太龍山、空海修行の聖地

「新型コロナ感染」 その4

「新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く」




|本  文 | コロナ感染 トップ | HPトップ


(^o^)(-_-;)(^_-)(-_-;)(^_-)(~o~)(*_*)(^_^)(+_+)(>_<)(^o^)(ΘΘ)(^_^;)(^.^)(-_-)(^o^)(-_-;)(^_-)(^_-)

『 新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く 御影祐の小論別稿 』 第 4号

(^o^)(-_-;)(^_-)(-_-;)(^_-)(~o~)(*_*)(^_^)(+_+)(>_<)(^o^)(ΘΘ)(^_^;)(^.^)(-_-)(^o^)(-_-;)(^_-)(^_-)

            不定期配信 2020年4月09日(木)



 コロナ感染騒動、また10日余り(4月8日筆)。
 3月末から4月初めにかけて首都東京や他都市の感染者が急増し、とうとう(と言うかようやく)4月7日、7都府県に「緊急事態宣言」が出されました。
 ところが、中国武漢やヨーロッパ・アメリカなどの都市封鎖ではありません。日本は独自路線を歩むようです。
 同時に出された経済対策も、「総額108兆円」と豪語しながら、今は使えない、使う気にもなれない「終息後の観光支援」とか、「収入半減世帯に30万円」と言いつつ、複雑でもらえない世帯も多く、みみっちい施策だと批判を浴びています。もう少し練れないものかなあと感じたのは私だけでしょうか。そこで「国民一律10万ではなく、困っている人に即30万の私案」を提起します。
 他に「志村けんさんの急死」、「結論だけでは人は動かない、変わらない」、最後に「緊急事態宣言後の日本をグラフから予測する」など、一読法からこの事態を読み解きます。

 [今  号
 第四回 コロナ感染また10日余り(4月7日)
 [ 13 ]志村けんさんの急死
 [ 14 ]国民一律10万ではなく、困っている人に即30万の私案
 [ 15 ]結論だけでは人は動かない、変わらない
 [ 16 ]感染者数グラフから予測する日本の今後

 [前  号
 第三回 『 コロナ感染さらに10日 』(3月27日)
 [08] その場しのぎの医療体制、その場しのぎの方針
 [09] 専門家という名の優等生たちの限界
 [10] 致死率数パーセントのまやかし
 [11] 100日後に死ぬ……は予言だったか
 [12] 死後は地獄か天国か

 第二回 『 コロナ感染その後10日 』(3月16日)
 [5] 覚悟と楽観的未来
 [6] とうとうパンデミック
 [7] マスク転売禁止法成立

 第一回 『 新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く 』(3月06日)
 [1] 最初に立ち止まったのはチャーター便の帰国とホテル隔離
 [2] 一人一人を優先するクルーズ船乗客乗員への対応(私案)
 [3] 事件は現場で起こっている……が
 [4] まとめと今後の予想


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 第4回 コロナ感染また10日余り(4月08日)


 本号の難読漢字
・最期(さいご)・発端(ほったん)・虚偽(きょぎ)・御用達(ごようたし)・詭弁(きべん)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
************************ 小論「一読法を学べ」別稿*********************************

 『新型コロナウイルス騒動を一読法から読み解く 』

第4回「コロナ感染また10日余り(4月08日)」

 [13] 志村けんさんの急死

 前回(3月26日)からまた10日。いろいろありました。
 中でも衝撃的だったのはドリフやバカ殿でおなじみ志村けんさんの急死。3月29日(日)深夜新型コロナ感染による肺炎で亡くなりました。いつ誰からウイルスに感染したかは不明。3月20日に重度の肺炎と診断されて入院、23日に新型コロナウイルス陽性が判明してからわずか1週間。帰らぬ人となりました。享年70歳。
 翌月曜朝にテレビのテロップで訃報を知り、「えっ……」と絶句して涙が出ました。
 この涙には二つの意味があって一つは政府大本営に殺されたとの気持ち。もう一つは最期に死をもって大きなメッセージを残してくれた、との思いです。

