197「ウクライナ戦争」について


○ ウクライナ 降参するか戦うか 脅迫者には力じゃ勝てぬ


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  メルマガ配信「狂短歌人生論」197    2023年1月23日(月)第 197号


 2023年、寒中お見舞い申し上げます。今年もよろしくお願いいたします。

 明日から猛烈寒波襲来とか。大分内陸も数日間マイナス10度前後の予想が出ています。
 降れば大雪、降らなきゃ水道・ボイラー凍結破損……。
 予想不的中を祈りたい気分です。

 さて、年をまたいで3号連続狂短歌ジンセー論の2号目。
 ここで全3回の見出しと狂短歌を公表しておきます。

196号「五百年後を想像できるか」(176号再掲載、ただし末尾の狂短歌は変更)

 ○ 五十年 前を知ってる我らなら 五十年後を想像できる

197号「ウクライナ戦争について」(原案2022年3月執筆)

 ○ ウクライナ 降参するか戦うか 脅迫者には力じゃ勝てぬ

198号「W杯日本サッカーの活躍と防衛費倍増について」

 ○ 世の中は一喜一憂ばかりなり するが凡人 せぬが賢人

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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ ウクライナ 降参するか戦うか 脅迫者には力じゃ勝てぬ

 (^_^) ゆとりある人のための10分エッセー (^_^)

 【 ウクライナ戦争について 】

 本稿は昨年3月初めに書いていました。ロシア・プーチン大統領が隣国ウクライナに侵攻を開始して3週間くらい経ったころです。これまで公表を控えてきました。

 理由は本稿の趣旨が「降伏論」だからです。
 あのころ「ウクライナは降伏すべきか、それとも戦うべきか」の議論がありました。
 私は降伏論に賛成でしたが、友人は抗戦論が多かった。そして、当のウクライナは徹底抗戦を選び、降伏しないまま10ケ月が過ぎました。

 今も米国やヨーロッパの支援を得て抵抗を続けています。かなり盛り返したけれど、4州併合を宣言したロシアに撤退する気配はなく、事態は泥沼のベトナム戦争(1964〜1973年)に似てきました
 あのときも戦場はベトナムであり、アメリカ本土には砲弾の一つも飛ばなかった。
 ウクライナ戦争も破壊され焦土と化しているのはウクライナばかりであり、ロシア(本土)にミサイルが飛ぶことはない。
 飛ばそうと思えばできるでしょうが、全面戦争と核兵器の使用を恐れ、そうならないようにしている……かに見えます。もはやウクライナにも降伏の意思はないかのようです。

 なのに、今なぜ開戦直後に書いていた「降伏論」を公開するのか。

 実のところ没にするつもりでした。
 しかし、これを機に日本のリーダーたちが「防衛力増強」に動き始めました。
 政府・与党は防衛費を2倍にするため、国民に増税と言う負担を求めようとしています。
 まるで「今なら受け入れてくれるだろう」と言わんばかり。

 所得税であれば働く人が、消費税増税であれば赤ん坊やお年寄りまで働かない、働けない国民にまで重い負担となります。
 自衛隊もアメリカ軍の一部として戦闘体制を構築しようとしている。

 それによって喜ぶのは一体誰か、どこか
 大国アメリカであり、武器製造メーカーであり、日本の仲介企業であり、そこから政治献金(ときには賄賂)を受け取る日本の与党議員です。

 こうなると「黙っちゃおれない」。私は防衛費倍増に反対であり、それは「降伏論」と関係します。

 さらに、もう一つ。サッカーワールドカップ日本の大活躍、予選リーグ唯一の敗戦(格下コスタリカに0対1で負けたこと)とも関係します。
 W杯開催中、関連があることに気づきました。「これはぜひ語りたい。語らずにおれない」と思ったのです。

 そこで、今号はウクライナ戦争について「早く降参すべき」と考えた理由を、次号にて「W杯日本サッカーの活躍と防衛費倍増」について語ります。

 以下、開戦ひと月後に降伏すべきと考えた理由です。

 端的な理由はロシアが大国であり、ウクライナが小国であること。
 かたや原水爆という最終兵器まで持っている軍事強国であり、かたや自国戦力だけでは到底対等に戦えない国であること。

 つまり、これは国対国の対等な戦争ではない。大人が子供に暴力をふるっているようなものであり、(いい比喩ではないけれど)非力な女性が男にレイプされるようなものである。
 腕力でもかなわないのに、相手がナイフでも持っていれば悲惨。もしも激しく抵抗すれば、傷つくのは女性の方。下手をすると殺される。

 そのとき女性に対してどうして「戦え」と言えるのか。
 私はむしろ違和感を覚えます。それこそ無責任な発言ではないでしょうか。

 別に非力な女性を例にあげることもない。もしも私自身が強盗に襲われたらどうするか――それを想像すれば、自分に対して「戦え」とは言えない

 私はカラテも柔道もしない。格闘技を習ったこともない小柄で非力な(高年)男性。
 もしも夜道を一人で歩いているとき強盗に襲われたら、戦わないで財布を差し出すことに決めています。戦わなければ傷つくことはなく、命を失うこともない。

