太龍山、空海修行の聖地

「新型コロナ感染」 その1

「新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く」




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『 新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く 御影祐の小論別稿 』 第 1号

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            不定期配信 2020年3月06日(金)



 今号は「成績つけるのやめませんか」について詳しく語る予定でした。
 しかし、またも延期して「新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く」と題して一稿設けることにしました。

 というのは政府の対応があまりにもひどいと感じたからです。政権中枢が危機感を持てず、先を読んだ施策が打てない。官僚の担当者は一人一人の気持ちを思いやる案をつくれない。ブレーンの専門家は適切なアドバイスができない。現場は上が決めたことをただ実行するだけ――等々「これでは国民が政府に殺される」かのような状況だと思って正に危機感を抱きました。
 最後は2月27日(木)の「小中高、特別支援学校を来週月曜から休校にする」という、パニックにも似た決定です。

 最近早くも「政府の対応は検証の必要がある」との声さえ出ています。またも悲しき「検証」作業。終わってから事態を振り返ることしかできない、[通読→精読]の悪癖が繰り返されようとしています。
 一読法なら、この事態をどうとらえ、どう未来予想をしたか。それを書くことは意義あることではないか、と思いました。

 なお、本稿は3月5日時点の文章です。トイレットペーパーが店頭から消えるなど、コロナウイルス騒動はまだ終わっていません。「途中」です。よって、いろいろなことが確かな事実として把握できないまま書かねばなりません。つまり、誤解、事実誤認による記述があり得ます。
 実名こそあげていませんが、文中厳しい言葉が多々並んでおり、誰のことかわかる例もあります。日本をリードする人たちだからこそ言わねばならないと思いました。
 もしも何らかの誤解・偏見が吐露されていると感じたら、遠慮なくご連絡ください。すぐに書き直します。

 [今  号
 第一回 『 新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く 』(3月06日)
 [ 1 ] 最初に立ち止まったのはチャーター便の帰国とホテル隔離
 [ 2 ] 一人一人を優先するクルーズ船乗客乗員への対応(私案)
 [ 3 ] 事件は現場で起こっている……が
 [ 4 ] まとめと今後の予想

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 本号の難読漢字
・焦土(しょうど)・忖度(そんたく)・好々爺(こうこうや)・変貌(へんぼう)・所謂(いわゆる)・揶揄(やゆ)・指図(さしず)・融通(ゆうずう)・桟敷(さじき)・中枢(ちゅうすう)
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************************ 小論「一読法を学べ」別稿*********************************

「新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く」 その1

[1] 最初に立ち止まったのはチャーター便の帰国とホテル隔離

 前号後記に書いたように、新型コロナ肺炎に関する政府の後手後手の対応、ぐちぐちゃなクルーズ船、「自分たちは正しいことをやっている、ミスはない」と主張したがるところを見てあることを思い出しました。戦前末期の軍部大本営に似ていると。

 私は戦前の軍部(と政府・昭和天皇)の過ちは三つあると思っています。
1 一つ目は大国アメリカに単独で戦争をしかけたこと――見通しの甘さ。
2 次に方針の誤りを認めず、敗色濃厚となっても国民に知らせなかったこと――隠蔽体質。
3 最後に降伏の決断を誤ったこと――決断の遅さ。

 人生と歴史に「ればたら」はないけれど、もしも昭和19年に無条件降伏を受け入れていれば、20年の沖縄戦とその後の占領はなく、東京大空襲他都市が焦土と化すことはなかった。広島長崎の原爆もなく、北方4島がロシア・ソ連に占領されることもなかった。

 今回の新型コロナウイルスを日本が戦うべき、未知にして強力な敵と考えれば、この敵に立ち向かうにあたって、私は(上記と反対の)以下五項目が必要だと考えました。

1 困ったことが起こったら、自分だけで解決しようとせず「助けて」と言う。
2 手間と金を惜しんではいけない。
3 事実を隠蔽せず、メンツにもこだわらず、情報公開する。
4 一人一人の気持ちを考えて方針を立てる。
5 未来を予想して早め早めに決断する。
・ 現役ばりばりの専門家を用意する。

 最後の「現役ばりばりの専門家を用意する」は[4]に入れるべき内容と言うか、普通は入れなくても良いところです。しかし、今回はかなり大きいので一項として取り出しました。

 私が最初に立ち止まって「現代の大本営はやばい」と思ったのは武漢からチャーター機で帰国した方々を、千葉勝浦のホテルに隔離すると決めたときです。他の公的施設は基本個室でしたが、ホテルだけは「ダブルの部屋は相部屋でお願いすることにした」と言うのです。そのニュースを聞いたとき、「何それ?」とつぶやきました。一月末だったでしょうか。

 当時政府は「専門家に検討いただいた」とのたもうていました。そうであるなら提案した厚労省担当者、「いいんじゃないですか」と承認した感染症の専門家、最終決定を下した内閣・総理大臣。「やばいぞ。この連中個人の気持ちを全く考えていない」と思いました。