 政府大本営に「殺された」は言い過ぎかもしれません。しかし、理由はなんであれ、「PCR検査をしてくれない」状況はずっと続いています。
 感染を疑う人が医師に相談すれば、「保健所に連絡を」と言われ、保健所に「検査をしてほしい」と申し出ても、最初は「武漢・中国渡航歴や濃厚接触者」、3月以降は「海外渡航歴、クラスター関連」、そして風邪の症状が出ても「37.5度の発熱4日〜2日」など、とにかく検査を渋る。結果、検査上限の半分にも達しない日がしばらく続いていました。

 私は以前「保健所職員を悪者扱いしないでほしい、人員は限られているし、彼らはただ上からの命令に忠実なだけだ」と書きましたが、大本営は「検査抑制」の方針を変えないまま。
 国会で某大臣が「なぜ検査数が増えないのか調査中」と答弁していましたが、その後なしのつぶて。隣国ですぐに実施された「PCRドライブスルー検査」は日本ではいまだないままです。大本営が軽蔑している(であろう)国のやり方なんぞ、「まねできるか」とでも言うかのように……。
 ところが、3月末「オリンピック1年延期」が決まったら、途端に東京や各都市で感染者数が急増。つまり、PCR検査が毎日せっせせっせと行われ始めた(?)ことを意味します。それでも、諸外国の検査数には遠く及びません。

 結果、何が起こったか。一つは無症状保菌者がちまたを徘徊し続け、ウイルスをばらまきまくったこと。証拠はないけれど、専門家も指摘していることであり、可能性は限りなく高いと思います。
 二つ目は発熱した人たちが病院をいくつも訪ねて院内感染の原因になったこと。これは実例があります。
 そして、最後に「体調不良、発熱、嗅覚異常など妙な症状が出ても、我慢した人」が犠牲になった……私はこれが志村けんさんではなかったかと思います。

 報道によると、彼は数日間の体調不良でも病院に行かず、医師が訪問診療してようやく救急搬送されたとのこと。彼の頭の中に「自分は病院に行く条件にあてはまらない」との思いがあったかもしれません。
 70歳なら、発熱二日で病院に行っていい。しかし、「自分は若いから、あと二日」と思えば、気づいたときは手遅れ――そのような感染者が何人いることか。
 政府は「感染による死者が少ない」ことを自慢しているようです(4月5日現在感染者数3271名、死亡70名)。しかし、検査がされないまま「普通の肺炎(?)」で亡くなった人は死後PCR検査がされていないそうです。つまり、「日本の新型肺炎死者数」は隣の大国同様、世界では「信頼できる数字ではない」と見なされているのです。

 普通の肺炎だとPCR検査がされないことは大分の院内感染で暴露されました。
 大分はしばらく「感染者数1名」が続いていました。ところが、3月になって大分市でばたばたと院内感染が始まり、すぐに感染者20名、30名を超え、病院がいくつか閉鎖されました。
 発端は「転院してきた肺炎の持病がある高齢者が新型陽性者だったこと」です。転院前も転院直後もPCR検査がされなかったというのです。肺炎なのに。

 もしもその患者さんが亡くなって院内感染も発生していなければ、感染による死亡者数としてカウントされない。県と当該病院は「まさかと思った。検査しなかったのはうかつだった」と語っていましたが、大本営の極力検査しない方針が影響したことは間違いないと思います。「肺炎患者は全てPCR検査をする」と決めていれば、大分の院内感染は防げたでしょう。

 また、素人には発熱や鼻水、咳などが出たとき、「これは単なる風邪か、インフルエンザか、新型コロナ感染か」見分けることはできません。なのに「熱がなければ一週間自宅待機しなさい」というのです。
 理由は説明されていました。「病院に行けば、そこでうつされる、大量に押し寄せれば、医師が感染して医療崩壊する」と。