 ただ、唯々諾々と盗られるのも癪なので、ちょっとだけ抵抗したいと思っています。
 それは次のように提案することです。
「強盗だとあなたは犯罪者です。しかし、借りることにすれば犯罪者にはなりません。だから、手持ちの金を全て差し出すので借用書を書いてくれませんか」と。

 強盗は「あほか」と言うかもしれません。が、私は真面目に説得するつもりです。
 自宅で泥棒と鉢合わせしたときもそう言うつもりだし、お茶も出して相手の身の上話を聞こうとも考えています。幸いその機会が訪れたことはまだありません。

 個人の話を国家に拡大することはできない……そう言われそうですが、ロシア対ウクライナ戦が大国同士の戦争でないことは明らか。
 大国対小国の戦争であり、戦えばどういう結果が現れるか予想がつく。ウクライナはかつてのベトナムのように焦土となるでしょう

 すでにロシアによる市民や学校、病院などへの無差別爆撃が続いています。
 なぜ軍事施設だけでなく民間施設、インフラを攻撃するのか。
 それはウクライナが降伏しないから。降伏すれば、戦車が首都など都市に入ってくるけれど、もはや焦土となることはない

 かつてソ連・ワルシャワ同盟軍がチェコスロバキアに侵攻したこと(1968年8月)があります。そのときは戦場とならなかったことで都市は破壊されなかった。
 (チェコの民主化、「人間の顔をした社会主義」への弾圧など語りたいことは多々ありますが、詳細はネット検索を。お勧めは「世界史の窓―チェコ事件」)

 そもそも攻める側からすれば、空港や軍事施設を爆撃する――つまり、武器弾薬を使えなくすれば、抵抗できないはずと考える。だが、ウクライナ軍は武器弾薬を大量に保持していたようです(だから抵抗できる)。
 おそらく、開戦前携帯型対戦車ミサイルなどをひそかに隠したのでしょう。ロシアにはそれがどこかわからない。もしも病院や学校に隠されていたら……ウクライナが「そんなところには隠さない」と言っても、信じられなければ病院でも学校でも劇場でも攻撃する。

 また、戦うべき理由として「自由・民主主義対独裁強権主義」――いわゆる正義と悪といった分け方がされています。自由と民主主義のために戦うのだと。
 私はこれも疑問です。ベトナム戦争も「共産主義対自由民主主義」と言われ、アメリカの軍事介入は「ベトナムの共産化を阻止する」ことでした。介入しなくとも共産主義は30数年後崩壊したというのに。
 このままでは欧米NATO軍対ロシア軍の第三次世界大戦となりかねない。
 しかし、ウクライナが降伏すれば、第三次世界大戦は起こらないでしょう。

 さて、このように書くと、「それじゃあウクライナ国民はこれからロシアの支配下に入って自由と民主主義のない状態に何十年も耐えなければならないのか」と反論されると思います。

 私は「そうです。それは仕方のないこと」と答えます。

 たとえば、クーデターが起こったミャンマー、あるいは香港の民主派弾圧。
 どちらも抵抗勢力は一掃され制圧されました。自由も民主主義も権力の強権に負けて降参したということです。

 では、私たちはミャンマーの国民だとして、銃を構える兵士を相手に戦えるだろうか。
 日本で言うなら、自衛隊員が我々に武器を向けるようなものです。
 私たちが香港に暮らす市民なら、実質軍隊のような武装警察や言論弾圧に対して戦えるだろうか。デモをしてストをやれば刑務所送りだと脅されてなお戦えるだろうか

 彼らは武器を持って徹底抗戦しなかった(ミャンマー内陸では抗戦しているところもあるようですが)。だから、都市は焼け野原にならなかった。
 もしもミャンマーや香港に他国軍隊が乗り込めば、あるいは抵抗勢力に対して武器弾薬を支援すれば、ミャンマーも香港も内戦となって焼け野原となるでしょう。

 再度書きます。ウクライナ戦争は対等の武力を持つ国同士の戦争ではない。大国対小国の戦争である。それは権力と反権力の対立と同じで、武力闘争になれば、最終的に警察と軍隊を持つ権力が勝つ。かつての歴史がそれを証明しています。

 権力が負けるのは人民・市民が100万人単位でデモに参加して(命令に忠実な)公務員である警察官・兵士・行政職員が政権を見捨てたときだけ。
 東ドイツの崩壊=ドイツ統一もそうやって成し遂げられた。仮にウクライナがロシアに占領されても、数十年後には自由と民主主義を取り戻せると思います。
 1968年以後ソ連に半ば支配されたチェコスロバキアも、1989年のソ連崩壊、東欧革命の時に民主化が実現しています。ソ連侵攻から30年後のことです。500年後のことではないのです。