 一部屋二人の相部屋……まだ夫婦に家族、友人やパートナーなら(百歩譲って)わからないことはない。しかし、他人でも相部屋というのです。
 これから14日間の隔離生活に耐えねばならない。隣の他人から感染する可能性がある。自分が発症してうつすかもしれない。そんな状況で相部屋はないでしょう。誰だって感じる「いやなこと」です。
 それは「自分が相部屋の一人だったら」と想像するだけでわかる感情です。大本営のお偉方は誰一人、「これから二週間見知らぬ他人と同室で隔離される」気持ちを、想像だにしなかったのです。

 この提案が出たとき、私は「金を惜しんでいる」と思いました。そりゃあそうでしょう。協力してくれたホテルは称賛したいけれど、ホテルだって商売です。シングルよりダブルの方が高い。ダブルの部屋を一人で使えば、ダブル料金をいただくのは当然のこと。
 そう言われたとき、厚労省の担当者は考えた。「本来個室にすべきだが、二人部屋に一人入れるのはもったいない。ここは二人で使用してもらうことにしよう」と。会議では「予算もそんなにありませんし……」と説明したことでしょう。
 新型コロナウイルスとは風邪の症状から始まる病気です。一部屋に二人以上の人が一緒にいたら、感染する可能性はものすごく高い。「それをわかっているのだろうか」と思いました。
 いや、わかっていないはずがない。みんな優秀な人たちなんだから。ただ、金を惜しんだだけ。自分がその立場だったら、と考えなかっただけです。

 さらに、帰国者の世話をホテルの従業員にやらせています。厚労省・感染症の専門家、その下で働く人ではなく、何の知識、経験もないホテルの従業員に食事などの世話をお願いした。
 なぜかと言えば、ホテルに宿泊料を払っているからでしょう(もちろん公費で)。そして、ホテルはお客さんに対して食事などサービスを提供するところ。「金を出すんだから、サービスを従業員にやってもらうのは当たり前だ」との思惑が透けて見えます。世話をする従業員が「感染するかもしれない」などと、頭の片隅にもないのです。
 忘れないでいただきたいのは、このときすでに武漢は都市封鎖され、毎日感染者と死者が大量発生していました。あの状況を見ながら、知っていながら、この案が了承されたのです。

 このとき私は隔離した人の世話を「なぜ自衛隊にさせないのだろう」と思いました。
 自衛隊は国民を守るために命を投げ出してくれる人たちです。あれでは、最前線で民間人に戦わせて自衛隊は後方で眺めているだけではありませんか。軍人にとって最も恥ずべき行動です。
 なのに、一般人に任せたということは大本営の中に自衛隊代表を入れていなかったのでしょうか。メンバーに入れていなかったなら、「別に自衛隊を呼ぶほどの事案じゃない」と簡単にとらえていたことがわかります。
 新型コロナウイルスは「治療法がない、ワクチンもない」と知っているはずなのに。未知の敵に対して自衛隊を呼ばないとは、一体何のための軍隊でしょう。
 ちょっと大げさながら、この事態をバイオテロと見なしてその対処法を自衛隊に研究、実践してもらうことだって考えられる。またとない訓練となるのです。

 いや、自衛隊の側から「民間人を危険にさらすわけにはいかない。我々が食事の世話などをやります」と申し出たっていい。
 どの国でも軍隊はバイオテロに備えて独自の研究、対応する組織を構築しています。日本の自衛隊だってかなり危機意識をもって事態を眺め、いつでも出動できる体制を取っていたはずです。

 ところが、そんな提案をする権限は自衛隊にはない(のでしょう)。彼らは基本命令を受けて行動する組織だから。そして、このような発想が出ない方々が上にいる。金を惜しみ、手間を惜しみ、担当者の提案を深く考えることなく「いいんじゃないですか」と言う方々。私はそれが現在の大本営だと思いました。
 大丈夫でしょうか。ちとSF小説過ぎるけれど、「政治家どもはあてにならない。俺たちがこの国を守る」とばかりに、自衛隊がクーデターを起こさないか心配です。

 一月下旬の段階で私は(いつも書いているように)楽観的か、悲観的か、どちらでもない未来を予想しました。楽観的なら、コロナ騒動はたいしたことなく終わる。中くらいは、そこそこひどくなるけれど、武漢や中国のようにはならない。そして、悲観的未来が「日本も武漢や中国の後追いをして都市封鎖が起こる」でした。

 一月半ば頃から武漢の感染者は日々数百人単位で、死者も数十人単位で増加していました。日本政府の方針は「水際対策」でした。武漢・湖北省からの入国を禁止すると。
 しかし、春節を前にしてすでに中国から日本へ、観光客がたくさん入国していました。国内で中国人観光客から日本人への市中感染が始まっているかもしれない。素人ながら、そう考えるのが自然な推理でした。
 私はチャーター機の隔離方針を知ったとき、「これは悲観的未来を予想しなければならない」と思いました。

 結局、ホテル隔離の件は帰国した人から「他人と相部屋はないだろう!」と強い反発が出ることで全て個室になり、隔離生活が始まりました。
 どうやら現場で指揮をした担当者だけは[帰国者→従業員へ感染]の恐れを感じていたようです。後に従業員が食事を部屋に運んだときの様子を知ることができました。ドアの外のノブに袋入りの食事をかけるだけで、決して対面させることはなかった。とても慎重な対応です。しかし、この対応がクルーズ船では活かされませんでした。