 ならば、インフルエンザのときのように、なぜ病院を発熱外来と一般に分けなかったか。医師が「症状が1週間続いてコロナが疑われるので検査してほしい」と要求しても認めないのはなぜか。韓国にならって「ドライブスルー検査」を始めなかったのはなぜか。今では各病院で検査するより一箇所に集めて検体を取った方が、合理的で医師の危険も少ないと言われています。
 しかし、3月中「病院やクリニックを発熱外来と一般に分ける」とのニュースは聞いたことがなく、むしろ前もってPCR検査をしないことで院内感染が広がり、病院が閉鎖される例が多発しました。政府大本営と専門家グループが「検査は抑制する」との方針を堅持したことが影響したと思われます。

 この間テレビ桟敷の専門家から相変わらず奇妙な発言も出ていました。
 中でもがっかりしたのは「PCR検査は正確ではないから、たくさんやっても仕方ない」との言葉です。ならば、欧米で、世界で「まずPCR検査をやって感染者をあぶり出す」との方針を実行していることを、この専門家はどう見るのでしょう。自分は専門家として能力が高い(だからテレビにも呼ばれる)。だから正しいことを言っている――そう錯覚しているようにしか思えません。

 逆に感心したのは「世界各国と横並びの検査体制を取らないと、出てきた数字を信頼してもらえない。結果、ある程度収束しても、日本に行くのはやめようとか、日本人の入国拒否がなかなか解除されない問題が起こる」との見解です。
 確かに中国武漢の感染者数、死亡者数はかなり疑問を持たれています。日本も同じように見られる可能性があるというのです。狭い日本だけでなく、広い世界、遠い先まで見通している。これこそ専門家の名にふさわしい発言です。

 閑話休題。志村けんさんはヘビースモーカーであり、一度肺炎による入院歴もあったようです。それでも、自ら病院に行こうとしなかった。彼の「がんばりと忍耐」はどこから生まれたのでしょう。
 戦前日米が戦争になったとき、アメリカは「負けそうなときは無理せず捕虜になれ」と教えた。しかし、大本営(と日本の教育)は「捕虜になるな。特攻で命を捨てろ。総員突撃の玉砕だ。女子どもは本土戦に備えて竹槍の訓練をしろ」と指令を出した。銃やマシンガンに対して竹槍ですよ、竹槍。
 私はあの戦争でなくなった兵士や一般市民はアメリカ軍に殺されたのではなく、大本営に殺されたと考えています。「37.5度の高熱に4日間耐えろ」という政府内閣。今また志村けんさんも「現在の政府大本営に殺された」と思えてなりません

 しかし、何を言っても詮無い。志村けんさんは亡くなりました。戻ってくることはありません。しかし、彼は最期に大きなメッセージを残してくれたと思います。それについて書く前に、ちょっと私的な話題を。

 私の両親はすでに鬼籍に入り、兄が一人います。兄夫婦には二人の娘がおり、福岡に住む長女に二人の子ども。上の子が四月から小学校一年生です。
 三月末その姪から私のところに「一日遊びに行きたい」と連絡がありました。
 子どもなし、孫なしの私にとって姪の子は孫みたいなもの。普段なら「いつでもおいで」と大歓迎なのですが、今回ばかりは「やめておこう」と断りました。
 その後志村けんさんの死を知り、姪に「へんなおじさんが亡くなったね」と題して以下のメールを送信しました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 せっかく「行きたい」と言ったのに、リクエストに応えられなくてごめん。「一日くらい、いやわずか数時間くらい」と思わなくはありません。あなたや子どもたちが気分転換に来るのは普通なら大歓迎です。ただ、今回だけはやばいと思っています。
 もしかしたら、あなたの頭の中に「今はまだ大したことない」の思いがあるかもしれない、と思って言い忘れたことを書きます。

