「応援の言葉――がんばれ」


○ 頑張れは ただ純粋に 応援の言葉なんだと 教えてくれた



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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2012年12月26日(水)第 149号


 全国的にクリスマス寒波襲来で豪雪地帯は大変だと思います。
 我が実家も九州大分ながら、内陸ゆえか真冬は北陸並みの寒さになります。
 なにしろ九州で始めてスキー場が開設された町ですから。

 私事ながら、毎年クリスマス前後には仲間と二泊三日の京奈良旅行を開催しています。今年は私が帰郷したため、九州大分バージョンとしてくれました。
 いつもなら多くて四、五人なのに、今年は七人も参加。一泊は福岡博多で、もう一泊は私の実家となりました。田舎は寒いし、雪が降るはでなかなか大変でした。それでも24日、無事大分空港でお別れできました。なかなか面白かったので、この顛末メルマガにしようかしら、などと考えています(^.^)。

 さて、今号は本年最後の狂短歌メルマガとなります。
 前号は「がんばらないでがんばる」について書き、後記に「これをもって『がんばる』論は終わりにできそうです。もうこれ以上はないでしょう」と記しました。
 ところが……(^_^)
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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 頑張れは ただ純粋に 応援の言葉なんだと 教えてくれた

 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)

 【 応援の言葉――がんばれ 】

 本題に入る前に、ちょっと「妙なお話」を(^_^)。

 みなさんは「必要なときに必要なものがやって来る」という考え方というか物の見方があるのを聞いたことがあるでしょうか。
 たとえば、現在何か困っていることがある。精神的に落ち込んでいたり、なかなか元気になれずぼんやりしている。良くないなあと思いつつ、やる気が出ない。

 そんなとき思いがけない人が訪ねて来て言葉を交わしたら、なぜか意欲が沸いてきた。あるいは、たまたま見たテレビのニュースやドラマから、同じ状況にある人の話を聞いて大いに役立った。または映画、読書、新聞記事などで感銘を受ける内容と出会い、「よーし。やるぞー」と決意する……などです。

 私自身こうした体験がかなりあるので、元気が出ないときは「何か起きないか。誰か来ないか」と偶然の出来事を期待したりします(^.^)。あるいは、それを求めて「取りあえず外に出る」こともあります。
 そして、おやっと思う出来事に出会うと「来た来た。必要なものがやって来た」とひそかににやにやするのです(^_^)。実例は別の機会に語りたいと思います。

 こうした体験が重なって良くなったことは「あまりあわてなくなった」ことです。いらつかなくなくなったし、我慢できるようになったとも言えます。
 なぜなら、困っていること、弱った状態に陥っても「何かが起きる。何かがやって来てこの状態を、自分を変えてくれる」と思えるから、それを待てばいいのです。
 これを逆に言うと、何か失敗を犯したり、(創作活動で言うなら)何か間違ったことを書いても、「その後それを訂正・修正する何かが起こる」とも言えます。つまり正しい方向に進ませてくれるのです。
 こちらも実例を語ると長くなるので書きませんが、結構あります。しかも、それが深夜だったりするから、不思議で面白いのです。

 さて、ここからが本題です(^_^)。

 先月メルマガ「がんばらないでがんばる」を公表したのは16日のことでした。
 その後月末になって睡眠不調に陥り、昼夜逆転したような生活となりました。冬から春とか、夏から秋など季節の変わり目によく起こります。
 症状は午後十時前後に寝ると、なぜか数時間後目が覚めてしばらく眠れないのです。悶々とした挙げ句また眠りについたり、時には起きだしてテレビを付けたりします。結果二度寝となるので、日中もしゃきっとしません。まー年がら年中ではなく季節の変わり目だけなので、最近はあきらめています(^_^;)。

 それは11月30日のことでした。睡眠不順はまだ解消されておらず、深夜3時頃に目が覚めました。どうにも眠れそうになかったので起きだしてテレビを付けました。チャンネルはたまたまNHK(のまま)でした。

 すると、若いきれいな女性が登場してディスクジョッキーみたいなことをやっていて……そのうち中学生も登場して合唱部やNコンの話題になり……やがて「がんばる」の言葉がたくさん出てきたとき「おやあ」と思いました(^_^;)。

 その後番組を最後まで見たこと、言うまでもありません。
 そして、終了後「参った。もう書かないつもりだったのに、がんばる論に追加しなけりゃならなくなった」と思ったものです(^_^;)。
 まるで前号の「がんばる」論だけではまだ足りないよ……と誰かに言われたかのように、必要なものが現れたのです。

 後で調べてわかったことも含めて書くと、それは「YUIとみんなのテレビ fight」と表題のある番組で9月29日の再放送でした。
 若手シンガーの「YUI」さんが、全国学校音楽コンクール(略してNコン)・中学校合唱の部課題曲を作った。それが「fight」という歌。
 今年3月にその課題曲が発表されると、中学生たちのメールや手紙など大反響があってこの特集が企画されたようです。番組ではYUIさんが各校を訪ね、中学生と交流したり、彼女の感想などで構成されていました。