 ホテルの指揮官は厚労省のナンバー20くらいでしょうか。大本営に入ることはなく、提言さえ認められない下っ端だろうと推理します。彼は現場で一人一人の気持ちを尊重する指揮官だった。結果、ホテルに隔離された192人から感染者は一人も出ることなく14日間を終えました(チャーター便帰国者は計829名、陽性者15名、発症者11名)。
 土地の人たちも砂浜に「がんばれ」と書いて応援した。彼らは自分が隔離される立場だったらと想像できる人たちでした。
 もっとも、大本営はこの結果を見て「チャーター機で帰国した連中には感染者が少なかっただけ」と判断したでしょう。別に指揮官の手柄ではないと。

 このときはまだ専門家会議が招集されていなかったので、感染症の専門家は政府ブレーンだったと思います。私は「ホテルは相部屋で」というひどい提案を承認した専門家、内閣・総理は「一人一人の気持ちを全く忖度しない」方々であり、今後も金と手間を惜しむ方針が出るのではないか、と思いました。

 この予想はすぐに当たります。ご存じのように、クルーズ船で金と手間を惜しむ方針が出され、実行されます。クルーズ船対応方針は全員船内隔離、乗員に乗客の食事など世話をさせる。ホテル隔離と全く同じ方針が出されたのです。
 結果、乗客乗員3700名中700名強の感染者を出し、世話をした厚労省職員からも感染者が出ました。


[2] 一人一人を優先するクルーズ船乗客乗員への対応(私案)

 この頃になると、専門家グループが招集されていました。おそらくブレーンの一人が国内で最も権威ある方々を集めたのでしょう。だが、クルーズ船の方針はホテルと全く同じでした。
 ここでも感染の専門家たちは事態に危機感を持たず、みんなで「いいでしょう」と同意した。メンバーの中に「それはまずいですよ」と言う専門家が一人もいなかったことを示しています。
 自分がクルーズ船内にいる乗客、乗員だったら、個室ではない部屋に二人(乗員はおそらく船底の四人部屋に)いたまま「隔離」だと言われたら、不安を覚え、いやだなあと感じたはず。
 だが、乗客はほとんど夫婦か友人などのパートナーであり、乗員は貧しい国の貧しい労働者。どちらも大っぴらに「いやです」と言えない人たち。しかも、「専門家がそれで大丈夫と言っているなら」と思って従ったのだと思います。

 私はそのとき(失礼ながら)「この専門家グループはあてにならない」と思いました。直ちに総取っ替えして「船内はぐちゃぐちゃだ」と告発した、神戸の大学教授のような感染・防疫のプロを入れるべきでした。彼なら「クルーズ船を隔離施設として利用するなんてとんでもない」と猛反対したでしょう。そして、「どうしても使うなら、一人一部屋として安全か危険か導線をきっちり分けるべきだ」と主張したはずです。

 以下はさらに失礼な邪推ですが、専門家グループ各位だって以前はばりばりの現役だったと思います。しかし、年老いて角の取れた好々爺に変貌したのではないか。あるいは、研究者によくある、視野が狭くて目の前のことしか見えない、「研究・実験に個人の気持ちなど考慮するもんか」といったタイプなのかもしれません。それがクルーズ船においても、「船を隔離場所にしてしまえ」という乱暴な結論が出た理由のような気がします。別の言い方をすると、大本営は空気を読み、異論を吐かない人たちを集めたのです。

 もっとも、3700人もの乗客・乗員を一気に検査・下船させることは難しい。しかも、乗客の3分の2は多国籍の外国人である。そう思えば、この方針に同情の余地はあります。
 そもそもダイヤモンド・プリンセス号の船籍はイギリス、運営会社はアメリカです。不思議というか不可解なことは、なぜ直ちにその関係者が来日しなかったのか。全く合点がいきません。バイオテロが起こって不思議ない時勢にあって「このようなときはこう対処する」との所謂マニュアルさえなかったのでしょうか。
 また、アメリカ、カナダなど、多数の自国国民が乗っているのに、各国は直ちに行動することなく、なぜ「日本に任せておこう」と思ったのか

 本稿は日本政府を大本営にたとえ、揶揄と批判に満ちている――と感じられるかもしれません。が、他国だって船舶会社は起こりえる事態を想定しておらず、当該先進国は危機意識の薄い、「まー日本に任せておこう、お手並み拝見」くらいの感覚であったことがよくわかります。この点、日本政府に同情を禁じ得ません

 かといって大本営が誤った方針を出したこと、それ以外に策はなかったのか。アイデアを出せなかったのか。それは問わねばなりません。
 私はそのとき「こんな方法があるのではないか」と考えていました(結果論ではなく、ほんとに当時考えた内容です)。

 私ならメンツも自信もないので、1の方針――困ったことが起こったら、自分だけで解決しようとせず、「助けて」と言います
 ダイヤモンドプリンセス号の乗客全3711名、乗客2522、乗員1189名。乗客の国別構成のうち百名以上は次の四ヶ国でした(ネットからの孫引きなので誤差あり)。乗員1189名の実態は不明ですが、フィリピンや東南アジアの若者が多かったようです。
 日 本 1281
 香 港  470
 米 国  425
 カナダ  215

