『久保はてな作品集』14号

別稿「Y高文芸部物語――遠野喬志誕生秘話」



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ゆうさんごちゃまぜHP「久保はてな作品集」   2025年12月30日(火)第14号


 別稿「Y高文芸部物語――遠野喬志誕生秘話」御影祐

 前号「北海道修学旅行を描く」をもって久保はてな君の作品は一旦中断、今号は本年(2025)夏から秋にかけて執筆した『Y高文芸部物語』を公開します。

 この件に関しては本 文の方に書いたので、ここは前号の続き――久保はてな君が修学旅行を描いた「北海道、それは美香の後ろ姿」について執筆裏話を記しておきます。

 私はY高文芸部の顧問として部員の創作活動を指導しつつ、架空部員久保はてなに託して自分も課題作を書きました。
 その際「もしも自分が高校生だったら」との思いをこめたし、「はてな君に文芸部の青春を体感させ、それを私小説風に描きたい」との気持ちを抱いていました。

 これに関連して設定した課題が以下の6つ(久保はてなの作品も列挙)。

1「博物館」を描く(S市立博物館訪問) 1年12月
  久保はてな「失恋博物館」
2「公園」を描く(男女ペアになって学校近くの公園を散策) 2年5月
  久保はてな「てっせんの花」(「強制デートはるんるん気分」改題)
3「丸木美術館」を描く(埼玉県東松山市「丸木美術館」訪問) 6月
  久保はてな「霊気を発する絵たち」
4 夏休み合宿――連作小説をつくる 7月
5「さみしさ」をテーマに小説を書く 8月
  久保はてな「はてなのヒロシマ」
6「修学旅行(北海道)」を描く 10月
 久保はてな「北海道、それは美香の後ろ姿」

 多くの高校文芸部は部員が自由に創作活動に励んで、作品を文化祭などに冊子として発表する程度でしょう。顧問がこのような課題を設定し、なおかつ校外活動や連作小説を書くための合宿を実践するなど珍しいと思います。

 これらの課題や企画はY高10名の文芸部員に「ブンゲー部の青春を体感させたい」との思いからでした。顧問の本意は部員に「この活動を私小説として書いてほしい」でしたが、残念ながら彼らが私小説として書くことは(ほぼ)なかった。
 もっとも、これは予想できたことなので、久保はてなに書かせるしかないと思っていました。

 しかし、現実は顧問だから部員のように活動のど真ん中に入ることはない。結局のところ、現実の部活動を取り込みつつ、久保はてな君の心情や初恋を描く――つまりは私小説風フィクションになるだろうと考えました。

 その実作が1年12月の「失恋博物館」です。博物館の様子は事実だけれど、相手の文芸部女子にすっぽかされたのは全くの虚構。「今後もこのような作品になるしかないな」と思いました。

 すると2年5月の「 公園を描く 」課題で思わぬことが起こります。
 文芸部部員は男子4名、女子6名。このとき私は男女のペア4組、女子二人を1組とする予定でした。ところが、当日女子一人が参加できなかった。
 ならば仕方ないと顧問を入れて男女5組のペアにしました。意外な展開ながら私は「これで私小説が書ける」と内心雀が躍っていました(^.^)。

 結果、くじ引きの様子、その後公園を散策して最後に「てっせんの花」を見るところまで、ほぼ事実の私小説を書けました。

 以下の件は「おいおい」とお叱りを受けそうですが、そのとき相手となった部員は「自分が高校生だったら初恋の相手に選ぶかもしれない」女子生徒でした(^_^;)。
 5分の1の確率で彼女に当たったことも面白く、正に「るんるん気分」で書いたものです。

 その後「丸木美術館を描く」は部員の一人として見学したことを書いただけだし、夏休みの合宿は小説化すれば、当然はてなの初恋を事実とフィクション混ぜ合わせて書いたでしょう。それは「はてなのヒロシマ」で実現させます。

 はてなと女子部員「マーヤ」との交流、顧問と3人で8月6日広島へ行ったことはもちろん完全なフィクションですが、はてなとマーヤの初恋模様を描きました。
 私小説にするため私は本当に父と二人で6日広島を訪ね、平和記念式典に参加しました。

 そして、最後が北海道の修学旅行です。
 文芸部2年生10名と顧問も副担任として参加。このことを描く課題を設定しました。
 ここで執筆上最大の困難は久保はてな君と「マーヤ」こと文芸部女子部員がどこかで二人だけになることはほぼ考えられないこと。出発前私は「はてなのヒロシマ」のように、フィクションにするしかないと思いました。

 ところが、事実は小説より奇なり。初日函館のトラピスチヌ修道院と夜の函館山で「マーヤ」の女子部員とたまたま二人だけになり、言葉を交わす《偶然》が発生したのです。「これは面白い」と顧問の内心にまたも雀が飛び跳ねていました(^_^;)。