 最もやばいのは新型コロナ発症→入院→重症化となったとき、高齢者にとってはほぼ死を意味することです。しかも、ベッドに横たわったとき、そばには医師と看護士しかいません。家族・親族・親友はその人の死を看取ることができない。いわんや「うつってもいい、看病したい」と言っても、部屋に入ることが許されません。これが癌とか他の病気だったら、そんなことはない。ベッドのそばで看取ることができます。

 イタリアではこのような死が毎日700名前後起こっています。80歳以上の患者は100パーセント死んでいる。70歳以上でも8割近くが亡くなっています。患者数が人工呼吸器数を超えているし、治療薬がないので寝かせているだけ。日本でも医療崩壊が起こるとそうなります。

 兄夫婦は今年古稀を迎えます。志村けんさんと同年齢です。
 あなた方はまだ若い。だから、だいじょうだろうなと思いますが、子どもだから、幼児だからうつらない保証はないので、注意しなければなりません。
 志村けんさんの死は「今回のコロナはだいじょうぶじゃねえぞお」と教えてくれた気がします。

 もうすぐ首都圏の実質封鎖が始まるでしょう。地方都市にも波及するので、福岡も(週末の外出自粛要請が出ていましたね)いずれそうなると思います。学校も4月末まで休校延期となって悲しいことに○○の入学式も5月になるかもしれません。それを覚悟してください。

 なお、このメールは不安感を抱いてほしくて書いたものではありません。
 こうなると、いつ自分たちに起こるか、いつ起こっても不思議ないから「覚悟を持ちましょう」と言いたいのです。覚悟があれば、準備もするし、起こってからあわてなくて済みます(^_^)。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 予感どおり、福岡も「緊急事態宣言」七都府県に入りました。
 実はメールを書いた時点では、日本において新型コロナ感染者が死亡する際、どのような対応になっているか知らないままで、イタリアの状況を見て推理したことを書きました。
 その後志村けんさんのお兄さまが「そばで看取ることもできず、棺桶の中の弟と対面もできず、骨になった骨壺を受け取っただけ」と教えてくれました。

 総理の名前をフルネームで言えない若者は多いでしょう。しかし、志村けんの名を知らない人はいないと思います。彼はその死をもって若者に「今度の病気はだいじょうぶじゃねえぞお」と教えてくれたのです。
 総理や都知事がいくら「大変です」と言っても感じてくれない。さすがに志村けんさんの死は「高齢者が発症、重症化したら、10日ほどで死に至る」ことを教えてくれました。
 けんさんの100日前は昨年12月21日です。その日以後彼には「死まであと何日」のカウントダウンが始まっていたことになります。そのカウントダウンは今や我々全員に突きつけられている――私はそう思います。


 [14] 国民一律10万ではなく、困っている人に即30万の私案

 政府経済対策の「収入半減世帯に30万」の施策は総すかん状態です。特に一人一人の状況を考慮しないので、境目でもらえない人や世帯が多発する点は、相変わらず「全体のことしか考えない」ゆえに起こる事態です。「やっぱり国民一律10万の方が良かった」と言われています。

 しかし、私は「国民一人一人に10万円」案も採用したくありません。なぜなら、公務員や年金生活者は収入が減ることはないので、今すぐ金はいらない。彼らにこそコロナ終息後の現金10万や旅行補助券、1年間の消費税0パーセントが有効です。
 だが、会社員はもちろん公務員でも、伴侶がパートや非正規で働いているなどして収入減となった世帯、年金生活者でも国民年金のみではやっていけず、働いている人には今すぐ必要です。
 一方、月収1000万超の富裕層にとって10万は、はした金でしょう。月収100万超も貯蓄数千万はあるはず。テレビによく出る芸術家・芸能人は「私も収入が半減したので補償がほしい」などと言ってほしくない。あなたの月収1000万の半分をなぜ税金で補填しなければならないのだ。「私はいりません。困っている人に回してください」となぜ言えないのでしょう。補填すべきはテレビに出ないバンドマンや安アパートで即席麺が主食の芸人志望者でしょう。

