体験を得ています。
 そして二十三歳のときに儒教・道教・仏教を比較した「聾瞽指帰(ろうこしいき)」を書き、「三教指帰(さんごうしいき)」と改題して発表しました。

 ところが、そこから六年間空海の消息はぷつりと絶えます。その後三十歳で突如遣唐使の一員として唐に渡ると、わずか一年で密教第八祖阿闍梨(あじゃり)となり、三十二歳で帰国――空海の青春をそこまでとするなら、これは事実として知られていることであり、私もそのまま書き込んでいる大まかな流れです。

 しかし、この骨組みに肉を付け、血を通わせて人間空海、生身の空海を描くことは至難の業です。
 と言うのは空海自身が細部を語っていないし、同時代人による言葉、公の資料も数少ないからです。

 たとえば、「空海絵詞(えことば)伝」にあるように、空海が幼い頃から仏教に進むと思っていたなら、なぜ官僚養成の大学寮に入ったのか。なぜ退学したのか。奈良仏教に入門して何を考え、何を感じたのか。なぜ山岳修行に走ったのか。求聞持法百万遍修行によって何をつかんだのか。「聾瞽指帰」と「三教指帰」はどのような位置関係にあったのか。なぜ三教を比較する必要があったのか等々……。
 そして、二十代空白の六年間に何があったのか。突如遣唐使の一員となった経緯(いきさつ)。最後に入唐わずか一年で密教阿闍梨(あじゃり)位を得たわけ。そもそも空海はいつ得度したのか。それすら確定していません。これらは全て謎のままであり、結論が出されていないのです。

 さらに空海が到達した境地――密教とは何か。空海は人々に何を説いたのか
 密教について書かれた空海の著書は膨大な量に上ります。しかし、それはあまりに難しく、諸家の解説もわかりやすいとは言えません。そもそも仏教自体の難解さもあって「では簡単に言うと、どういうことですか」と聞きたくなります。

 私は本書『空海マオの青春』を通じてこの二つの難題に挑戦しました。

 空海の少年期・青年期を詳細に描き、その謎を解き明かすこと。そして空海が到達した境地をわかりやすく解説すること。
 それを一言でまとめるなら、天才空海のイメージより、むしろごく普通の少年・青年が悩むような青年期であったこと。しかし、自利(じり)と利他(りた)の行を通じてやがて歓喜の人生を歩み、夢を叶える――そのような物語として描くことができました。

 たとえば推理小説や著名作家の文学的長編なら、「これからどのようなストーリー展開となるか。はらはらどきどきする場面や謎解きがあって結末はどうなるか。大どんでん返しがあるだろうか」など興味関心をもって読み進めるでしょう。
 しかし、偉人伝や戦国時代小説などは大きな流れや結末がある程度知られています。つまり、結果はわかっているのであり、興味は途中がいかに描かれているか、そこに尽きると言えます。

 空海の場合も骨組みとしての結論はわかっています。大切なのは途中経過であり、そこをどう読みとるか。
 人間空海、生身の空海が迷い悩む姿、笑い、泣き、最後に夢を叶える青春時代を、ぜひ自分のものにしていただきたいと思います。

 なお、私は人間空海、生身の空海を描くことを目的としたため、空海信奉者、真言宗関係の方々にとっては、不愉快な表現がまま見られることと思います。
 しかし、そこで投げ捨てず、ぜひ最後まで読んでいただきたい。最後まで読めば、きっとわかってもらえると思います。

                         2012年2月1日  御影 祐


 ○ 空海の生身の姿描くため 歴史の海をかきわけ行かん


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 『空海マオの青春』は前・後編――全七章七十六節から成り、見出しは以下の通りです。

 ※『空海マオの青春』各章見出し
  前 編
  第一章 志学――側近政治家
  第二章 挫折――大学寮退学
  第三章 迷い――三教の狭間
  第四章 仏教――室戸の覚醒
  後 編
  第五章 探求――新しい仏教
  第六章 肯定――空無と清浄
  第七章 密教――夢の 実 現

 当初は五百枚程度の枚数を目指していたのですが、合わせて一千枚近い長編となってしまいました。
 なお、前編は6月5日の金星日面通過に間に合わせたいので、週3回配信して五月始め頃に第四章まで終える予定です。
 その後第五章以降は週1〜2回の配信を考えています。
 そのため、メルマガ配信は半年から1年近くかかると思われます。

 また、メルマガは横書き・ルビなしです。この本文のようにルビを( )に入れて配信すると、見栄えが良くないので、難読漢字はメルマガの最初に置きました。
 このようなわけで、タテ書き・ルビ付きの『空海マオの青春』全章を[HTM]または[PDF]ファイル化した電子版を制作しました。
 こちらは有料(全章500円、現在無料)にすることをご了承下さい。 m(_ _)m
 ご希望の方にはお譲りいたします。
 こちらも詳細はホームページをご覧下さい。 御影 祐



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