 狭いクルーズ船に大量感染者発生の可能性ありと予想したとき、また、乗客乗員が日本人だけでなく多国籍であることを知ったとき、私は直ちに(日本だけでやろうとせず)数百名が乗っていた香港、アメリカ、カナダに、全権を持つ特使クラスの人間と、感染・防疫の専門家派遣を要請します。
 そして、日本でも現役ばりばりの感染防疫研究者(やはり神戸の教授でしょう)、自衛隊のバイオテロ担当官を招き、同じテーブルで対応策を議論します(政府だけでなく野党代表も入れたいところです)。

 そうすれば「クルーズ船を隔離施設に使おう」との提案は了承されなかったのではないか。仮に船を使うとしても、全ての部屋を個室として使用する(と神戸の教授や関係国の専門家は主張したでしょう)。
 ネットによると、クルーズ船の部屋数は1337室。うち960室はオーシャンビューだとか。さらに746室は専用バルコニーがあるそうです。つまり、窓を開けて換気ができる部屋は最低でも746室。隔離には窓が開けられる部屋でなければならないから、船でも746人を隔離できる。一室二人にしたくないけれど、夫婦が「二人でも構わない」とか、「二人じゃなきゃいやだ」と言うなら、1000位は隔離室として使用できます。

 その際乗客乗員は区別しない。みな等しくウイルス保菌者の可能性があり、うつされる恐れのある人たちだから。人道的見地からも、乗客を優先して下々の乗員は「感染したって構わない」とは言えません。よって、そのキャパを超える人たちは「基本みな下船させる」との方針が出ると思います。3700名から仮に1000を引くと残り約2700名。

 もちろんこの人数を日本だけの施設に隔離することはできない。他国の人であっても発症していれば、下船、入院等させるとしても、費用問題があります。日本は皆保険だから、かかる費用はそれほどでもない。だが、外国人は(法的には)一人数百万かかるから、「どうして日本が負担するんだ?」との声が出るでしょう(費用は運営会社に請求すればよかったのです。全員の旅行費用と次回分を無料にできたほどだから)。

 ここで日本人だけで対応策を考えた限界が露呈します。政府のホンネはおそらく「日本人乗客だけ下ろして施設に隔離し、外国人の乗客乗員は船内隔離したい」だったろうと推理します。
 だが、そんなことやったら、世界から何と言われるかわからない。じゃあどうするか。行き詰まったあげく「全員船内隔離だ」と決めた……のでしょう。

 思うに「クルーズ船を隔離施設として使うのは危険すぎる。個室のキャパを超えた分は下船させて隔離しよう」との方針が出れば、各国代表が「我が国はチャーター機を用意して直ちに帰国させる」と言ってくれたと思います。「船内検疫して高熱や風邪の症状がある人は日本の施設・病院で世話してもらいたい。それ以外の乗客乗員は帰国させ、本国で隔離する」と。
 ればたらはないけれど、最初に関係国合同の会議を開いていれば、この方針が出たはずです。結局、この決定は一週間後となりました。
 この方針なら、香港、米国、カナダ三国だけで約1100人が減ります。他の英国、ロシア、台湾などの乗客が130名弱。乗員も東南アジアからの労働者数百人が帰国することになったと思われます(貧しい国なら費用は当然クルーズ船運営会社が払うべき)。

 このようにして乗客・乗員を減らし、どうしても帰国できない外国人の乗客・乗員は船内の窓が開閉できる部屋に(もちろん消毒後)移ってもらい、食事などの世話は日本人――先程書いたように、自衛隊に担当してもらう。
 日本人1281人は同様の経緯で順次下船させ隔離します。この段階で746室に空きがあるようなら、それを使用する。1000人分の施設を確保するのが大変ですが、遠方であっても、あるいは廃業した旅館・ホテルなどを利用するしかないと思います。

 当時「誰から先に。平等は?」と言われていました。ここで使われる理論が「トリアージ」です。
 トリアージとはネット事典によると、「患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行う」こと。たとえば、テロによる爆発事件が起こって多数の死者、負傷者が発生したとき、救急救命員はどのような処置をとるか。
 真っ先にやることは負傷者の状況をラベリングすること。「どの順で救命するか、搬送するか」などを決めます。すでに死亡して蘇生不能とわかれば、処置はしない。軽傷者はその場に待機して搬送は最後の方になる。手足を折っているが、「痛い、痛い」と叫んでいるようなら、すぐには死なないからこれも後。意識がない重傷者、あるいは「私は大丈夫」と言ったので後回しにしたけれど、体調に急変が起こったときは優先順位が高い。そのとき隣で「なんでオレを先に助けないんだ」と叫ぶ人は後に回す……。
 今回クルーズ船の場合は高齢者や持病ある人を最優先に下ろしていくことになるでしょう。

 ところが、クルーズ船の実際は乗客・乗員を全員船内に閉じこめ、乗客の世話を乗員に任せた。時折流れてきた船内の様子を見ると、乗客と乗員が対面し、声をかけ合い、コックが調理したおいしそうな食事を食べている。「コックが感染していたら」と想像していない。素人が見ても「大丈夫か?」と言いたくなる状況でした。
 神戸の大学教授が船内を探査して「安全か危険か全く区分されていない」と告発したけれど、「やっぱり」と思ったものです。