 しかし、さすがに三度目の偶然を期待することはできない。
 そこで札幌では北海道大学にポプラ並木を見に行き、はてなとマーヤが班を離れて単独行動をする、そして「たまたまポプラ並木の下で会う」というフィクションにしようと考えました。
 ところが……

 以下は前号「 北海道、それは美香の後ろ姿 」に書いた通り。

 この作品は合評で物議をかもしました。部員は冒頭の言葉に度肝を抜かれ、顧問が一部員に恋をした――と勘違いしたようです。
 合評の詳細は今号の作品「Y高文芸部物語」に書いていますので、そちらをお読みください(PDFファイルへの接続は本文ラストに)。



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*********************「久保はてな作品集」 ***************************

【 久保はてな作品集14 】別稿「Y高文芸部物語――遠野喬志誕生秘話」

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 別稿「Y高文芸部物語――遠野喬志誕生秘話」 御影祐


 Y高とはもちろん久保はてな君と10名の文芸部員、そして顧問(御影祐)が過ごした高校のことです。
 すでに久保はてな君の作品を紹介しつつ、文芸部の活動にも触れたので、ここまでの作品群自体『Y高文芸部物語』の一部でもあります。本稿はそれを一括してまとめたと言えましょう。

 大きな違いは文芸部全員の作品を(冒頭部ではあるけれど)掲載していること。
 また、創作訓練の様子、青春論・小説論が書かれていること。
 それと文芸部部長だった遠野喬志君(ペンネーム)のその後を書いていることです。

 彼はY高卒業後東京の創作系専門学校に進学。新聞配達のバイトをしながら、引き続き創作に励み、その後も執筆活動を続け、作品を電子書籍などに発表してきました。

 そして(一気に3×10年近く飛びますが)、昨年(2024年)1月都内某所で「もじのイチ」という文学フリマ(フリーマーケット)を開催。今年1月に第2回、来年1月3回目(1月12日東京都立産業貿易センター浜松町館)の開催が決まっています。

 彼とは卒業後も交流があり、もちろん私の執筆活動を知っているので、「もじのイチ」開催1回目から「ぜひ参加を」と誘われていました。
 私は本を3冊も自費出版して鳴かず飛ばずだった(^_^;)こともあり、以後作品はひたすらメルマガとホームページに公開することにしたので、誘いは断っていました。

 しかし、彼からの勧誘は続いており、こうなると「何か書くか。それには主催遠野喬志君がY高文芸部を経ていかに誕生したか、その経緯というか秘話を書くのが良いのでは」と思って書き始めました。

 当初は原稿用紙数十枚の腹積もりだったけれど、架空部員久保はてなの作品を紹介し、ならば他部員の作品も紹介しなきゃと思い、さらに顧問の文芸部活動への内心を語っていたら……相変わらず「ぼくの悪い癖」(^_^;)、あっという間に100枚を超え200枚に到達しました。

 さすがにこれは製本化もしくは冊子にできる分量ではなく、会場に並べても売れないだろうということで、電子書籍――つまり、PDFファイルとして公開することにした次第です。

 目次は以下。

「Y高文芸部物語――遠野喬志誕生秘話」
  ==== 目 次 ====
[1]Y高文芸部活動方針    2
[2]部活1年目        7
[3]小説の三要素       17
[4]文芸部2年目の活動    26
[5]地味ィな青春論      33
[6]ブンゲーブの青春     38
[7]北海道、三度の偶然    44

   後 記
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 本作はいろいろ伏線や読者へのクイズ、罠を仕掛けています。
 特にこれから創作、特に小説を書いてみたいと思われる方にお勧めです。

 以下PDFファイル。→ 『Y高文芸部物語』

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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:これをもちまして本年のメルマガ配信は終了。
 毎度毎度の長文エッセー・評論をお読みいただき恐縮至極です。
 えっ、「忙しくて読んでいない」?
 それもまた良し(^_^;)。

 執筆活動の意欲・エネルギーはふつふつと、こんこんと湧くほど無尽蔵ながら、最近は目の不調から打ちミス甚だしく、とうとう来年2月白内障の手術を受けることになりました。
 それもあって久保はてな作品集は1月までに終え、2、3月は休刊します。

 そして、4月からようやく『空海マオの青春』論文編(後半)の執筆・公開に取りかかる予定です。なお、次号は1月第2週の予定です。

 さて、新年の年賀状に以下のような狂短歌を書きました。

 〇 いつ終わる? 突然来れば未完のまま それも良いではありまっせんか(^_^)

 今は事件・事故、もちろん自身の病気の重篤化。正に突然やって来る時代です。
 私にゃ不安も焦りもないけれど、来るときゃ粛々と受け入れようと思っています。
 皆様のご多幸と世界の子供達に平穏な日々が来ることを祈って。
 良い年をお迎え下さい。m(_ _)m

2025年12月30日  御影祐

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