 よって、今すぐ必要な自営業者・フリーランス・非正規社員、バイトによって生計を立てている方々、ネットカフェ難民――に「直ちに30万配布」すべきだと思います。ネットカフェの営業停止によって住むところを失った人もいます。「自業自得だ。路上生活しろ」もいいでしょう。が、緊急事態宣言中はビジネスホテルを数棟借り切って入ってもらうことは、困ったときに助ける公金の使い方として「あり」ではないかと思います。

 では、どうやって配布するか。それも問題となっています。私案は以下の通りです。
 多くの人がスマホやパソコンを持っているはず。また、税務署は収入・支出と税金額を把握しています。そこで、スマホ・パソコン保持者はネットを使って申請してもらう(収入が半減したなど理由と振込先を明記)。できない人は自治体に申請する。
 国は税金システムを使って「非課税世帯」とか「年収何百万円」かを把握しているはずです。なので、直ちに指定口座に支援金を振り込む。現住所を持たないネットカフェ難民などは自治体に申請する。「現住所を持たない」ことが目下困っていることの最大証明となるので、すぐに現金を給付する。個人の指定に戸籍を使用すれば、虚偽申請を防ぐことができます。
 なお、自治体に申し込みが殺到する件は、誕生月を奇数偶数日に分けるなど方法はいくらでもあると思います。


 [15] 結論だけでは人は動かない、変わらない

 もうお忘れかもしれません。『一読法を学べ』理論編の「結論が大切か途中が大切か」の中で、「大切なのは結論ではなく途中である。話の途中で語っている言葉に耳を傾け、しっかり聞くことが大切なんだ」と書きました。
 これを逆に言うと、結論を言うだけでは人は動かない。変わらない。なぜそのような結論が出たのか、理由や経緯、特に具体例が本論で語られていること。つまり、説得力ある文章やスピーチであること。それがあって初めて「確かにそのとおりだ。自分も変わろう、行動しよう」と思うことができます。

 ところが……「37.5度4日〜2日の自宅待機」は「なぜ」の答えが明かされない結論だけの主張でした。2月末突然出された「小中高の休校指示」も、「PCR検査を増やさない理由」も明かされないままです。結果、政府御用達専門家を与党とするなら、野党に当たる専門家群が代わって理由を推測していました。

 欧米各国が「小中高休校」となった今、あの措置は正しかったと評価されているようです。しかし、都市封鎖なら小中高の休校は当然ついてくる話。もしも学童保育で感染者が発生していれば、「休校措置は正しかった」と言えるけれど、学童保育から感染者が集団発生したとの報道はありません。
 いずれ検証されるでしょうが、私は「3月の小中高休校は必要なかったのではないか」と考えています。むしろ2月に続いてクラスター感染の可能性が高い「大人の飲み屋通い・若者のコンパ」こそ(結果論ながら)自粛要請すべきでした。

 さらに、結論が詭弁だったり、矛盾を含んでいると説得力をなくします
 小中の休校を求めながら、学童保育をどうするのか指示がありませんでした。学校に集まるのが危険なことなら、学童保育に集まることだって同じ。誰でも「矛盾している」と思います。
 また、土日の外出自粛を求めながら、平日の満員電車通勤はそのまま。仕事もそのまま。平日外出しているのに、「どうして土日はダメなのか」と誰でも感じます。この答えもないままの要請でした(強いて探せば「土日は平日より人がたくさん集まるから」でしょうか)。
 また、夜の飲み会自粛を求めながら、仕事は続けろと言う。在宅ワークのできる人はいい。だが、どうしても出勤しなければならない仕事もある。仕事のストレスがあれば、帰路飲み屋に寄るのは当然のストレス解消策。むしろ売り上げ半減のご主人から「よく来てくれました」と感謝される。満員電車やバスの通勤をどうにもできないなら、別に「飲み屋に行っても構わんではないか」と思うでしょう。