 そして、その批判を受けて現場指揮官がツイッターで「船内はきちんと安全ゾーン、危険ゾーンに分かれていますよ」と写真を公開した。ところが、ドアの向こうは一室だった……という何とも情けない実態が暴露されました。
 これが最前線の指揮官だからあきれるけれど、彼は大本営の専門家グループを信じただけでしょう。

 素人の私でも普段から注意深くニュースを読み、ネットでちょっと勉強していれば、それくらいはわかる。だが、彼は自分の頭で考えていない、自分の目で見ていない。だから、子どもでも見抜ける状況証拠を発信した。

 彼は大本営の中では序列10位くらいでしょうか。みなさん方はあの状況を見てどう感じましたか。彼は能力がないと思われましたか。
 いえいえ、これが日本の優等生の姿です。彼はきっと(ある面では)とても優秀な人だと思います。ネット検索したら、著名総理二世であり、有名私立大学を卒業した、高編差値の「優等生」だとわかりました。自分が感染する恐れがあると知りながら「私がやります」と申し出たなら、とても勇気ある人です。

 私は今までずっと書いてきました。生徒本人を責める事はできない。日本の教育システムが、一読法を実践しない学校が悪いのだと。
 何度でも書きます。現在の日本の教育システムは《自分の頭で考えない、自分の目で見ない》優等生を、たくさん生みだしているのです。はからずも彼がそれを証明してくれました。
 彼は今頃指揮官の任に就いたこと、浅はかなツイッターを発信したことを後悔しているでしょう。人生初の挫折かもしれません。しかし、くじけず(一読法を学び)自分の頭で考える政治家になってほしいものです。

 かくしてクルーズ船から700名近くの感染者が発生し、現場で働いた厚労省の「兵士」からも感染者が出ました。現代の大本営はクルーズ船を「焦土」にしました
 せめてホテル隔離を担当した厚労省序列20位(?)の人がクルーズ船も指揮すべきだったと思います。が、こちらは大本営と専門家グループに意見具申できなかっただろうし、大本営は聞く耳を持たない。結局、クルーズ船の状況が変わることはなかったでしょう。


[3] 事件は現場で起こっている……が

 事件は現場で起こっている――との言葉は有名な刑事物ドラマの一言です。後方で指図する首脳陣は「もっと現場を見てくれ。戦っているのはあんたらじゃない、現場なんだ」との意味でしょうか(私はあまり見ていないので)。

 ……が、ここでは(大本営もひどいけれど)現場もまた「硬直化して融通がきかない」ことを語っておきたいと思います。

 二月始め、東京の屋形船において一次感染から五次感染まで確認できる事例が出現し、同時に感染源が特定できない例も見られるようになりました。また、千葉の感染者は電車で東京、千葉間を往復している。新幹線に乗って移動している感染者もいました。
 このころ私は「すでに首都圏や都市部、観光地で感染がかなり広がっているのではないか。それも日本人同士で」と思いました。テレビ桟敷も同様の考え方で「もっとPCR検査をすべきだ」との意見が強調されていました。

 ところが、感染に関して電話相談を受け付ける厚労省や保健所は「武漢・湖北省からの帰国者、その人との濃厚接触が確認される人でないと、ウイルス検査はしない」との対応でした。
 数日後「その縛りは取るべきではないか」との批判に応えるかのように、大臣が「それにはこだわらない」と国会で語ったけれど、指示そのものは変更されていません。どうやら「現場で対応するように」と言われているだけで、現場は相変わらずその縛りを持ち出して検査を拒否している(ように報道されていました)。

 私がそのころ思ったのは最前線で戦う関係者――すなわち現場の硬直化であり、大本営・専門家によって「PCR検査は武漢・湖北省からの帰国者・濃厚接触者に限る」と決められている限り、そのお達しに背いてはいけない。だから、かたくなに「検査はしない」と言い張るのではないか……と感じました。
 みなさん方はこの最前線で対応する方々をどう思われるでしょうか。なんと頭の固い、融通の利かない人間かと嘆息しますか。

 もう一つ、二月終盤になって大本営から「風邪の症状が出てもすぐに病院には行かないように。37.5度の高熱が四日間続いたら、まず厚労省や保健所に電話して相談すること」との指示が出ました。ウイルス確認のためのPCR検査は重症者に限るとでも言うかのように。
 ここでも「電話をかけてもつながらない。たらい回しにされる」とか、クリニックの医師がコロナ感染が疑われる患者に対して「PCR検査をしてほしい」と電話してもやはりつながらない事例が多発しました。

 つながらない最初の理由は相談先の電話番号が一般用、医師用に分かれていないからでした。「自分は中国人とたくさん接触していた。症状はないけれど、PCR検査をしてほしい」という一般の人と、医師が「この患者は高熱が続き、コロナ感染が疑われるので検査してほしい」と診断しているのに、一般人と医師を同等と見なしている。なんともあきれた実態です。
 しかも、医師が強く検査を求めても、「それは決められた縛りに合わない」として検査を拒否される。なんと頭の固い「現場」でしょうか。