 まずはご存じない方のために、彼女の歌「fight」を掲載します。
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 『fight』 作詞/作曲:YUI 編曲:松本 望

 描く夢が全て 叶うわけなどないけど
 あなただってわかっているはずよ
 壊れそうな空だって
 あたしは受け入れるから
 大丈夫よ 優しい嘘 大人になりたい

 頑張れ頑張れ 命燃やして
 続く現実 生きてゆく
 頑張れ頑張れ 限りある日々に…
 花を咲かせる

 希望の先にある 憧れに手を伸ばせば
 明日だって手さぐり見つけるよ
 散りゆくから美しいという
 意味がわかってきた
 ごめんね もう少し 大人になるから

 頑張れ頑張れ 勝ち負けだって
 本当は大事な事なんだね
 頑張れ頑張れ そうさ人生は引き返せない

 いつか振り返る時
 今日の若かりし日が
 きっと懐かしくなるから

 頑張れ頑張れ 命燃やして
 続く現実 生きてゆく
 頑張れ頑張れ 限りある日々に…
 花を咲かせる 花を咲かせる
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 いい歌ですね(^_^)。
 歌詞の内容から察するに「fight」とは「頑張れ」ということになるのでしょう。「fight」は普通「闘う」とか「戦え」が日本語です。
 以前「がんばれ」を英語で言うなら「デゥー・ユア・ベスト」だろうか。「最善を尽くせ――なんてわかるけど、どうもイマイチ」と書いた記憶があります。

 それに対して「がんばれ」=「fight」に置き換えた彼女の言葉感覚に頭が下がります。中高のいじめが大問題になっている昨今、確かにぴったりの英語です。「いじめられたからって死ぬのか。戦えよ。頑張れよ」って感じでしょうか。

 はるか昔の中学校時代、同じ部活動の女子から「ファイト!」って言われたような記憶があります(^.^)。この場合は結構優しい響きもあって正に「がんばって!」って感じでした。

 番組ではこの歌について中学生の感想がたくさん語られていました。「勇気づけられた」に始まって〈描く夢が全て 叶うわけなどないけど〉に、「くやしいけどそうなんだと思った」とか、震災被災地の中学生やいじめられたことがある子どもは「命燃やして続く現実 生きてゆく――に涙が出た」とか。
 私たちの人生は永遠ではない。必ず終わりが来る。その限りある日々に〈命燃やして…生きて…花を咲かせる〉。YUIさんの「なぜそんなに死に急ぐの?」という声が聞こえてくるようです。

 ある男子中学生は部活動でがんばりが足りないと言われた。でも、それでいいんだと思っていた。ところが、「勝ち負けだって 本当は大事な事なんだね 頑張れ頑張れ そうさ人生は引き返せない」を読んで「気持ちが変わった。もっと勝ち負けにこだわってがんばろうと思った」と語ります。
 他にも「散りゆくから美しいという 意味がわかってきた」や「いつか振り返る時 今日の若かりし日が きっと懐かしくなる」もとてもいいですね(^_^)。

 そのように多くの感想が語られた中、ある男子中学生が言いました。
「がんばれの言葉を聞くとプレッシャーを感じていやに思うことがあった。でも、がんばれって純粋に応援の言葉なんだね」と。

 私はこれを聞いたとき「ああ、いい言葉だなあ」と思いました。
 私も「がんばる」をめぐっていろいろ考え、いろいろ書いてきました。先月は「がんばらないでがんばって」が最後の言葉かなと思いました。
 しかし、あれこれ考えなくていい。「がんばれ」はただ純粋に応援の言葉なんだ――と中学生が教えてくれたようです(で、狂短歌はこの言葉をほぼそのまま使わせてもらいました(^_^;)。

 ところで、YUIさんは年末恒例のNHK紅白歌合戦に出演することが決まりました。しかし、この曲を歌うわけではないようで、それがちと残念。
 さらに、当人は来年から休養に入るそうです。プロフィールを見ると18歳から5年間歌い続けてきたとか。ちょっと疲れたのかもしれません。

 それにしても、この詩はとても深い意味を含んでいます。若干23歳でよくまーこのような詩を書けたものだと感心します。
 特に「大丈夫よ 優しい嘘 大人になりたい」のところでそう感じました。
 純粋な少年・少女時代は嘘や矛盾が許せなくていらだち、憤りや焦りを感じます。
 対して大人とはその嘘や矛盾を(取りあえず)受け入れて生きる存在なのでしょう。
 深読み癖のある私は「あるいは、この詩全体が優しい嘘なのかもしれない」などと思ったことです(^_^;)。

 さて、その日は二度寝をしてその後起き出すとこの件を日記にしたためました。
 そしてメルマガ原稿をある程度書き終えると、「がんばる論の追加はさすがにこれで終わりだろう」と思いました。