 要するに、感染拡大をほんとうに防ぎたいなら、中国武漢のように、あるいは、ヨーロッパ、アメリカのように「外出禁止・その間の賃金補償」とするしかない
 私は2月半ばころ、日本もそうするしかないと思って友人に「都市封鎖しかないね」とメールしました。「でも、都市が近接している日本は不可能でしょうね」と末尾につけて。
 ところが、驚くことに三月には欧米各国で都市封鎖が激増しました。そして、四月七日、日本でも七都府県に「緊急事態宣言」が出されました。
 こうなると、私は欧米各国で外出禁止の強硬措置が可能なら、日本でも七都市の封鎖は可能ではないか、と思い始めました。もちろん法律改正は必要。私権制限などの乱用は防ぐべきだが、事態は緊急を要します。

 ここでも「外出禁止・労働停止・交通機関停止」を宣言しない本当の理由は語られていないような気がします。「外出自粛を徹底し、人との接触を7〜8割削減するように」との呼び掛けはどういう意味を持つのでしょう。

 貧乏でみみっちい私には「労働停止としたら、休業補償をしなければならない。その金は出したくない」がホンネではなかろうか、と感じます。すでに千葉や神奈川の知事が「休業要請はしない。補償できないから」とホンネを明かしています。
 やっばり昭和20年、敗戦間際の政府大本営と重なります。「弾薬尽き、兵糧尽きたあげく、手榴弾2ヶ持って敵陣に突っ込め」と強要したのと大差ないではないかと。


 [16] 感染者数グラフから予測する日本の今後

 4月7日に出された緊急事態宣言は、都市封鎖を意味せず、引き続き「外出自粛」であり、「人との接触を7〜8割削減するように」との呼び掛けでした。
 早速いちゃもん付けると、ずいぶん原案に都合のいい提言ですね。「人との接触7、8割減なら一ヶ月ほどで終息する。しかし、6割減では数ヶ月外出自粛が続く」と専門家も語っていました。ある意味おどしです。
 しかし、七都市の住民全員に行動監視装置を付ける訳ではありません。うまくいかなかったら、「原案のせいではない。国民がこの要請を守らなかったからだ」と言えるようになっています。

 しかし、いつもいつもいちゃもん付けても詮無いこと。これが私の国であり、政府が大本営なら、自分を守るためにはどうするか。自分でしっかり考えなければなりません。
 最後に気になる未来予想――今後日本の感染者数がどうなるのか考察したいと思います。数学的グラフでも丹念に眺め、あることに気づけば未来を予測できます。なお、グラフの出典は全てインターネットです。

 まず眺めてほしいのは以下二つのグラフです。左は日本、右は世界。1月21日から4月5日までの新型コロナ感染者数がグラフ化されています。

○ 日本と世界の感染者推移(1月21日−4月05日)

日本と世界の感染者推移


















 直ちに気づくのは二つのグラフのものすごい相似っぷり。日本も世界もきれいな放物線を描いています。回復者数も右上がりの傾斜がほぼ同じ。
 気を付けてほしいのはタテ目盛りの数値。日本の目盛り最多は4000人。外国の最多は140万人です。これは中国を除いています。中国の感染者数推移は薄いピンク色で描かれています。中国の最多感染者数は約8万人ですから、グラフはほぼ横ばい。だらだら坂にしか見えません。それだけ世界の状況は中国より悲惨であることがわかります。
 と言うことは日本の感染者数最多4000人弱を右のグラフに書き込むと、ほとんど横軸。0人が続いているとしか見えません。政府や専門家が「日本は持ちこたえている」と言うのもよくわかります。
 しかし、タテの目盛りを細かくすると、左のグラフになる。つまり、日本もこの放物線の中にある。言い換えれば、この放物線から逃れることはできません