 当時私は二例とも「上が決めたことを忠実に実行する公務員たち」の実例だと思いました。
 たとえば、マニュアルがあってそこに「PCR検査受諾条件」として5項目書かれている。所員は電話を受け、条件に合うかチェックする。一つでも合致しなければ「検査はできません」と答える。機械的であり、そこに個人の判断は入れないと。
 だから、大臣が「PCR検査は一日4000件近く実施できます」と言っているのに、実際の検査件数は日々1000件に達しないという摩訶不思議な事態が発生した……と当時は考えていました(今は違います)。

 この頃これまた頭の固い一教師の実例も報道されていたので、余計「硬直した現場」に思えました。
 一教師の例とは、ある中学校で生徒が白色ではないマスクをして登校した。すると、先生が「それを取れ」と言って授業を受けさせたというのです。校則で「マスクは白色に限る」と決められていることが理由でした。
 なんと杓子定規な現場指揮官でしょう。ここでも「自分で考えない、判断しない」現場の姿が見えてきます。

 同時に「37.5度以上四日」の指示を出した専門家グループの決定も、研究者らしい、優等生らしい欠陥が露呈していると感じます。それは「結論だけ語って理由や詳細を説明しない」ことです。
 結論を1とするなら、その過程で議論された10の項目を説明しない。「これは素人にはわかりづらいだろうから説明しない」だけでなく、「不都合な事実だから、言わないようにしよう」もあります。結果、隠蔽体質になりやすい。

 なぜ「37.5度以上四日」にこだわったのか。普通何らかの病状が現れたら、まずかかりつけ医に行き、診察してもらう。医師は「大したことない」と判断したら、軽いクスリを処方して帰宅させる。風邪の症状だが、インフルエンザが疑われる場合は検査して、陰性なら「しばらく様子を見る」よう伝えてやはり帰宅させる。その後症状が改善せず、高熱が続けば、(今回なら)コロナ感染を疑う……なぜそれを素人(患者本人)に判断させるのでしょう。
 理由が説明されないまま、結論だけ発表されました。まるで「理由はわかりきっているでしょう」と言わんばかりに。
 たとえば、最近某財務大臣が記者の「休業補償は?」との質問に答えて「要請があれば当然検討する」と答え、「つまんないこと聞くねえ」とつぶやきました。これが1を聞けば10理解できる優等生の特徴です。だから、彼らは当然のことを改めて聞く下々の者は「能力がない」と感じているのです。

 三月になり、政府の要請どおり全国で小中高の休校が始まったころ、ようやく理由がわかりました。なぜ専門家グループは「37.5度の高熱四日云々」の指示を出したのか。なぜ電話相談の現場はPCR検査を受け入れなかったのか。
 海を隔てたお隣の国が簡易キットの開発によって一日一万件の検査態勢を取り、ドライブ検査スルーさえ実行していることもヒントとなりました。

 私の推理はこうです。「PCR検査を受けさせない」ために、電話相談番号を医師と一般に分けなかった。医師からたくさん検査要請が来たら困るからです。
 では、なぜ困るのか。理由は確かに単純で「全国で一日4000件《しか》検査できなかった」からです。

 政府は「PCR検査を一日4000件実施できる」と胸を張っていました。実は「全国でわずか4000件しか実施できない」と言うべきでした。だからPCR検査を拒否させていた――と言うより、現場が拒否せざるを得なかった。それが実態だったのです。

 最近ある保健所の電話相談を受け付ける様子を見ることができました。そして、「ああ、これがPCR検査が増えない理由だったか」とわかりました。
 そこは県庁所在地から初めて感染者が出現した県です。市の保健所には今まで日々数十件の電話相談があり、対応するのは四、五人だったとのこと。一人五、六人から十人の電話相談なら決して多いとは言えません。
 ところが、感染者出現報道の翌日、電話がひっきりなしに鳴るので、対応する相談員を二十人に増やした。それでも休むひまなく電話は鳴り、それぞれに応答して指示を出していた……。

 この県のPCR検査能力、何人だと思いますか。五十人程度というのです。ということは二十人の電話相談員が受け付けることのできる検査該当者は二人か三人が限度です。それを超えたら断るしかありません。
 ということは一日二十四時間どんどん検査を受けつけていたら、検査機関がパンクします。「ほんとに必要な重傷者が現れるまで断ることにしよう」と思った結果、全国規模で4000件のところ1000件しか検査しないという事態になってしまったのです。

 厚労大臣は国会で「なぜこんなことになったのか、理由がわからない」と答えていました。わかっていてそう語ったのかどうか。専門家グループは当然想定内だったと思います。
 ならば、そう説明すれば良かった。国民だって「検査機関が少なければ仕方ない」と思い、「多くするにはどうするか」に進んでいけます。当時は国の施設と民間大手だけでした。民間検査機関を全て使えば、一日一万件はできるはず、と答えた識者もいました。
 検査を民間に回さなかったのは金の問題(保健対応でなかったこと)や、国立感染症研究所がデータを所持したかったなど言われていましたが、真偽は不明。いずれにせよ、隣国で一日一万件検査できるとわかってから、政府・専門家グループは突然検査体制拡充に、舵を切り始めたように見えます。

