【その8】 狂短歌
「西安宵の明星旅」連載8回目です(^_^)。
(^_^)本日の狂短歌(^_^)
○ 四分の三の確率負けるとは 不運不遇とぼやいて歩く
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西門の城壁上に登ろうと周囲をうろちょろしているのに、どうしても入り口が見つからない(--;)。
☆ 登り口不明の西門と楼閣(西門下には三つのトンネル)
城壁内側の壁は十メートルほどの高さでずっと南へ伸びている。あるいは、この城壁沿いに歩いていけば、登り口があるかもしれない。しかし、どこまで歩けばいいのか、ずっと歩けるのか、見当もつかない。
通行人に聞こうにも中国語がちんぷんかんぷんだから参る。またも途方に暮れてしまった。
西門を少し離れたところにベンチの置かれたスペースがあった。その向こうにはジュースなどを売る売店もある。
私はベンチで休憩して西門や楼閣を見上げた。
さてどうするか。喉も渇いたし、かなり疲れていた。十一時を過ぎていつもならそろそろ昼飯の時間である。
まずは売店でペットボトルの緑茶を買おうと思った。
売店の前に立つと中からポロシャツを着た中年男性が現れた。
ペットボトルが一本いくらか知らない。ホーさんに聞いておけば良かった。
もちろん中国語で聞けないし、向こうは英語がわからないだろう。
取りあえず五元札を出してクーラーケース内の緑茶のペットボトルを指さした。
彼はうなずいて事務的にペットボトルを取り出すと、くしゃくしゃのお札とコインを返した。
釣り銭はかなりあったので、一本五角か十角程度だったようだ。
そこで思い切って鼓楼のときのように、身振り手振りで登り口を聞くことにした。
自分の胸を指して――私は
西門上の楼閣を指して――あそこに
右手で階段を登るゼスチャーで――登りたいが
両手を上げて首を傾げる――登り口がわからない
……との意思を示した(^.^)。
さすがボディランゲージは世界の共通語だ。
彼は三ヶあるトンネルの真ん中を指差してぺらぺらと何やら教えてくれる。
どうやらそこが登り口のようだ。以前バスが止まっていたトンネルだ。
言われてみれば、そこは車の出入りが全くなかった。つまり、そこが西門の入り口だったのだ。
人が出入りしていれば、たぶん気づいただろう。しかし、それも皆無だったので、入り口とわからなかったのだ。
私は「シェーシェー」と言ってそちらに向かった。
それにしても「入り口の案内標識くらい出しといてくれよ」と言いたくなった(^.^)。
だが、またも障害。中央のトンネルに行くには道路を横切らねばならない。しかし、横断歩道はもちろん信号もない。
だから激流に一人で踏み込まねばならない(^_^;)。
渡る前にまず緑茶を一口飲んだ。「うえっ」とうなって吐き出しそうになった。
なんとそれは砂糖入りの甘い緑茶である。またまた顔をしかめたものだ。
しかし、道の横断は意外と簡単で、車の間を縫うようにしてなんとか対岸に渡ることができた。車は人が横断するときは速度を落としてくれるのである(^_^)。
それからトンネルに入った。もちろん壁の厚さと同じで長さ十メートルほど。車が通らないせいかひんやりとして涼しい。
そこを抜けると広々とした中庭のようなところに出た。
西門はなぜか二重構造になっている。つまり、城壁の門の外に広場があり、そこを囲むようにして壁があり、さらにもう一つ外に門があるのだ。
何気なく広場に入ったら、係の男性に呼び止められた。看板を見て四十元必要だとわかった。
城壁に登るだけで四十元とはかなり高い。しかも、私は翌日仲間と一緒にまたここに来るから、無駄な出費である。
だが、今回のツアーで城壁上を歩き回ることはまずないだろう。そう思って登ることにした。
外側の壁に幅二メートルほどの石段がある。それを登ってようやく城壁上に出た。
テント張りの小さな店があり、そばに人力車と自転車が数台止められている。売店とかお土産屋はないようだ。
まず楼閣に行って城壁上から北方向を見やった。
ずっと遠くまで石畳の城壁が続く。地図上では西門から北の角まで約二キロある。その間建物は一切なく、果ては煙っているかのようにかすんでいる。
☆ 西門城壁上より北を望む
しばらくそこで休憩していると、自転車に乗る人が北からとろとろやって来た。そして南へ去っていく。
どうやらレンタサイクルがあるようだ。私も自転車で城壁上を一周したいと思った(^_^)。
そこで先ほどの店に戻った。色黒でランニング姿の男性が一人イスに座っている。
私は自転車を指さして「乗りたい」と意思表示した。
しかし、彼は中国語でぺらぺらと喋って手を横に振る。乗れないようだ(-.-)。
人力車なら乗れるのか、彼は人力車を指差していろいろ言う。もちろん意味不明。
私は日本語で「自転車に乗りたい」とか「レンタサイクル」などと言った。