 数学では大きな形と小さな形が相似形であることを「フラクタル」と言います。
 世界の状況を感染爆発と呼ぶなら、日本も感染爆発が始まったと見なさねばなりません。

 そして、この図形はすでに中国(武漢)で始まっていました。
 以下のグラフは中国1月の感染者数の推移。やはり放物線です。右グラフでタテ目盛りの最多は6000人。これが1月29日の段階でした。

○ 1月の武漢・浙江省・北京感染者数(1月20日−30日)と同時期の中国本土

1月の武漢・湖北省感染者数
















 日本の4月5日現在4000人弱というのは、右図グラフでは1月27日から28日ころと同じ感染者数であることになります。
 このころ中国では1日1400人前後増えています。それと比べると、4月5日現在日本の新規感染者数はヒトケタ少ないようです。ただ、中国の総人口14億弱に対して日本は1億強。1月から4月までの日本の放物線は充分中国の1月末時点に匹敵する。そのようにも思えます。

 さらに、以下のグラフは中国1月11日−27日(左)と1月21日から2月12日(右)までのグラフです。左には中国の発生状況や政策、武漢の都市封鎖など「新型肺炎をめぐる出来事」も書かれています。
 右下の棒グラフはなだらかな増加に見えますが、目盛りの単位は1万人。すなわち、放物線はものすごい傾斜です。
 具体的な数字を書くと、1月27日2744人だった感染者は29日には6000人弱とほぼ倍増。ところが、2週間後の2月12日には44653人と7倍増。正に爆発的に増えています。特に右上の折れ線グラフを見ると、武漢は1日1500人から2000人も増えていることがわかります。

○ 中国本土の感染者数(左1月と記事、右1月〜2月)

中国本土の感染者1月09日−2月12日


















 今から振り返ると、中国は1月23日の段階で「よくまー武漢封鎖に踏み切ったなあ」と思えます。そのころ新規感染者は1月18日4人、19日17人、20日136人……で23日は計571人でした(ただ、このあたりの数字はちょっと怪しい)。
 いずれにせよ、感染者数百人の段階で「3週間後の4万人超を予想できるだろうか」と想像すると、かなり難しいように思えます。いくら推計値があり、専門家が予測したとしても、誰でも「そんなバカな」と叫びそうです。
 何しろかの国は名にし負う独裁的隠蔽国家。世界に隠した情報の中に「新型ウイルス感染者数推移」の(信じるしかない)実験結果でも持っていたのではないか――とSF的な推理も思いつきます。

 それはさておき、私は高専に進学して挫折した、数学も科学的知見も弱い文系人間です。それでも、以上6つのグラフを眺めて不思議というか奇妙な感想を覚えます。
 それは2月以降の日本や各国の対応について感じる不思議さです。武漢や中国で起こっていた感染爆発(1人からスタートして2月12日には44653人に達する爆発ぶり)を見て、なぜ「自分の国でも起こるかもしれない」と思わなかったのか
 各国をリードする指導者、ブレーン、専門家、国会議員。みなさん優秀な方々であろうに、2月の半ば「自分の国で起こる可能性があるぞ」となぜ思えなかったのでしょう。そのとき日本が行ったもう一つの人体実験――クルーズ船の失敗もあったというのに。
 振り返れば、誰も思わなかった。みんな「対岸の火事」として高みの見物を決め込んだ。それがよくわかります。
 一読法で言うなら、ぼーっと事態を眺めていただけだと。日本だけでなく、世界も国語は[通読→精読]であり、人々は事態の深刻さが目に見えるようにならないと動き出さないようです。