 だが、もしもほんとうに理由がわかっていなかったなら、情けない話です。正に最前線の状況を知らない、見ようともしない戦前の大本営ではありませんか。アメリカに対して連戦連勝と言い、敗北撤退を「転進」と偽り、国民に正しい姿を知らせなかった姿と重なります。

 事件は現場で起きている。現場を見に行けば、検査が増えない理由がわかったはずです。敢えて言わせてもらえば、野党もマスコミも保健所や厚労省電話相談の様子を見に行けばわかったのではないか、と思います。

 では、どうしてこうなったのでしょう。理由はやはり大本営に戻ります。彼らが早めに「一日一万件検査できる」体制を整えなかったからです。果たして専門家グループはそう進言したかあやしいものです。二月始めにこの事態を予想していれば、国の機関だけでなく、民間が大々的にできるよう手配しただろうし、検査の簡易キット開発を急がせたり、保険適用にする法改正もいち早くなされたでしょう。

 これもまた未来を読めない、大本営によって生み出されたどたばたであり、戦場で武器弾薬が尽きても「竹槍もって玉砕だ」と言った戦前の大本営そのものです。
 どうか、保健所や厚労省の電話相談員を悪者扱いしないでください。少々融通がきかないように見えたとしても、彼らは一所懸命最前線で戦っている人たちだと思います。


[4] まとめと今後の予想

 政府大本営にコロナウイルス騒動をできるだけ小さく見せたいとの思惑があったことは間違いないでしょう。七月にオリンピック開催を控えて「おおごとにしたくない」と思っただろうし、二月のだらだらした流れはそれを証明しています。感染者がクルーズ船を除けば、しばらく少数で推移していたことも「大したことなくいくんじゃないか」と思わせました。
 余談ながら、コロナウイルスが意志を持っているなら、どうやらこれが彼らの戦術だったようです。ひと月からふた月無症状感染者が動き回ることでひそかに感染を増やし、突如大発生させるという……。

 一月末の時点で政権中枢が「日本でも中国・武漢のように感染者が大発生するかもしれない」との悲観的未来を予想できなかったのは大きなミスです。それを予想してありとあらゆる可能性をシミュレーションしていれば、マスクの枯渇、検査態勢のどたばた、突然の「イベント自粛要請」、そして、国民にパニックを引き起こした「全国小中高一斉休校要請」は違う形となったのではないかと思います。
 マスクなど直ちに「買い占め・転売禁止」や「医療機関最優先」の法律を作っていれば、ここまでひどい事態にならなかったのではないでしょうか。
 くどいようですが、途中で立ち止まって未来を予想する一読法の訓練がなされていないと、こうなるという悲しい実例が出現したと言わざるを得ません。

 私のメール友達の多くは首都圏在住者です。一月半ば「マスクがなくなるよ」とメールし、次に「マスクの手作り材料がなくなるよ」とメールしてその通りになりました。二月半ばには「中国武漢のように都市封鎖が起こるかもしれないから、食料を備蓄しておいた方がいいよ。ただし、そうっとね」と送信しました。残念ながら、これらの予想はほとんど当たりました(トイレットペーパーの枯渇だけはまさかでした)。

 別に自慢ではありません。私はただ悲観的未来を予想しただけです。そして、都市封鎖は「経済・社会活動全て封鎖すべきではないか」との主旨で書きました。
 本意は「このまま感染者が少数でとどまることを祈りたい。だが、市中感染はかなり広まっていると想像できる。もしも四月五月に大発生となれば、オリンピックが開催できない。日本では実質都市封鎖ができないから、やるなら全国封鎖しかない」と思いました。日本の都市は中国のように陸の孤島ではないから、一部封鎖は難しい。「やるなら日本全土で」と思ったからです。
 だが、いざ実行するとなると、大変な事態になることがわかり、軽々に発言し、発作的に(?)やるべきことではないなと感じます。

 どうやら正しい選択は台湾のように、感染を受け入れつつ、被害を最小限に食い止める策だったようです。対応が素早い、休校措置による共働き世帯への配慮、経済対策など矢継ぎ早の施策を実行しています。

 さて、一月末政府が打ち出した新型コロナウイルス対策当初予算は150億ほどでした。他国が2000億以上用意したのに比べれば「その程度でいいだろう」感ありあり。約1ヶ月遅れて公表された補正予算でも2700億弱。中小企業支援へ5000億などと打ち上げていますが、後手後手感は否めません。最近ではアメリカが約9000億、韓国は1兆円の補正予算を組むそうです。

 そこで提言。国内企業が保有している「内部留保」は500兆円弱あると言われています。国家予算の5倍、国民総生産とほぼ同額です。これは企業努力、株価上昇だけでなく、法人税を下げる事によっても生み出されたお金です。
 本節最初の「未知なる強力な敵と戦うには」の五項目覚えていらっしゃいますか。
 その1は「困ったことが起こったら、自分だけで解決しようとせず『助けて』と言う」ことです。