 現在メルマガにて著書『狂短歌人生論』を公開中です。
 その中で語った脅迫・批判・傍観・受容の人格四分類に従うなら、ロシア・プーチン大統領こそまぎれもない「脅迫者」。

 かつてはどの国もリーダーは脅迫者ばかりでした。よって、これが(原水爆のない)第一次、第二次大戦時なら、米欧・日本は直ちにロシアに宣戦布告して第三次世界大戦が始まったことでしょう。

 日本はこれ幸いと北方領土に侵攻(?)して4島を取り戻そうとし、守るロシア軍との間で戦争となる。ミサイルが飛び交い、北方領土や北海道が焦土となる。

 かたや中国は台湾に侵攻して台湾戦争が始まり、難民が日本や韓国に押し寄せる。
 ついでに中国は(日中双方が領有権を主張する)尖閣諸島(釣魚島)も支配しようとして守る日本軍(自衛隊)と海上戦となる。米国も参戦して米軍基地のある沖縄はミサイルが飛んできて再び焼け野原となる……。

 原水爆があるからこの未来図にはならない(ようです)。
 だからといって核兵器のおかげだなどと言いたくありません。

 ただ、実質的に第三次世界大戦は始まっている。
 そう思うから日本のリーダーたちも「敵基地攻撃だ・防衛費倍増だ」などと叫ぶのでしょう。気持ちはわかります。

 しかし、なんと浅はかな結論なんだろう。私はそう言わざるを得ません。
 後先深く考えた上の結論か。未来の可能性を(100とは言わない)せめて10ヶくらい考えた上での結論なのか。
 私には外交的努力を放棄した、安易で短絡的な結論と思えて仕方ありません。
 まるで太平洋戦争前の日本です。国会議員に官僚、それが現在の日本で最も優秀な人たちかと思うと、悲しくなります。

 攻撃用ミサイル100発で小学校を20人学級にできるでしょう。各校の事務員をさらに一人から二人増やせば、担任がやっている事務作業を大幅に軽減できます。子育ての無料化、高等教育費用の激減も可能となる。

 そもそも防衛費倍増分を何かに使うなら、首都東京の地下鉄や地下街をシェルター化することから始めるべきではないか。
 ウクライナの首都キーウの人々は空襲警報があると地下街に避難していました。日本も「そのとき」に備えて防空壕をつくるべきでしょう。特に沖縄と自衛隊基地のある市町村、そして大都市に。

 いざ開戦となったら、東京にミサイルが飛んできて大量の死者が出た。
 そのとき「まさか東京にミサイルが飛んでくるとは思いもしなかった」と嘆くのでしょうね。

 も一つそもそも、今やるべきことは対立している領土問題を、「これを機会に解決しましょう」と呼びかけることではないか。

 対中国・台湾(も尖閣は自国領だと主張している)、対韓国(北朝鮮)、対ロシア。
 いずこも自国領土だと主張するばかりで水掛け論。だから、話し合っても解決しないとほったらかしにしている。結局、そのことが日本と国民を危険な目にあわせることになるのです。
 これが日本だけでなく(相手国の)最も優秀な人たちの結論かと思うと、情けなくなります。
 どうか「今こそ領土問題を解決しよう」という議員とリーダーの出現を望みたいと思います。

 話がかなり脱線したようです。ウクライナ降伏論に戻って……。

 もしもウクライナが軍事施設を破壊された時点で降参していれば、それ以後の都市攻撃、無差別爆撃はなく、難民も出ない。第三次世界大戦もなく、原爆も使われない。小麦、石油・天然ガスの問題も起きない。

 プーチン・ロシアはかつてないほどの制裁を受けます。いずれ失脚・崩壊するでしょう。
 独裁者の末路は悲惨です。権力を手放せば後は普通のじいさん。
 彼は日々暗殺の恐怖を感じながら過ごさねばならない。
 プーチン大統領に安寧の眠りは訪れないと思います。

 今支配されているかに見えるロシアや中国の人々もいずれ抵抗が始まります。
 権力と大国に仕掛けられたら、生き延びる方を選んで降参する
 強権と人権抑圧が500年続くわけではない。50年後、早ければ数年後に変わっているかもしれない。それも歴史が証明しています。
 そう思って今を耐え抜くことが庶民の知恵ではないかと思うのです。


○ ウクライナ 降参するか戦うか 脅迫者には力じゃ勝てぬ


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:以下は現在(2023年初頭)書いた文章です。
 ウクライナ戦争から10ケ月が経過して今でも「ウクライナは降伏すべきだ」と思っているかどうか。
 もう遅いと言わざるを得ません。ウクライナ国民が徹底抗戦を決意した以上、そして国土が焦土となり、インフラ設備も住居も多数破壊され、国外避難の国民とともにこの冬が越せるだろうか――そのような状況になってもなお戦い続ける。
 もはや部外者に語る資格はなく、ただ戦争の終結を祈るだけです。


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