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  西安宵の明星旅



西安宵の明星旅 その2


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【その2】 狂短歌


☆ 上海で「シーア! シーア!」て何のこと? 美女の呼び声 群れるは我ら   




 2【 一日かけて西安へ 】[画像 5枚]

 七月七日午前十時半ころM氏が車で迎えに来た。成田の集合時刻は午後三時である。車は成田空港近くの私営駐車場に五日間留め置く予定だ。
 成田まで車を使うのは高速代などを考えると1万を超えるので、電車を乗り継いだ方が安い。しかし、大きなバッグ類を持ち運ぶめんどうを考え、気楽に往復できる車にしたのだ。

 出発前私は普段なら持っていく折り畳み傘と二枚刃のひげそりをバッグに入れなかった。傘に関しては世界の天気予報で長安はずっと曇りだし、雨が降ったときは現地で買えばいいと思った。
 また、飛行機が液体の持ち込み制限などでうるさくなった。当然ナイフ類も持ち込み厳禁である。だからひげそりも持ち込めないのではと思った。ひげそりは日本のホテルなら必ず置いてある。西安でもたぶんホテルにあるだろうと思って持っていかないことにした(^_^)。

 八王子インターから中央高速に入り、首都高を経由して東関道で成田へ向かう。ナビがあるのに、首都高で二度道を間違え、結局遠回りとなる湾岸から東関道へ入った。

 それでも余裕をもって空港に到着した。車を私営駐車場に預け、その営業所のマイクロバスで空港まで送ってもらう。成田空港に着いたのは午後一時頃だった。
 ゆっくり昼食を摂り、その後手続きをして両替所で二万円を元に替えた。今は円安なので千百元だった。一元一八〇円くらいの感覚だろうか。
☆ 始皇帝と楊貴妃の別荘華清池(かせいち)の浴場
始皇帝と楊貴妃の別荘華清池の浴場

 午後五時飛行機は成田を離陸。機体は中国東方航空だが、ANA(全日空)のスチュワーデスも同乗している。機内アナウンスは英語に中国語、それに日本語もあるのでわかりやすい。
 機内は飲み物フリーである。M氏はさっそくビール、ビール、またビール。
「これがあるからたまんないんだよ」と笑顔の痛飲。私は通風持ちなので軽く一杯だけ(^_^;)。
 近くの日本人客数人は、成田の免税店で買ったと思われるウイスキーをストレートで飲みまくっている。彼らと同じツアーでなければいいが、などと思った。

 目の前の座席の背に中国語で書かれたコマーシャルがある。簡体字だから当然読めない。だが、英語と比較すればなんとなくわかるから面白い。「世界品牌〜」は「世界(的)品質」だろうし、「□□11年」の初め二文字は「連続」の簡体字だとわかった。つまり「連続11年」ということだ。

 私はM氏に簡体字のクイズを出した。
さんずいに虫は何か」とか「こざとへんに日、こざとへんに月は?」などと。

 答えは「濁(にご−る)」と「陽・陰」の簡体字である。大学でこの簡体字だけは知ってよく覚えていた。日と月を対応させて簡体字にしたところが面白いとかつて思ったものだ。

 午後六時四十分ころ上海に到着した。ここから乗り継ぎで西安に向かう。
 中国と日本は時差一時間なので時計を一時間遅らせた。空はまだかなり明るい。
 空港は広くて建物も成田と比較にならないくらいでっかい。
 我らがツアーは二十三人と聞いていた。しかし、添乗員がいないので、この乗り継ぎが一番不安である。

 飛行機を降りて建物に入ると、制服姿の男性が「シーア、シーア」と言って立っている。
 なんとなく乗り継ぎの日本人を集めているようだ。私とM氏もその一員となった。
 日本人が四十人ほど集まると、切れ長の目をした美形の中国女性がまたも「シーア、シーア」と言いながら先導する
 我らはぞろぞろと彼女の後に続いた。
 どうやら「シーア、シーア」は「シーアン」つまり「西安」と言っていたようだ(^_-)。

☆ 大雁塔(だいがんとう)
大雁塔

 浅黒い顔つきで五十歳前後の男性が一人、現地係員と中国語で喋っている。中国人もいるのかと思ったら、彼はその直後日本語でも話していた。どうやらツアー客の一人のようだ。その後同じツアー同行者だとわかった。
 かなり歩いた後入国審査を済ませ、関税に書類を提出した。そして国内線の手荷物検査を経て西安行きの待合室へ移動する。ここまで来ればもう大丈夫だ(^_^)。