 政府・総理が「借金まみれの我が国にはお金がありません。どうか内部留保の500分の1をコロナウイルス対策基金に拠出してくれませんか」と正直に訴えれば、応じてくれるのではないでしょうか。
 500分の1とはある世帯で貯金が500万あるなら1万円ということです。実際には500兆円全て現金ではないそうだから、10分の1の50兆円と考えれば、せめてその50分の1を出してもらいたい。貯金500万なら10万円の感覚です。

 そのお金は「会社にリーマンショック級の危機が起こったときのために貯めおいた」ものでしょう。今こそ、その危機。ここで使わずして一体「何の金ぞや」と言いたくなります。
 そもそも、この国難に対して日本の富裕層からぽんと「100億出しましょう」との声が聞こえないのはどうしたことでしょう。「あんたの資産は日本国民が物を買い、携帯・スマホの高い使用料を払ってくれたから、もたらされたのではありませんか」と言いたいものです(後半はもちろん某カリスマ経営者を頭に置いています)。

 最後に今後どうなるか、私の未来予想です。二月下旬のイベント自粛要請、三月二日からの「小中高一斉休業要請」は二週間遅かったと思います。二月半ばにイベント自粛を始め、三月以降は小中高一斉休校ではなく、「小中高の感染者が出た学校は学級閉鎖、学校閉鎖とする」で良かったのではないかと。
 しかし、北海道で武漢の初期のように感染者が急増したことで総理がパニックに陥ったように見えます。一週間くらい準備期間を置けば、国民もトイレットペーパー、食料品買いだめという事態にならなかったかもしれません。

 コロナウイルスは最終的にワクチンなどが開発され、いずれ終息すると思います。問題はオリンピックに間に合う五月末までに終息するかどうか。しかも、全世界的に沈静化する必要があります。海外からのお客さんが来てくれなければ、「なんのオリンピックぞや」と言いたくなります。間に合うことを祈るけれど、これに関しては悲観的。

 最近「オリンピックは来年まで延ばせないが、今年中なら延期できる」との解釈が出てきました。海外テレビ局などに猛反対されそうですが、これが狙い目かなと思います。延期するならやはり10月でしょう。そのとき札幌には気の毒ながら、マラソンは東京に戻した方が良いと思います。非常時の非常時だから、ということで。

 最後にもう一つ付け加えたいことがあります。
 日本全土一斉封鎖にしなかったため、どうしても外出しなければならない人が、電車などで咳でもすれば、「降りろ」と言われたり、暴言を吐かれています。また、外国では日本人や中国人への暴行、差別的言動、日本食レストランへの落書きなどが発生しています。

 これまでさんざん優等生への悪口を語ってきただけに、返す刀で中等生、劣等生へもきつい一言を。このような差別的発言・行動に出る人の多くは劣等生、中等生であると思います。
 なぜなら、彼らはニュースを見ない。スポーツ新聞を読んでも一般紙は購読しない。自分で調べようとも思わない。彼らもまた自分の頭で考えない。根拠もなく言われた言葉を「デマかもしれない」と疑うことなく、すぐに信用してしまう方々。
 そして、自分は正しいと思い、憎悪や差別の感情をコントロールできない人たちです。最も特徴的なことは想像力の欠如(これは優等生も同じですが)。

 ちょっと想像力を働かせれば――たとえば、隣の人が咳をしている。「電車に乗るな、出歩くな」と怒鳴るあなたは「コロナウイルス保菌者ではない」となぜ言えるのか。
 あなたは「無症状の感染者が町を歩いている可能性が高い」とのニュースを見ることがない。あなた自身がつばを吐きながら怒鳴ることで、周囲の人にウイルスをまきちらしているかもしれない、と考えもしない。その知識も想像力も持たない。

 あるいは、遠い異国でユーが日本人や中国人に対して差別的言動をとる。ニュースになって世界を駆け回る。それを見聞きした全日本人・全中国人がどう感じるか、ユーは想像だにしない
 やがて何年後かに、ユーの国で巨大地震が起こる、ハリケーンによる大災害が発生する。そのときユーは「助けてほしい」と思う。だが、我ら日本人、隣国中国人はユーの国に「支援しよう」と思うだろうか(でも、その感情を押し殺して寄付をしたい。報復感情の連鎖を断ち切るために。同じ劣等生にならないために)。

 いや、この現象は遠い異国の話ではない。一月我等日本人も中国で感染が広がっていたとき、「中国人来るな」と叫ぶ人が多々いました。韓国でも日本のクルーズ船で感染者が大発生しているのを見て「ざまあみろ」といった口調のツイッターがあったようです。それが一転韓国内で大発生するや、その言葉は消えました。
 相手の立場に立つという、ほんのちょっとの想像力を働かせれば、人をののしり差別する言葉など使わないだろうに……と思います。


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:やっと金曜(3月6日)発行に間に合いました。文中かなり過激な言葉を使いました。不愉快に感じたなら、ご容赦ください。m(_ _)m
 書き忘れたことを一点。大人になってもニュースを見ないのが劣等生なら、彼らもまた学校教育の犠牲者です。働いてくたくたになって帰宅したら、酒飲みながらお笑い番組かクイズ番組しか見たいと思いません。ニュースを見ることは「勉強」です。勉強とはいやなものだと植え付けられたから、「ニュースなんぞ見たくない」と感じるのではないでしょうか。
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コロナ感染 その2へ(3月16日)

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