 ところがどっこい、12月に入ってまた驚きの「がんばる」論に出会ったから驚きます(^_^)。

 今月5日未明、歌舞伎界の大御所中村勘三郎氏が59歳の若さで急逝しました。食道癌から始まった四ヶ月の闘病生活の果てでした。
 歌舞伎の革新者、誰にも好かれる人柄の良さもあってテレビ界は一時総選挙の話題を押しのけ、哀悼番組ばかりとなったほどです。
 その死去を受け、妻の波野好江さん、歌舞伎俳優の長男・中村勘九郎、次男・中村七之助氏が連名でコメントを発表しました。
 その中に「その間、来年4月の歌舞伎座柿(こけら)落としに出演することを、心の拠り所とし、癌晴って参りました」とあったのです。
「癌晴って」……そうか、こういう「がんばる」もあるんだと思いました。

 私は「がんばる」について、入試とか大きな仕事や試合、舞台や何かの発表を前に、相手を励ますときの言葉として考えてきました。
 しかし、確かに癌や他の病気で入院している知人友人に「がんばって」ということもあるわけで、これこそ正に応援の言葉ですね。〈壊れそうな空だって あたしは受け入れる〉ように、病気は受け入れて戦うしかないのですから。そんなときはただ「がんばって」と励ますだけです。
 もっとも、明らかにがんばりすぎている人には「がんばらないでがんばって」と言いたい気もします(^_^;)。


 ○ 頑張れは ただ純粋に 応援の言葉なんだと 教えてくれた


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:12月16日に総選挙があって今後数年間のリーダーが決まりました。自民・公明が3分の2超の絶対安定多数を獲得しました。

 選挙があると、私は必ず「民意を反映した正しい議員数」を計算しているので、今回も紹介したいと思います。
 小選挙区は多くの死に票を生みます。民意を正しく反映するのは比例代表です。よって、今までは各党の比例区獲得票数で議員数を算出していました。
 しかし、今回は小選挙区と比例代表でかなりの差が出ています。たとえば、自民党は小選挙区43.0パーセントに対して比例区では27.6です。そこで小選挙区と比例区を足して2で割った数字を政党支持率として計算しました。
 ちなみに、今日本の有権者総数はほぼ1億。投票率59パーセントで5900万人が投票に参加しました。前回比較で14ポイント下がったとのこと。つまり、前回投票した人のうち約1400万人が今回参加しなかったということになります。民主党には失望したけれど、他党にも入れたくなかった人の数でしょうか。気持ちはわかるけれど、ちょっと悲しいですね。

   総選挙、正しい各党獲得議席数
政党名議席数支持率本来の数増 減
自民党 294 35.3  170+124
民主党  57 19.4   93 −36
維 新  54 16.0   77 −23
公 明  31  6.6   32 − 1
みんな  18  6.7   32 −14
未 来   9  5.3   26 −15
共 産   8  7.0   33 −25
社 民   2  1.5    7 − 5
大 地   1  0.5    3 − 2
国民新   1  0.1    1    0
新日本   0  0.0    0    0
新改革   0  0.2    1 − 1
幸 福   0  0.2    1 − 1
無所属   5  0.8    4 + 1
総計  480 99.5  480   
[なお、0.5前後は振り分けました]

 ご覧になって分かるとおり、本来なら自民・公明の与党議員は合計202で過半数に全く届きません。それが2党で3分の2の議席を獲得したわけです。
 商売では本来取っていい利益を超えることを不当利得と言いますが、自民党の[+124]議席は不当利得と言わざるを得ません。
 もっとも、惨敗民主党も前回総選挙で308議席を獲得しました。そのときの比例区得票率は42.4でした。この計算で出すと民主党は当時も本来なら204議席だったところです。つまり、前回は民主党が[+104]の不当利得によって与党となったわけです。そのときは自民党、公明党、共産党などが不利を受けました。
 今回大きな不利を受けたのが民主党、共産党、維新、未来、みんなの各党です。特に小選挙区で議席を獲れない共産党は比例区でもブロック別に分かれているため、さらに死に票が生まれます。
 民主党、自民党どちらにしても、3割から4割の支持で、議席の6割から7割を占有してしまう。それが小選挙区制度です。「悪法も法なり」とは言え、1票の格差だけでなく、多くの死に票を生み出すこの不当利得制度、果たして民主主義と言えるのでしょうか。

 さて、かくしていろいろなことがありつつ時は流れ(^.^)、2012年ももうすぐ大晦日を迎えようとしています。
 マヤ歴では「この世の終わり」だった12月21日。それも何事もなく過ぎ去りました。
 みなさん、今年はどのような年だったでしょうか。
 そして、来年はどのような年になるのでしょうか。

 頑張れ頑張れ 命燃やして
 続く現実 生きてゆく
 頑張れ頑張れ 限りある日々に…
 花を咲かせる

 YUIさんの詩のように、いつか花を咲かせたいものですね。
 夢は若い人が抱く特権のように思われがちです。しかし、中年になっても、老年になっても、死を迎えるそのときまで、花を咲かせる夢を持ち続けたいものです。

 良い年をお迎え下さい。m(_ _)m            (御影祐)




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