 広い待合室には中国語の看板を掲げる小売店がずらりと並んでいる。異国情緒満載である――というか、異国である(^.^)。M氏も私もうろちょろしてみた。

 時間は午後七時を過ぎたくらい。日本時間だと午後六時だから窓の外はまだまだ明るい。
 西安行きの飛行機は午後八時の離陸予定である。私たちは鉄製ベンチに座って搭乗開始を待った。事前の説明では同じ飛行機を使って西安に移動すると聞いていた。

 だが、八時十分前になっても八時になっても、全く搭乗開始の気配がない。しかも遅れていることを説明する放送もない。もっとも、ときどき中国語のアナウンスが流れていたから説明されていたかもしれない。

 結局、九時前になってようやく搭乗が始まった。同じ飛行機を使って西安に向かうという話だったのに、機体が変わったようだ。機内に入って違うとわかった。成田から上海は一列十人がけだったが、これは一列七つの座席しかなかった。その準備で遅れたのかも知れない、とM氏と話し合ったことだ。

 私は「まー中国のことだから」と言い、M氏はぶつぶつつぶやいていた。
 当初予定では西安到着が午後十時二十分である。これでは一時間遅れることは確実で、ホテルに着くのは0時前後になるだろう(-_-;)。
☆ 夜市の屋台
にぎやかな夜市の屋台

 午後九時、飛行機は薄暮の上海空港を離陸した。ようやく薄暮といった気配の空である。
 乗ってすぐ前席の背に「陰陽」の簡体字を見いだした。こざとへんに月と日が書かれている。
 また、電の字の下の部分と「活」のように見える二文字は「電話」だとわかった。

 このとき私は西側を見通せる窓際の席に座っていた。そのうち暗くなって外の景色が見えなくなる。飛行機は雲の上を飛んでいるようだ。
 午後十時を過ぎた頃、西の方向天高く大きな星が一つ輝いているのを見出した。あまりに明るいので宵の明星――つまり金星ではないかと思った。
 M氏に訊ねたところ、彼も「宵の明星だろう」と言う。私はちょっといい前兆だと思った(^_^)。

 午後十一時過ぎ、ちょうど一時間遅れで西安空港に着陸。日本時間では深夜の0時ということになる。さすがに疲れを感じた。
 飛行機は建物に直付けされず、タラップを降りてリムジンバスに乗る。空港のライトが方々でオレンジ色の光りを放っている。
 バスを降りると建物まで歩いた。外はかなり暑い。夜は冷え込むと聞いていたけれど、熱帯夜のようだ。
☆ 鐘楼の舞踏
鐘楼で思いがけない舞踏

 私とM氏は手荷物を預けていないので、バッグを持って一番に出た。
 K旅行社の旗を掲げた現地添乗員が出迎える。三十歳前後の男性で、中国でも流行りなのか、あごひげをたくわえ「彭(ホウ)と言います」と名乗った。

 それから二十分ほどで二十三人が揃った。例の飲んだくれ連中は我らの一員ではなくてほっとする。全二十三名の顔ぶれを見回すと、やはり年輩の方々が多い。

 ホーさんの誘導でぞろぞろとバスに向かう。外に出ると、またむっと来る蒸し暑さが身体にまとわりつく。やはり熱帯夜のようだ。
 車は三十人乗りくらいの中型バス。空港を出るとすぐ高速へ入る。高速は漢字でそのものずばりの「高速」だからわかりやすい。

 地図によると空港は西安の西にある。それゆえバスは東へ向かっているはずだ。予想通り大平原の中ひたすらまっすぐの道路を走る。これは気持ちがいい。
 車内はエアコンが効いているので暑くない。外はなんとなくもやっているようだ。街灯の明かりもぼんやりかすんでいる。時間も時間だから、道を走る車の数は少なかった。

 三十分ほどバスは軽快に飛ばした。そして市街地に入り、ホテルに到着した。もう現地時間でも午前0時半だ。ロビーでカギをもらうと、私とM氏はすぐ部屋に入った。
☆ 南大門より北の鐘楼を望む
南大門より北の鐘楼を望む

 部屋は十階で大きな窓が目立つ。M氏は部屋に入るやいなや、早速ホテルについてぶつくさ言い始めた。「四つ星ホテルだそうだが、大したことはない」などと言う。
 いつものことなので、私は適当に相づちを打った。確かにあまりきれいではなかったし、シャワーもイマイチだった(^_-)。

 M氏、次に私の順でシャワーを浴びた。M氏は上がると早速冷蔵庫のビールを飲む。
 ひげそりはホテルに置いてあるだろうと持ってこなかったが、部屋に常備されていない
 まー明日にでも買えるだろう――そう思ってこの日は剃らないことにした。
 めんどうで髪も洗わず、ベッドに入ったときは一時半になっていた。(続)


 ○ 上海で「シーア! シーア!」て何のこと? 美女の呼び声 群れるは我ら


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。



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