 おそらく前号でも書いた「一例だけでは確かなことはわからない」との思いがあったのでしょう。あるいは、後進国中国だから、医療崩壊が起こった。「我が国はそんなことはないぞ」と思ってのほほんとしていた――ように思えます。
 となると、世界と日本の今後は中国のグラフが教えてくれるはずです。
 それが以下、「中国本土1月から3月12日までの感染者数」のグラフです。

○ 中国本土の感染者1−3月

中国本土の感染者1−3月

 眺めれば、感染者が約8万に達すると、打ち止めとなったかのように増加が止まっていることに気づきます。すなわち、新規感染者が限りなく0に近付くようです(数値は3月12日時点)。

 それから約1ヶ月経ち、武漢の封鎖が解除される直前、4月5日時点の数値が以下の通り。また、下に(中国を除く)世界の4月5日時点の数も掲載します。

新コロナ感染者死亡者回復者
中国本土  81639 33264.1 7675594
世   界1206590675105.627468923

 正直言って中国の数値は信頼できません。無症状感染者は入れていないそうだし、コロナ感染で突然死したと思われるのに、統計に現れていないと遺族が訴えていました。
 それでも、感染者に対する死亡者の割合は5パーセント前後、回復者は95パーセント前後と推定できそうです。
 医療崩壊が起こると、イタリアとかスペインのように、死亡率10パーセントを超える可能性がある。隔離がうまくいけば、感染しても自己免疫によって9割以上は回復できると見て良さそうです。武漢がこの状態になるのに、都市封鎖は2ヶ月半に及びました。

 これは都市封鎖を実行した中国の話です。3月から都市封鎖を始めたヨーロッパ・アメリカなどの都市は中国と同じ曲線を描いて(一応の)収束に向かうことが予想されます。
 そして、中国は次の実験に入ったようです。武漢封鎖を解除し、全土の往来を再開して今後どうなるのか。このまま集団免疫状態を達成して真の終息に向かうのか。あるいは、他都市で再び感染爆発が始まるのか。見つめていきたいと思います。

 しかし、日本は都市封鎖を行いません。4月8日、東京の感染者がまた最多を更新して107名、9日には181名で200名超え間近です。まるで東京が武漢であり、湖北省内が千葉・神奈川・埼玉、そして湖北省以外が他の日本各地を表すかのようです。
 ただ、重症者・死者の数はいまだ数十名とケタ違いに少ない。軽症者を病院外の施設に移せば、重症者のための病床は確保されそうです。

 単純に日本の人口を中国の10分の1と考えて計算すると、中国が8万人で止まった感染者数は日本では8000人。中国の実数を10万人と想定すると、日本の感染者数が1万人に達するころ上限を迎えるかもしれません。そのとき死亡者は5000人前後。この予測は都市封鎖だけでなく医療崩壊が起こったときの数値です。

 繰り返すと、日本は都市封鎖をせず、経済活動との両立を目指します。この取り組みは一つの賭けだと思います。都市封鎖をしてさえ収束まで2ヶ月かかるなら、都市封鎖をしない日本はだらだら状態が半年続く可能性があります。経済はそこまで持つのでしょうか。
 やはり根底には「集団免疫」を着地点として想定しているのでしょう。その間死者数は抑制できるとの自信があるのかもしれません。結果はひと月、ふた月後にわかります。


===================================
 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:緊急事態宣言が出された翌8日、一人の感染症専門家が「外出自粛80パー削減では感染は予防できない。98パーセントが必要だ」と訴えていました。すなわち、完全外出禁止にするしかないと言うのです。「感染抑制と経済活動は両立できない」とも語っていました。どちらにせよ、多くの志村けんさんが出ないことを祈るばかりです。
 なお、次号は5月に入ってからにしたいと思います。
===================================

画面トップ


コロナ感染 その5へ(4月24日) | コロナ感染 トップ |

→『空海マオの青春』論文編メルマガ 読者登録

一読法を学べ トップ | HPトップ

Copyright(C) 2020 MIKAGEYUU.All rights reserved.