レンタサイクルが果たしてまともな英語なのかどうか知らない。いずれにせよ全く通じない。
そのうち店の者らしい女性が通りかかった。男の奥さんだろうか。男が彼女に何か言った。
雰囲気的には「自転車を貸してもいいか」と聞いているように見えた。
だが、女性は邪険に手を振って「だめだ、だめだ」と言わんばかり。
どうにもわけがわからない(-.-)。
この間観光客は一人も現れなかった。私だけ妙に意固地にレンタル交渉しているような感じだった。
すると、男は私を近くの建物へ案内した。そこは当局の事務所になっているようだ。
彼はそこにいた若い女性に何事か話した。すると彼女はハンドトーキーで本部へ連絡する。
やがて別のドアから小太りでメガネをかけた若い男が現れた。制服のような黒い服を着ている。
彼は「何ですか」と日本語で聞く。どうやら日本語のわかる人を呼んでくれたようだ。
こりゃありがたいと、私はその人に自転車に乗りたい旨を告げた。
すると彼は次のように説明した。
「貸し自転車は東西南北四カ所の門のうち三カ所で営業しています。しかし、ここ西門ではやっていないのです」と。
ちょっと驚いた。間の悪いことに、私はレンタサイクルが営業されていない城壁上に登ってしまったのだ。
彼はさらに「自転車に乗りたければ、北か南の門まで行くしかありません」と言った。
状況がわかってみると、かなりショックを受けた。
これでは確率四分の三で勝てる賭けに負けたようなものではないか(--;)。
私はなおレンタサイクルの料金などを訪ね、「じゃあ南の門まで歩いていきます」と言った。
彼は「四キロはあります。大変ですよ」と言う。
確かに気温四十度はあろうかという、かんかん照りの中を歩かねばならないのだ。
私は「大丈夫です」と答え、丁重に礼を言った。
親切にいろいろやってくれた人力車夫にも頭を下げた。
人力車夫はにこりと微笑んだ。
見た目怖い感じの男だったが、いいやつだと思った(^_^)。
大丈夫と言ったものの、猛暑の下で石畳の上を歩くのはかなりしんどい。
城壁やレンタサイクルなど、もっと詳しく調べてから来れば良かった、と後悔した。
それにしても、たまたま登ったのが西門で、そこはレンタサイクルのない唯一の門だったとは。
どうして「四つの門全てで営業してくれないのか」と当局か業者を責めたい気分になった。
また「よりによって確率四分の一を選ぶとは」と自分の不運を呪いたい気持ちにもなった。
この炎天下に昼飯も食わないまま、これからさらに一時間以上歩かねばならないのだ(--;)。
私はペットボトルの緑茶をぐびぐび飲んだ。糖分が入っているので甘たるい味がする。
しかし、冷たさが腹にしみわたってちょっと元気が出た。腹の足しにもなったようだ。
時計を見ると午前十一時四十分。「仕方ない。とにかく南門まで歩こう」
自分を奮い立たせるようにそうつぶやくと、石畳の上を歩き始めた。(続)
○ 四分の三の確率負けるとは 不運不遇とぼやいて歩く
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
後記: 総選挙が終わり、民主圧勝、自民惨敗で政権交替が実現しましたね。
しかし、これで果たして国民の望む政治が行われるかどうか。民主は真性野党の共産党じゃないのだから、それほどの改変は行われないのでは、と予想します(^.^)。
そもそも比例代表の各党得票率から見ると、民意がきちんと反映された議席数は以下のようになるべきでした。
政 党 名=議席数--得票率→本来の議席数
民 主 党= 308-- 42.4→ 204
自 民 党= 119--- 26.7→ 128
公 明 党= 21-- 11.4→ 55
共 産 党= 9-- 7.0→ 34
社 民 党= 7-- 4.3→ 21
みんなの党= 5-- 4.3→ 20
国民 新党= 3-- 1.7→ 8
新党 日本= 1-- 0.8→ 4
新党 大地= 1-- 0.6→ 3
幸福 実現= 0-- 0.7→ 3
そ の 他= 6-- 0.0→ 0
合 計= 480-- 100→ 480
今回議席6割超の民主党は明らかに取りすぎ。議席ヒトケタに終わった共産・社民・みんなの党は20〜30人の議員を出してしかるべきだったし、幸福実現党でさえ、3議席獲得しておかしくなかったことになります。
やはり死に票の多い小選挙区は民主主義に反する選挙制度だと思います。民主党は比例代表180議席を100議席に減らそうとしているので、小政党を支持する人の民意はますますないがしろにされそうです。
しかし、悪法も法なり。今回の総選挙で良かった点は投票率がほぼ70パーセントで、国民ひとりひとりの投票によって政権交替が可能であるとわかった点でしょうか。二大政党の動向を今後もしっかり見つめていきたいですね(^_^)。(御影祐)
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